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感想・レビュー・書評
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<ウィッチャー>サーガ最終章。〈ツバメの塔〉の〈門〉によって転移した先は……?仲間たちが最後の戦いに挑む!
アーサー王伝説をモチーフに使ってくるという、ファンタジーのド直球を狙ってきたかと思ったら、異世界転移、時空間移動というSFチックな感触を持つ展開もあり、これまでのダークファンタジーの雰囲気から一転した、意表を突く最終巻だ。
次々に世界線を移動するという展開をより魅せるためなのか、シリやゲラルトたちの物語の枠の外を描く視点――数世紀後の研究者ニムエとコンドワイラマーズが彼らの物語を伝説として振り返る節や、数十年後の年老いたジャレが書く年代記、シリ自身が経験してきた物語をガラハッドに語るという設定など――が用意されている。これが絶妙に機能していて、本巻の幻想感を高めている。
トゥサンにおけるゲラルトやダンディリオンの茶番ともいえる滞在記から、宿敵ヴィルゲフォルツの居城への旅立ち。いっぽうで戦場に直面した少年ジャレと医学生シャニの物語や、偽りの愛だったはずの皇帝エムヒルとステラの絆などが、この世界の状況を多角的に見せる。
後半、シリの絶体絶命の危機は読者も悲鳴をあげたくなるほど巧みな描写だった。からの、悪党たちとの最終決戦はまさに圧巻。ここが本巻最大の見どころだ。そして、とある人物の意外な正体も判明し、物語は終盤へ突入していく。
醜悪かつ悲惨な最後の事件をこえて、幻想に満ちた愛の中で物語は閉められる。微妙に謎を感じたまま終わったので色々と検証が必要だが、とりあえずは満足な読後感。今後はゲームやドラマを通じて、まだまだこの世界に浸っていたい。最後に、本作の根底にある感情を現したゲラルトのセリフを引用しておきたい。
「どう考えても理不尽だ。誰にきかれてもその思いは変わらない。なぜなら、気高き者が死に、悪党が生きて好き放題しつづける物語はクソだからだ」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
運命の子シリはツバメの塔のゲートを使ってなんとか死の淵から逃れる。
たどり着いた場所はエルフが支配する別世界であった。
別の闇に囚われるが、自分の力を信じ元の世界に戻る。
ゲラルトとの再会を果たし、最後の戦いへ。