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感想・レビュー・書評
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書名のとおり、世界史を人口から語る。世界人口10億人に満たなかった18世紀以降の200年に焦点をあて世界各地の興隆を人口できる。
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先進国での人口減少の理由が明確に書いてある
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英国の覇権、欧州の2回にわたる大戦、日本の盛衰。近現代の世界の動向を人口の影響からひも解く。
英国は世界で初めてマルサスの制約を脱した。乳児死亡率の低下と平均寿命の上昇は人口爆発をもたらし、北米やオーストラリアへの移民の供給源となる。結果、世界大の経済網を英国中心に組成し、世界に覇を唱える原動力となった。しかし、経済成長は女性の社会進出を促し出生率の低下をもたらす。一方、英国に続くドイツ、アメリカ、ロシア等の新興国は時期をずらして人口増大を経験する。ここで、挑戦する国される国が人口、経済の面で互いに脅威を感じた結果、軍備を増強し二度の大戦へと発展した。
人口はその国の経済発展だけでなく好戦的/平和的思考とも結びつく。平均年齢の若い国は好戦的で、高い国は平和思考である。現代ではイスラム諸国は出生率が高く、平均年齢が低いため政情不安な国々が多く、テロリズムの温床になったり、難民・移民を多く生み出す。一方、キリスト教国では出生率が低く、平均年齢が高いため平和的思考の国が多い。半面、移民の増大とその子孫による人口構成の変化が国民内部での軋轢を生みだしている。
日本に当てはめて考えると、日本の高度経済成長は人口という要素投入量が多かっただけで特別なものではない。また、失われた20年というのは労働力Lの追加投入がすでに停滞していたのに、バブルの崩壊後によって資本Kの投入がなくなったからであろう。今後確実に見込まれるさらなる老齢化と人口減少は、経済の縮小をもたらす。回避するための方策は、移民の受け入れ、出生率の向上、生産性の上昇のどれかである。
本書では移民の受け入れは結果として移民の老齢化という同じ問題を引き起こすとして警鐘をならしている。一方、老齢化した国で政策により出生率を回復することは難しいとも。(相関として、婚外子を認める文化圏では出生率が比較的高くなる)。
ということは、生産性の向上という一見なにをしたらいいかわからない道を唯一望みのある解決策として取り上げなければならないのが日本の現状である。 -
人口転換と歴史上のできごとの関わりについて記されています。
イギリスで初めて人口爆発が起こる→アメリカ大陸でアメリカだけが早期に発展する、の関連から引き込まれて、最後までおもしろく読めました。