紅蓮館の殺人 〈館四重奏〉 (講談社タイガ) [Kindle]

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  • 講談社
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感想・レビュー・書評

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  • 高校生探偵の葛城と助手の田所は勉強合宿を抜け出し、山中にある文豪 財田雄山宅を訪ねる。
    運悪く山火事に追われる形で。

    色々な要素が詰め込まれ過ぎていてお腹いっぱいになった。
    少し苦くてすっきりしない読後感だった。

  • 評価2.9
    kindle 405ページ
    audible 12時間41分

    こだわりの強い名探偵といかにもな助手が館へと導かれる。コテコテの展開も嫌いではない。当然のように外界との連絡も立たれる。名探偵という職業があるかのような話。もはや潔いほどの展開。これで殺人が起きなければ、そのほうがおかしい。 
     そうは言っても最初に最も悪人の要素がない女子高生が無惨な死に方をするのはちょっとセンスを疑う。女探偵の昔話も理解に苦しむ。話が進むうちにこの昔話との関連が明らかとなる。いくらなんでもとは思うし、火事など関係ない気もしてしまう。登場人物も皆んな大概な感じでありよく集めたとおもうが、もはやもうどうでもいい。何か散らかすだけ散らかした風呂敷を雑に畳んだ感じで特に感動もどんでん返しもない。
     最後の女探偵の持論は受け入れられる。ここばかりはかつらぎ君が若すぎる。被害者を増やさずに皆を生還させた女探偵の行動に一票。

  • プロットや犯人当てあの論理などは良かったが、文章、特に会話がキツくて読むのがしんどかった。登場人物たちの世界観と作品全体の雰囲気の位相がずれているような感覚。名探偵という概念にこだわり、ここまで探偵論をぶつのなら作品世界全体をもう少しフィクション寄りにした方が馴染むと思う。

    葛城の最後のセリフ「それでも僕は謎を解くことしか、出来ないんです」は、ブラックジャックの「それでも私は人をなおすんだ 自分が生きるために!!」という場面を思い起こさせたが、前者はなぜここまで響かないのか。それは上記の問題故に、このキャラクターがこのセリフを発することに納得感がまるでないからだ。
    特異なキャラクターというのは、単に世界から浮いているというわけではなく、作品世界全体を引っ張っていけるほどの引力を持っている。だが葛城及び田所、飛鳥井はただ浮いているだけで、存在自体が滑っている。この作品は探偵作りに失敗していると言えるだろう。

  • 孤島モノになるための孤立状況は色々あるが、”山火事”というのは「月光ゲーム」などに近いか?
    自然災害の場合、犯人に殺人を仕込む時間や動機が見当たらないことが大きなポイントとなるが…。

    山火事が迫る中、成功した推理作家の金にあかして作られたギミック満載のお屋敷に避難することになった、訳ありそうな人々に、屋敷に住む家族。そこで起きる殺人事件…。

    と、本格感満載。後半はまるまる探偵の謎解きとなる。
    様々な謎が明かされて行く過程は伏線の回収も出来ていて構成はしっかりしている。

    が、しかし、面白くない。
    どうでもいい心理描写が多いうえに、あまりにも面白味のないキャラ設定、無駄で魅力のない退屈な会話が多すぎて読んでてきつい。ダラダラとしたラストの長さも蛇足以外の何物でもない。

    作者の筆力というより、テイストの問題かもしれないが、残念な一作。

  • ミステリー好きが好みそうな要素をこれでもか!と詰め込んだうえ、10年前の関連のなさそうな事件まで絡む。現役高校生探偵と、かつて高校生探偵だった2人の探偵の邂逅。なんとも贅沢な一冊…と言いたい所だけど、そのせいか、偶然に頼りすぎたり都合が良すぎる所が多々気になって残念な感じ。あの設定もこの設定もいらないし、なんなら山火事で絶体絶命設定もなくていいんじゃ…(山火事で館の消失のカウントダウンをしてるけど、あんまり緊迫感なかった)。面白くないワケではないので『蒼海館』に期待大。

  • 王道ミステリー
    別のキャラを主役にしたサブストーリーが出たら読んでみたい

  • 黄土館読了後に再読。
    作品としては相変わらず面白かった。
    けど黄土館読了後に目立つのは、飛鳥井の幼稚さ。
    「爪」の犯行を暴くタイミング、最後の彼女の決断はいいとして、つばさが吊り天井の上の隠し部屋に行った理由を伝えて葛城に追い討ちをかけるのは大人としてどうなのとも思う。
    爪は遅かれ早かれ飛鳥井の前で人を殺していただろうし、山火事の度合いを舐めていたあの状況かつターゲットは女性となると、被害者はつばさであったはず。それを葛城が死なせた的な話をしてくるのは自分の鬱憤晴らしでしょ。
    こんなことしておいてよく黄土館で助け求められたなぁって感じ。

    シリーズは好きなんだけど、この人たちどういうメンタルしてるのとは思う。

  • 山火事が迫る館の中で少女を殺したのは誰か、あるいは単なる事故なのか。解決したはずの連続殺人事件も不吉に見え隠れし、それにはどんな意味があるのか。
    そこここに伏線となる描写が散りばめられ、探偵の推理を聞くと、なるほどと思う。
    登場人物にもあっと驚かされる。

    ただ、今一つ面白いとのめり込めないのは、主人公と新旧の探偵が好きではないからだと気がついた。
    とにかく嘘が嫌いな葛城の目的は真実を明らかにすること。他の探偵物では犯人を見つけるために嘘を見破るが、葛城の場合は逆になっている。
    田所も、抑えきれない好奇心のまま人の部屋に入り込んだりしてイラっとする。アガサ・クリスティーのポアロも盗み聞きなどしているが、それは犯罪を憎み犯人を捕まえるという目的のためであって、自分の欲求のためではない。
    過去の飛鳥井は、親友でありたいと思う相手に対し、自分は探偵としての能力以外に何もないとつらつら思い悩む。

    探偵やワトソン役とはいえ、1人の人間であれば、自分の能力に不安を持ったり人間関係で悩んだり、欲求に抗えなかったりすることもあるだろう。
    そんな今回の探偵たちをどうも好きになれないのは、自分にとって探偵やワトソンとは、能力に絶対の自信を持ち、信念が揺らぐことなく、探偵やワトソン役に徹する事ができるスーパーマンであって欲しいと願ってしまうからだろうか。

  • とにかく好き。
    高校生コンビの青さに若干ゲンナリしながら、しかし事件が起こり物語が動き出すとめちゃくちゃ好きになっていった。
    館に集まっている人間たちの仮面を暴き、過去と未来を名探偵という生き方で見せた作品。阿津川さんの中で自覚的に<名探偵>を扱ってる。
    とにかく楽しく面白く読めて満足です。
    あと、このシリーズの二作目と短編集二作で阿津川さんコンプリートだ。

  • 2019年。
    山火事に囲まれた状況で名探偵が謎の館にたどりつく、という冒頭がクイーン『シャム双生児の謎』を思わせる(作中にもそれが暗示されている)意欲作。

    館に様々な仕掛けがあり、実は館の住人のほとんどが詐欺師、8年前の連続猟奇殺人事件が絡んでいるなどの要素は、盛りすぎとは思えるものの楽しめた。

    ただし細かい部分で「その推理はそれほど妥当か?」「そんな状況ある?」というものも散見され(口紅を「使い切って」捨てることがこの世にあるのだろうか等)、世間で褒められているほど「緻密」かはわからなかった。

    また若い人の書くものがそうなりがちなのはわかるが、「探偵とは~~べき」などの議論が、キャラの葛藤描写などを超えて説教臭く感じ、読みづらかった。

    小出という職業泥棒のキャラはさわやかで良かった。

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著者プロフィール

1994年東京都生まれ。東京大学卒。2017年、新人発掘プロジェクト「カッパ・ツー」により『名探偵は嘘をつかない』(光文社)でデビュー。以後、『星詠師の記憶』(光文社)、『紅蓮館の殺人』(講談社タイガ)、『透明人間は密室に潜む』(光文社)を刊行し、それぞれがミステリランキングの上位を席巻。’20年代の若手最注目ミステリ作家。

「2022年 『あなたへの挑戦状』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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