- Amazon.co.jp ・電子書籍 (405ページ)
感想・レビュー・書評
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高校生探偵の葛城と助手の田所は勉強合宿を抜け出し、山中にある文豪 財田雄山宅を訪ねる。
運悪く山火事に追われる形で。
色々な要素が詰め込まれ過ぎていてお腹いっぱいになった。
少し苦くてすっきりしない読後感だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
プロットや犯人当てあの論理などは良かったが、文章、特に会話がキツくて読むのがしんどかった。登場人物たちの世界観と作品全体の雰囲気の位相がずれているような感覚。名探偵という概念にこだわり、ここまで探偵論をぶつのなら作品世界全体をもう少しフィクション寄りにした方が馴染むと思う。
葛城の最後のセリフ「それでも僕は謎を解くことしか、出来ないんです」は、ブラックジャックの「それでも私は人をなおすんだ 自分が生きるために!!」という場面を思い起こさせたが、前者はなぜここまで響かないのか。それは上記の問題故に、このキャラクターがこのセリフを発することに納得感がまるでないからだ。
特異なキャラクターというのは、単に世界から浮いているというわけではなく、作品世界全体を引っ張っていけるほどの引力を持っている。だが葛城及び田所、飛鳥井はただ浮いているだけで、存在自体が滑っている。この作品は探偵作りに失敗していると言えるだろう。 -
孤島モノになるための孤立状況は色々あるが、”山火事”というのは「月光ゲーム」などに近いか?
自然災害の場合、犯人に殺人を仕込む時間や動機が見当たらないことが大きなポイントとなるが…。
山火事が迫る中、成功した推理作家の金にあかして作られたギミック満載のお屋敷に避難することになった、訳ありそうな人々に、屋敷に住む家族。そこで起きる殺人事件…。
と、本格感満載。後半はまるまる探偵の謎解きとなる。
様々な謎が明かされて行く過程は伏線の回収も出来ていて構成はしっかりしている。
が、しかし、面白くない。
どうでもいい心理描写が多いうえに、あまりにも面白味のないキャラ設定、無駄で魅力のない退屈な会話が多すぎて読んでてきつい。ダラダラとしたラストの長さも蛇足以外の何物でもない。
作者の筆力というより、テイストの問題かもしれないが、残念な一作。 -
ミステリー好きが好みそうな要素をこれでもか!と詰め込んだうえ、10年前の関連のなさそうな事件まで絡む。現役高校生探偵と、かつて高校生探偵だった2人の探偵の邂逅。なんとも贅沢な一冊…と言いたい所だけど、そのせいか、偶然に頼りすぎたり都合が良すぎる所が多々気になって残念な感じ。あの設定もこの設定もいらないし、なんなら山火事で絶体絶命設定もなくていいんじゃ…(山火事で館の消失のカウントダウンをしてるけど、あんまり緊迫感なかった)。面白くないワケではないので『蒼海館』に期待大。
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王道ミステリー
別のキャラを主役にしたサブストーリーが出たら読んでみたい -
とにかく好き。
高校生コンビの青さに若干ゲンナリしながら、しかし事件が起こり物語が動き出すとめちゃくちゃ好きになっていった。
館に集まっている人間たちの仮面を暴き、過去と未来を名探偵という生き方で見せた作品。阿津川さんの中で自覚的に<名探偵>を扱ってる。
とにかく楽しく面白く読めて満足です。
あと、このシリーズの二作目と短編集二作で阿津川さんコンプリートだ。