定年後からの孤独入門 (SB新書) [Kindle]

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  • p.2020/11/29

  • 人生100年時代と言われる中、仕事がなくなった時の自分は何をやっているのか、想像できず不安になることも増える可能性も高いと思われます。定年後について今のうちから考えておき、自分が持つ「暗黙知」の継承、新たなチャレンジに慣れておくこと、自分に足りないものを認め補強することの大事さなどを教えてくれる本でした。内容としては、ビジネスパーソンの基本として通じることも多く、定年を意識していない方も学びがあると思います。

    【気づき】
    ・チャレンジを毎日のルーティンにしてみたい。慣れてくれば、確かに気負うことはなくなりそう。変化を恐れず具体的に動けば、必ず何かが拓ける。
    ・経験の点と点がつながると「ひらめき」になり、AIには決して創造できない。逆を言えば、経験を積んで「暗黙知」を蓄積するのも重要ということ。「暗黙知」を「形式知」にして若者に伝えるのも価値がある。
    ・時に自分の弱さを認め、常に自分の足りないものを補強して成熟することで強くなる。これはビジネスにも通じる。

    【本のハイライト】
    ・年を重ねてくると新しいことにチャレンジするのを諦め、年齢や肉体的な衰えを理由に「やらない」選択をしがち。「これが最後だ」と思えば、恥も外聞もなくチャレンジできる。思い切って一歩踏み出すことが、年齢に関係なく満足感につながる。「最後の仕事」という主観が、次世代につながる財産になる。

    〇ルーティンの喪失
    ・ルーティンは変わり映えのしないことの繰り返しなので軽視されがちだが、実際には「生きる土台」を作る大切な行為。1日のリズムが他者関係と共にあると、肉体的にも精神的にも安定する。
    ・ルーティンは日々の繰り返しなので、うまくいかなければ次の日にチャレンジ。何度でもチャレンジできるので、気負うことなくやればいい。とにかくやってみる。具体的に動けば、必ず何かが開ける。
    ・人は案外単純。自分が主体的に動いたことに対し、誰かがリアクションしてくれると小さな幸福感を堪能できる。

    〇定年ぼっちになる人・ならない人
    ・50歳を過ぎると、自己評価が高い人ほど未来の自分が不安になる。輝いていた過去と混沌とする未来のギャップに耐えきれず、時として「過去の自分」にしがみつき心の安寧を得ようとする。
    ・再就職=転職。定年延長も厳密には「社内転職」。どんなキャリアや経験があっても、まずは組織の一員になることを最優先する。組織内に自分の居場所を確立するために必要なプロセスである「組織社会化」を成功させる。最優先課題は「良好な人間関係の構築」。
    ・会社組織では「効率性と生産性」が求められるが、地域社会では「無駄と寄り道」こそが人付き合いの潤滑油になる。会社で無駄と思っていたトークをすることで、それまで見えていなかったものが見えることもある。

    〇有意味感
    ・世知辛い将来不安をかき立てる世の中でも、「有意味感(「意味がある」という感覚)」の高い人は「自分にとって意味あるモノ」を直感で選別し、「ストレスや困難は自分への挑戦だ!」と前向きに対処できる。
    ・目の前の仕事に完全燃焼することで高まる感覚。有意味感が高い人は、困難やストレスは自分への挑戦と受け止め、最高の仕事をするには困難に立ち向かう必要があると考える。信念と揺るぎない「人生の価値判断」の礎になる。
    ・あれこれ考えずに無心に取り組むと、暗闇に光が差し込む。「どうせ報われないから適当にこなす」と割り切った働き方をすると、次第に自分の存在意義がぼやけ、ますます仕事がつまらなくなる。壁を超えるたびに有意味感は強まり、人生を豊かにするさまざまな資源を獲得する原動力になる。特に「自立性(=本物のプライド)」があれば、どの集団に属しても世間の視線に惑わされることはない。
    ・「仕事人」には共通して、「境界」の中に仕事と家庭がある。仕事と家庭で、半径3メートルの人間関係を大事にしている。「組織人」は、会社員としての自分世界だけを生きる。

    〇アイデンティティの喪失
    ・中高年の危機を成熟した人間への転機にするには、「共同体の中にいる自分を見つめるまなざし」が必要不可欠となる。他者の役に立ち、いい関係を作り、「関係性に基づくアイデンティティ」を確立する。
    ・自分の世界を「会社」という単位から「半径3メートル」に小さくし、目の前にいる後輩や同僚との関係性を変えてみると「ありがとう」というご褒美が手に入ることがある。その経験をきっかけにしがらみのない自由を楽しめるようになれば、成長と成熟を手に入れ、中高年の危機を脱することができる。
    ・元気になる力を見つけ、増やす努力すれば、孤独は自分と向き合う大切な時間となる。特に「信頼できる人がいるという確信(=積極的な他者関係)」は何事にも勝る内的な力。他の内的な力を維持することにもつながり、豊かな人生の扉を開くパワーになる。

    〇人生に意味を作る
    ・ありのままの自分を受け入れない限り、変化は決して起きないし、成熟することもない。厳しい現実に向き合うのは痛いかもしれないが、人間はそれを成長につなげる治癒力を持ち備えている。今こそ自分にしか押せない自己実現のスイッチ押すべき。
    ・人が持つ強さ、困難を乗り越えるしなやかさは、日々の生活をきちんと生きることで維持できる。いかに厳しく理不尽な毎日でも、向き合うことが1日1日を生きるエネルギーになる。楽観にすがると、エネルギーが消耗する。
    ・強い自己を持つ人は自己と他者を分かつのではなく、時に自分の弱さを認め、常に自分の足りないものを補強して成熟する。意志力が明確になるほど、自分がやるべきことが具体的になり、動きたくなる。そのプロセスを繰り返し、「求められる役割をしっかりと演じられれば居場所と存在意義見つかる」という穏やかな自信が高まる。
    ・結局、自分のことは他人を通じてしかわからない。多様な人々とのつながりの中では「分からない」が前提になるが、その分、新たな価値観や情報に出会うので、自分の立場を俯瞰でき、自分世界も広がる。そして、緩いつながりの中に、本音で話せる瞬間がひとときでもあれば安堵できる。
    ・不測の事態で役に立つのはベテラン社員の「暗黙知」。経験を通じて身につき、言語化できない知識。経験の点と点がつながると「ひらめき」になり、AIには決して創造できない。目に見えるだけが仕事ではないし、シニアには若手にない力がある。体を通じて蓄積した「暗黙知」を、五感をフル活用することで予期せぬ問題に対処できる。

  • 少々期待はずれ。
    10個のうちたった1つに向き合い没頭する。愚直に向き合い続けることで、有意味感を高めていく。書いてある事は、至極まともなことばかり。定年前にも当てはまることばかりです。

  • ぐだぐだ

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著者プロフィール

健康社会学者(Ph.D.)、気象予報士
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。

「2020年 『コロナショックと昭和おじさん社会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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