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感想・レビュー・書評
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初版が1981年だが今読んでもいろいろと納得できる内容だと思う。前半から中盤にかけては学校教育の場がメインだけど、9章は社会にフォーカスしているため、ここはとても参考になった。ダニエル・ピンクの「モチベーション3.0」を思い出しながら読んでた。
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無気力に陥るのは、自律性と効力感がない時で、効力感とは努力すれば変化させられるという信念のようなもの。
「成功は運」という事実は効力感を削ぐことになり、与えられた目標を達成するだけでは効力感は得られないらしい。ここで自律性が大切になってくるのかと思う。効力感の前提には自律性が必要ということ。
自律性を持ち、自分でコントロールできると思ってる人ほど自分の責任を認める傾向があるそうで、逆に自分でコントロールできない環境にいる時には他責思考になるということ。ここから、女性は自律性がないため他責思考になると考えることができるけれど、「他責思考」が先か「非自立性」が先かはよくわからない。
環境要因として自律的に活動できるかというのがあるが、他に競争的環境では評価が偏るらしく、能力差より報酬差の方に大きな開きがあるのはこの評価の偏りが原因だと思う。しかし、報酬全体のパイは変わらないので、結果分配に偏りででるだけになる。つまり搾取構造があるということ。
競争的環境では結果主義的な認知になる。社会や経済がどんどん競争的になるのはグローバル化の結果であってその流れを止めることはできない。ここで幻想という嘘が必要なのか。
成功するかどうかは運であると外的事実を指摘したところで、人の生き方に効果的な影響はもたらさない。それに接木する言説として「どれだけバッターボックスに立つか」という接木がされる。成功することや結果を残すことが肯定感につながらない数多の人においては、内発的な効力感を守り続けることが多様性の社会では大切なのではないか。そのための幻想(嘘)が左翼的思想なのではないかと思う。