人類対新型ウイルス 私たちはこうしてコロナに勝つ (朝日新書) [Kindle]

  • 朝日新聞出版
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  • ☆ウイルスとの攻防史

  • ■伝染病は目に見えない謎の瘴気が及ぼす有害な影響(インフルエンス)により発生するという迷信が生まれた。そして中でも著しく感染力の高い伝染病がインフルエンザ(影響という意味のイタリア語)と呼ばれるようになった。
    ■細菌やウイルスは信じられないほどの速さで増殖する。生命体というものは世代交代が行われれば行われるほど遺伝子が突然変異を起こす確率が高くなる。遺伝子の突然変異はDNA或いはRNAの複製プロセスが失敗したときに起こる。ほとんどの場合突然変異が増殖に有利に働くことはないが、まれに有利に働くことがある。
    ・突然変異をしていない個体よりも旺盛に増殖し、やがて個体群を支配するに至る
    ・ウイルスの場合には突然変異が有利に働くケースが多い
    ・特にインフルエンザウイルスは突然変異をする確率が極めて高い
    ■パンデミックとは、ある病気が国境や大陸を超え世界全体に広まった状態を指す。
    ・パンデミックという語はギリシャ語で「すべて」を意味する「pan」と「人々」を意味する「demos」から成っている
    ■エピデミックとは、ある病気が一国全体に広まった状態を指す。
    ■人体は微生物のすみか。一人の人間の中に6兆を超える生物の命の源であり、その生命を終生養っている。
    ■スペイン風邪で衝撃的だった症状はチアノーゼ。
    ・死亡した患者の肺が液体に満たされて窒息状態になっていた
    ・泡状の液体は、血液と体液、細胞毒素、マクロファージなどが混じったもの
    ・これはサイトカイン・ストームと呼ばれる反応により引き起こされたもの
    ■サイトカイン・ストームとは免疫系のたんぱく質が大量に放出される現象で結果的に激しい炎症を引き起こし組織に甚大なダメージを与えてしまう。
    ・この反応が進むと組織は酷く破壊され、ぞっとするような青い顔色(チアノーゼ)になる
    ・酸素を血流に送り込むデリケートな肺胞や毛細血管は病気に対する免疫システムの過剰防衛により破壊されてしまう
    ・肺の細胞壁が壊れると血液、体液、死んだ細胞、老廃物が流れ込み肺機能はストップしてしまう
    ・1918年に頑強な若者を襲ったのは急性呼吸窮迫症候群(ARDS)と呼ばれる症状で、ウイルスの侵入をきっかけに体内の免疫システムが暴走して激しい肺不全を引き起こすもの
    ・皮肉にも高齢者や幼児など免疫力の弱い患者の方が生き延びる可能性が高かった
    ■スペイン風邪の元凶はH1N1型ウイルスと判明した。
    ■免疫システムの過剰反応はウイルス自体が与えるダメージよりはるかに甚大な損傷を及ぼす。
    ・この免疫反応を引き起こす謎を解く鍵となる遺伝子が(RIG-I〔リグアイ〕)と呼ばれるもの
    ・H5N1亜型鳥インフルエンザが危険視されているのは深刻な免疫の過剰反応を引き起こすからである

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