京都を壊した天皇、護った武士 「一二〇〇年の都」の謎を解く (NHK出版新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • レポートのために読んだけど面白かった。堕落論が好きな人は納得しそう

  • 鎌倉時代となり、度々焼失する【御所】を維持するために、担い手としての武家が不可欠な存在に。院や両統迭立による権力分散で複数化し、大内内裏が不要になり、縮小した儀式を最低限実施できる内裏をどのように維持するかが命題になります。源頼朝、実朝、鎌倉御家人、北条一族、得宗家および御内人、足利尊氏、直義、御一門、義満、そして、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、徳川幕府と変遷する権力者との関係次第で【御所】も変わります。義輝が嫌われた理由、信長の評価が高い理由など納得できました。武士が火をつけない理由も。(2020年)

  • 天皇と京都をめぐる歴史を通して、古都「京都」の本質を読み解いた本。

    本書では「京都を守る天皇、京都を怖そう武士」という通俗的なイメージを覆し、「武士が京都を維持し、天皇が京都を脅かしてきた」歴史を提示していきます。

    本書は重厚なテーマを取り扱っていますが、文章はとても平易で読みやすくなっています。

  • 本書では、鎌倉時代以降の“御所”を巡る変遷が話題の軸となっている。現在に伝わる<京都御所>に至るまで、「天皇の住まい。朝廷の儀典の場」となる場所がどのように変遷したのかということが、一部に細かく深く掘り下げながら論じられていて、なかなかに面白い。
    更に本書では、「天皇の住まい。朝廷の儀典の場」となる場所の変遷の中、そういう場所を護る立場に在った天皇や上皇の側の動きによってそういう場所が損なわれ、京都で戦を行ってそういう場所を破壊していたというイメージが在る武士達が、結果的に知行地の領民達に負担を強いながらも、そういう場所の再建を延々と続けていたという経過が論じられている。
    現在の「京都」は<平安京>に起源を有しながら、<平安京>の範囲を外れる場所が順次開かれながら形成されて現在に至っている側面が在る。そういう経過に関して、「天皇の住まい。朝廷の儀典の場」となる場所を切り口に、現在も視ることが出来る<京都御所>の登場に至るまでの様子が語られる本書である。非常に面白い!!

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著者プロフィール

桃崎 有一郎(ももさき・ゆういちろう):1978年、東京都生まれ。2001年、慶應義塾大学文学部卒業。2007年、慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学、博士(史学)。現在、武蔵大学文学部教授。専門は、古代・中世の礼制と法制・政治の関係史。著書に『平安京はいらなかった――古代の夢を喰らう中世』(吉川弘文館)『室町の覇者 足利義満――朝廷と幕府はいかに統一されたか』『武士の起源を解きあかす――混血する古代、創発される中世』(ちくま新書)』『「京都」の誕生―― 武士が造った戦乱の都』『平治の乱の謎を解く――頼朝が暴いた「完全犯罪」』(文春新書)などがある。


「2024年 『平安王朝と源平武士』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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