- Amazon.co.jp ・電子書籍 (340ページ)
感想・レビュー・書評
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終始読みやすかった!
視点が変わるのが苦じゃなくて、だんだんと点が線になっていくような感じが面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
文庫書き下ろし。同じタイトルの2作目。
「人鬼」=超能力者を探す物語。探すのは華族にして遺伝を研究する帝大講師の南辺田廣章と、異能者を国家の戦力として活用したい側の闇の組織。
舞台は大正3年の北海道で、函館で闇の組織と繋がる大商家大傀屋の末娘比佐乃が奉公人でアイヌの青年暁男と駆け落ちし、暁男の故郷の村へ向かう。室蘭の街なかで熊退治したことで、廣章と書生で用心棒の、案内人の那賀坊と江井の一行が行く先を変えて合流する。実は暁男は500m先の会話を聞き取れる聴力を持っていた。
室蘭から盾村(たぶん伊達)を経て省田(たぶん虻田)から雨支駒山(たぶん明治43年に噴火した有珠山)へ右折して麓のコタンに入り、暁男の養家に着き、廣章が見たい婚礼の儀式へと展開する。
物語は最初から、更に山に入ったところの、男が生まれにくく異能者が現れる「流れ歩く村」の「神に聴く者」(予知能力者)の娘チシの視点からも語られているが、十数年前に村はチシと5歳の甥を除いて病気とクマの襲撃で全滅し、チシと甥は麓のコタンに移り、甥は暁男と名を変えて函館に奉公に出ていた。
ここからはミステリーめいた展開になり、廣章の観察力でとんでもない謎の真相が解明されてゆき、真汐が仕込み杖を振るう戦いもあって、愛する者の命が失われる。
故郷の地名が出てきたりで面白かったが、謎の組織がおぞましすぎて、トンデモ小説になったのが残念。