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感想・レビュー・書評
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韓非子は55編からなり、中国の法家思想を伝える代表的な書物である。孔子や孟子に代表される儒家思想が正統思想として表立って生き続けていたのに対して、老子や荘子の道家思想はその裏面で人生についての深い思索を誘うものとして生き続けてきた。
しかし、中国の世界に初めて統一帝国を打ち立てた秦の始皇帝の法律万能の思想こそ、この法家思想であった。法家思想は漢以降の儒教体制でも実際的な側面で体制を支え、中国の政治思想の論理を知るためには韓非子は必読の書である。
また、人間の生活は政治的で支配と被支配の関係にあるという側面もあり人間の側面についての洞察も与えてくれる。
中央館2F : 文庫・新書コーナー 124.57//Ka58//1
OPAC:https://opac.lib.niigata-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BN10624868詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2020/9/13
春秋戦国時代を通じて、臣下が君主に取ってかわることや弱国が強国に併合されることを防ぐための法術をとく
斉が田氏に乗っ取られ、晋が趙、韓、魏に乗っ取られたのはなぜかという問いから始まる
君主は好悪によって判断しがちで、重臣は君主に迎合することによって信頼を得る。民、学者、役人は重臣に忖度するようになり、重臣が実権を握るようになってついに君主は没落するととく
これを防ぐためには君主は賞罰の権限を掌握して、臣下の発言と行動を比べて評価することが肝要。民は相互監視させ、同様に信賞必罰を徹底する
商おうはこれによって秦を強国とした
・重臣や民は変更を嫌い、法を嫌う。
・重臣は君主に情愛などなくこれは数々のクーデターが証明している。情愛に頼るのではなく、君主に尽くしたくなる仕組みを作るのが肝要
☆法は律令や郡県制といった君主専制として後代に大きな影響を与えた。しかし、法による支配はストーリーに訴えるものでなかったことが影響したか、秦や隋など従前の群雄割拠状態を統一して皇帝専制を確立したがために反発をうみ早く滅亡したためか、法家は儒家よりも下に位置付けられた
法家思想は統治技術に焦点を当てているが、これを正当に評価しなかったことが中国の近代化の遅れを招いたのでは