MaaS戦記 伊豆に未来の街を創る [Kindle]

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  • MaaS戦記 いずに未来の街を創る 森田創

    東急に入社するも、交通事業の経験なく、直近は広報課課長を3年務めていた筆者が2018年3月19日に、社長から「Maasやれ」と言われて、伊豆で新規事業を立ち上げるまでの記録。MaaSという言葉も知らなかったのに、2019年4月には実際に伊豆で実証実験を開始。海外のアプリベンダーとの調整、海外のMaaS協議会でのプレゼン、JR東日本・楽天・伊豆急・東海バスなど様々な事業者との連携をたった1年で作り上げ、実際に消費者に使ってもらう(アプリは2万ダウンロード)ところまで進めたという事実に衝撃。

     やってみることの大切さ(と大変さ)
    やってみたら、「なんであのとき検討していなかったんだ」と思うものだが、たぶん1年追加検討したところでそんな穴は見つけられなかった気がする。そういう意味で、「やってみる」ということの大切さ、「やってみる」ことから得た筆者の学びの大きさを感じる。
    例えば、事前にホテルに説明してあったアプリ(izuko)のダウンロード方法や使い方が、ホテルのフロント従業員に全然伝わっていなかった。ホテルは勤務がずれていたりするので、海のものとも山のものともわからないことはそこまでちゃんと引き継ぎされない。実証が始まって、クレームがついて初めてわかること。
    こんな想定外のことばかり起こるので、筆者とそのチームはほとんど睡眠がとれていない。でも、新規事業立上げって、そういうものだよな。とも思った。

     上からの指示であることのありがたみ
    「やってみる」ことができる理由は、もちろん著者とそのチームの能力や意志の強さ、判断力によるところは大きい。ただ、社長が「楽天とJR東日本と話したから、MaaSやれ!」と言ったり、「はやくプレスリリースしろ」と言ったり、上からの指示がある点はありがたいと思う。「それをやる」ということが組織として決まっていると、下としては社内のことはあまり気にせず「やる!!」に集中できるから。
    もちろん「やる!!」のは超大変なのだが。

     適材適所の価値
    1年で立ち上げられた理由の1つに、東急グループ全体から適任の担当者が集められたことある。例えば、グーグルで働いていたこともある女性がいたことにより、ドタバタはたくさんありつつ、海外アプリベンダーとの調整が円滑に進んだ。また、4月からのフェーズ1と12月からのフェーズ2でメンバーが半分以上入れ替わっている。プロジェクトごとに、必要な人材を持ってこれる東急の凄さを感じた。

  • 東急電鉄のエリート社員が、本人の意に反してMaaSプロジェクトの推進役に抜擢された。舞台は伊豆半島。JR東日本や楽天、地元自治体・企業を巻き込んだ、日本初の「観光型MaaS」実証実験 "IZUKO" に取り組んで悪戦苦闘した2年間の記録。

    まあこうなるだろうなあ、という絵に描いたような展開だが、実録なだけに迫力がある。結局、コロナ禍により目標達成とはならなかったのが、関係者の間に経験値が貯まり、少なからず世の中を動かしたという点では、本プロジェクトは成功したと言えるのではないだろうか。

    それにしても、ソフトウェア開発、素人が作っている訳じゃないのにどうしてこういつも予定通り進まないんだろう。トラブル続出なのが全く解せない。ソフトウェア開発自体は進化しないのかな。

  • 予算をじゃぶじゃぶ使えるのって恐ろしい。

  • (2021/34)東急の社員として、伊豆での観光型MaaS立上げのプロジェクトリーダーの役割を担った著者の体験記。まさにプロジェクトX。同年代のサラリーマンとして、規模は違えどプロジェクトをリードする経験をさせてもらった自分のことを振り返り、思い返しながら読むのが楽しいのだが、現在、自分が任されている事業における可能性を考える事しきり。期待以上の一冊。

  • 伊豆の街の再生を計るためMaasを立ち上げた東急社員の奮闘記。実録なだけあってかなりおもしろく読めた。今自分も大型開発案件でかなりトラブって切羽詰まっている状況なんで、フェーズ1開始の話に出てきたショー・マスト・ゴー・オンはなんか刺さった。また新たなサービスを立ち上げる時の参考になる失敗談としても役に立つんじゃないかと思う。

  • 確かに著者の人間性やビジネスマンとしての基礎知識のなさが気になる点はあるがそれを上回る面白さがある。
    イズコーなるサービスは全く知らなかったが1998年春に活動を開始して1999年には形になった事業として現出させたそのヒストリーはやはり面白い。

  • 小説仕立てになっているが、日本ではまだ聞き慣れない観光MaaSを実現させた体験記である。MaaSの観点でも新規ビジネスの立ち上げ話としても面白く読める。

  • 伊豆でのmaasの実証実験の取り組み。

  • 東京急行電鉄社員。 モビリティ・アズ・ア・サービス。フィンランドが先進国

  • Maasに少し興味が湧いた。

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著者プロフィール

1974年、神奈川県出身。99年、東京大学教養学部人文地理学科卒業。同年、東京急行電鉄株式会社入社。渋谷ヒカリエ内の劇場「東急シアターオーブ」の立ち上げを担当。広報課長を経て、現在、交通インフラ事業部MaaS担当課長。
2015年、初の著書『洲崎球場のポール際 プロ野球の「聖地」に輝いた一瞬の光』(講談社、2014年)により、第25回ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞。その他の著書に『紀元2600年のテレビドラマ ブラウン管が映した時代の交差点』(講談社、2016年)がある。


「2020年 『MaaS戦記 伊豆に未来の街を創る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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