「スキル」の辞典みたいな本。
たとえば「見る」とか「話す」とか、そういった次元のスキルのお話。なので、誰にでも読む価値がある。
【面白かった話】
◎人間の活動は「INPUT→価値創造回路→OUTPUT」となっている。
・価値創造回路には、上流/中流/下流と別れている。
・上流:「しる」「みる」「よむ」「きく」「かんじる」「かぞえる」など
・中流:「考える」「学ぶ」「問う」「合わせる」「覚える」「想う」など
・下流:「決める」「かく」「言う」「つくる」「伝える」など
例えば、打ち合わせで一言も発さない部下は、まさに上流しか使ってないんだな。打ち合わせ中でも、中流、下流ともっとスキルの深さを深めなさいよと。
※ 同じスキルでも、深さもある。「みる」は上流だが、(深く)「観る」はもっと深かったり、(単に)「考える」と、(本質的に)「考える」は違ったり。
※ 普通の人はリンゴが木から落ちるのを「見る」だけだが、ニュートンはそこに万有引力を「観た」
処理的な仕事は、「INPUT→上流→中流→下流→OUTPUT」と、ただ舐めるだけだが、よく練られた仕事は、何度も別の視点から上流~下流をいったり来たりする。より深く。
◎受動的な学びと能動的な学び
・「学び」の深め方は、「習う」の後に「問う」「試す」を行うこと。
・行わなければそれは受動的な学びであり、学んだことを記憶していても、深みは出ない。
・「習う」のあとに「問う」「試す」を行うことにより、新たな疑問が生まれて学びに繋がったり、新たに「習う」を行いたくなる。
・「なぜそうなるのか?」と言った原理への問いや、「なぜ、自分はこれをやるのか?」といった目的・意味への問いを大切に。
◎習得的能力と性向的能力
・能力の階層に第一層・第二層・第三層とある。
・知識や技能は第一層。それは習得的能力。
・習得的能力を知らずのうちに発揮される「性向的能力」(第二層)に落とし込んでいく必要がある。
・例えば、同じ能力を習得した二者がいても、性向的に「粘り強い・几帳面・楽観思考」な人が能力を発揮する場合と、「飽きっぽい・粗雑・悲観思考」な人が能力を発揮する場合、出来上がる表現物は異なる。
(前者はきっちりとした表現物となるが、後者は中途半端な表現物となる)
◎「自分ごと」になる仕事の仕方
・仕事に大きな意味/満たしたい価値を見出し、そこに自然と献身していく自分が出来上がること。
・難しい場合は、「雇われない生き方」を志向すること。「好機あらば独立してやるぞ」と思えば、日々の働く景色は全くかわる。
◎他、セルフチェックシートより。
・自分が業務成果として出すものの品質にこだわりを持つ。見えないところにもきちんと手を施そうとする(品質意識)
・仕事を通じて手にする機会、人との出会いは自分のものであり、それを最大限に活かしたい。
・自分の業務上の判断、処理、表現の1つ1つは顧客と繋がっている
・仕事に誇りを持つ。その道のプロとして自分自身にも誇りを持つ。
・業務上の行動は、組織の言動を代表している。さらに組織の大概的なイメージにも影響を与える。
・仕事は自分の業務範囲だけでは完結しない。他人の範囲まで目配、気配りをするのが当然。