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- / ISBN・EAN: 4562474222860
感想・レビュー・書評
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「ある子供」「ロルナの祈り」「少年と自転車」などカンヌ国際映画祭で受賞を重ねてきたベルギーのダルデンヌ兄弟が、過激な宗教思想にのめりこみ教師を殺害しようと試みた少年の姿を描き、2019年の同映画祭で監督賞を受賞した人間ドラマ。
13歳のアメッドはどこにでもいるゲーム好きな普通の少年だったが、尊敬するイスラム指導者に感化され、次第に過激な思想にのめりこんでいく。やがて学校の先生をイスラムの敵だと考えはじめたアメッドは、先生を抹殺しようと企むが……。
これまでにカンヌ国際映画祭で2度のパルムドール(「ロゼッタ」「ある子供」)と脚本賞(「ロルナの祈り」)、グランプリ(「少年と自転車」)を受賞してきたダルデンヌ兄弟にとって、初のカンヌ監督賞受賞作となった。
かなり短い映画であったが、あまりに若く、
純粋が故に、簡単に真剣にのめり込んでしまう。
こんなに、訳もわからず、先生を敵視して執着してしまうなんて…怖いほどの緊迫感。
あの徹底したような潔癖症的な態度も悲しいほど
理解出来る気がした。
人を通して自分を知ること…。
まだ、実際には何も分かってない思春期の思い込みや、洗脳ともいえる感化してしまう気持ちを
不思議な感覚なのに、その少年から目が離せない
そこに入り込んでしまう心を巧く捉えた作品だと思った その手に触れるまで…。
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ときに現実を忘れるために映画を観る。
けれども本作はフィクションであるはずが、あまりに生々しい現実がごろりとそこにある。
音楽もなく、淡々と、イスラム教(の中でもカルトの部類の教え)を狂信する少年の、「事件前」と「事件後」の日常が描かれる。
その時はただ目を見開いて見入ることしかできなかった、すでに起きた出来事を、私たちはドラマと後付けで呼ぶ。そんなある意味「ドラマ以前」の光景が、本作の中に、奇跡のようにある。