思考力・読解力・伝える力が伸びる ハーバードで学んだ最高の読み聞かせ [Kindle]

著者 :
  • かんき出版
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感想・レビュー・書評

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  • 子どもの「自分で考える力」と「自分の意見を言う力」を育む読み聞かせ法、アメリカ式ダイアロジック・リーディングについての本。ことばを覚えた4〜5歳以上の子どもが対象。ダイアロジック・リーディングの流れは「PEERシーケンス」に沿って行われる。質問する・発話を促す(Promote)、相槌をうつ・褒める(Evaluate)、リフレーズする・情報を足す・質問を重ねる・話題を広げる(Expand)、大事な単語を繰り返す・話を要約する(Repeat)の頭文字をとって「PEER」と呼ばれる。

    絵本を読み聞かせをしながら「あなたはどう思う?」「なぜそう思う?」と問いかけることで、「自分で考える力」が養われる。自分の考えていることをことばにできるようになると「伝える力」が発達する。

    大人でも、映画や本を読み終わったあとに「面白かった」と言う人と、作品から何かを学びとったり気づきを得る人とがいる。その差は、その人の持つ「俯瞰力」と「応用力」から生まれる。それは思考の癖であり、子どもの時から訓練することで身につけさせることができる。

    p147
    人間の5感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)から得られる情報のうち、約9割は視覚情報だと言われます。
    つまり、視覚情報の処理能力を左右する「見る力」が高いか低いかで、同じような生活を送っていても脳に入ってくる情報量が大きく変わるということです。
    わざわざ訓練しなくても日常生活に支障はないので、見過ごされがちですが、「見る力」は子供が生涯恩恵を受ける重要な非認知スキルなのです。

    p148
    「それは絵の鑑賞の仕方も同様であり、子どものうちに指標を教えれば、子どものアート鑑賞能力は訓練できる」

    p187
    小学校のカリキュラムで、子どもの読解力やクリティカルシンキング(批判的思考)を強化する機会が滅多にないことを考えると、小学校入学前後で読み聞かせをやめてしまうのははやすぎると思います。

  •  絵本を読む時子どもの質問にできるだけ答えたりはするものの「問いかける」ことは積極的にしてきませんでした。絵本は静かに聴くものだと私自身も思っていましたし保育園や幼稚園でもおそらく「今は絵本聞く時間」など声をかけられてきたのだろうと思います。
     本書でもそれを否定してるわけではないと書かれています。しかしこれからの時代を思うと自分の頭で考え行動できる子、疑問を持てる子、発言力がある子等に育っていけるよう大人は援助していかなくてはいけないと感じています。AIが普及し今後求められる資質は非認知能力だと思います。
     大人がまず、「こうあるべき」を取り除き毎日の読み聞かせに変化を付けるだけで子どもの可能性を伸ばせるのなら取り組みたいと思いました。
     
    しかし、残念なことに我が子は中学生のため読み聞かせをする歳ではないことですね。。。。(涙)
    映画や漫画の感想などを聞き出すことをしていこうと思います。

  • ダイアロジック・リーディングを否定するわけではなく、絵本を題材とする理由がいまいちよくわかりませんでした。
    この読み聞かせの手法は「ある題材をもって(ここでは絵本)」「保育者と子供が話し合う」ということが大事だと思われます。これって語りかけ育児と同じだし、絵本をお勉強にしなくていいんじゃないかなぁと思ってしまう。

  • 子どもに読み聞かせをするにあたって読んでみた。知識を一方通行にするだけではなく、双方向でのやりとりで子どもの思考力を育てることが必要だなと実感。

  • 名門大学の名前でアピールしてくる本のタイトルはあまり好きではないけれど、読んでよかった。感想を尋ねず、親が一方的に読む日本の読み聞かせの特徴と、読み聞かせ中に対話をするアメリカの特徴を比較し、主に後者の意義を説く本。ダイアロジック・リーディングという対話しながら読み聞かせをする手法の効果と方法をわかりやすく紹介している。

    「感想を尋ねない」「質問とかしちゃだめ」というのは、出版社のホームページや読み聞かせの本にも書いてあるし、読み聞かせボランティアにとってはもはや常識といってもいいくらい定着していると思う。

    一方で、『読み聞かせは魔法』という本では、主にアメリカで行われている「対話読み聞かせ」や「一緒読み」を紹介しながら日本的な読み聞かせの効果の低さを指摘していたように思う。(記憶がおぼろげで正確でないかもしれないが)

    日本的な読み聞かせを推進する立場は、アメリカ的な読み聞かせ方法を批判し、その逆もまたしかりというような状況で、結局どっちがいいの? というのは自分の中で整理し切れていなかった。学校では、読みっぱなしにしたり、読み聞かせ中にさまざまなやり取りを試みたりもしているが、どちらにしても心にひっかかりを感じていた。

    この本を読んで、その迷いのようなものが結構すっきり解消した。要は、両者の読み聞かせ方は、どっちがいいとかではやく、両者とも効果的で、それぞれねらっている効果がちがうということ。

    対話せず子どもが一方的に聞く方法は、物語に入り込み、その世界にじっくり浸ることができる。本の世界観を守ることや、本そのままの世界から子どもの心に生まれる動きを尊重しているのだと思う。一方でダイアロジック・リーディングは、本を通して、言語能力、思考力、表現力などを伸ばそうとしている。

    つまり、両者を効果的に使い分ければいいのだと学ぶことができた。この本の著者がアドバイスするように、1回目の読み聞かせは対話ナシで、2回目は対話アリでやってみるのが基本的にはいいかなと思った。ただ、1回目で対話をするのも、初読の本の読み方を学ぶうえで大切だと感じたので、がっちりルール化をせずに、柔軟な姿勢で楽しめばいいと思う。

    本書は、アメリカ的な「ダイアロジック・リーディング」を推進する立場で書かれながらも、アメリカ的な読み聞かせと日本的な読み聞かせと冷静に比較し、双方のメリット・デメリットを整理している。そして、日本的な読み聞かせの意義も認め、それらの併用を薦めているというところが自分の中では新しく、面白かった。

  • 絵本の読み聞かせの際には、子どもに静かに聞かせるだけではなく、子どもと対話しながら行うダイアロジックリーディングを行うと、言葉の発達や思考力や読解力、伝える力の向上が見込める。

    本を読みながら、「どう思う?」「どうしてそう思う」などの問いかけをして上げると、自分で考えたり伝えたりする力が養われる

  • 本書では日本とアメリカの絵本読み聞かせの違いに着目して、日本もアメリカ式に読み聞かせをしようと提案する。
    そうすることで、自分で考える力、読解力、自分の意見を言う力が身につくとのこと。

    では、具体的にどうするかと言うと、読み聞かせの最中に親子でやりとりをすること。
    日本では親が一方的に絵本を読み、子供は静かに聞いているというのが一般的。
    これは、学校の授業でもそう。

    しかし、アメリカでは絵本を読んでいる最中に、積極的に親が子に、あなたはどう思う?なぜそう思う?と問いかける。
    これが習慣になると、いずれ1人で本を読んだ時にも考えながら情報に接することが癖になる。

    読書習慣で大切なことは量より質。読解力に必要なことは文字情報を追いかけながら、並行して色々なことを考える力。
    義務教育での学習力と絵本の読み聞かせの経験は深く関係していることが分かっている。

    日本人はこれまで、先生の言うことは黙って聞きましょうと教わってきた。しかし、これから求められるスキル、自分の頭で考える力、伝える力というのは、それでは身に付かない。

    具体的に読み聞かせの最中にどういったやりとりをするといいか。
    ①質問する。問いかけ。
    ②評価する。否定はNG。
    ③話を広げる。
    ④反復する。
    例:この動物は何かな?そうだね、たぬきさんだね。よく分かったね。たぬきさんは見たことあるかな?

    これを繰り返すことで、絵本の読み聞かせの時間は親子の対話の時間になる。
    子供が大きくなってきたら、この本についてどう思う?豚さんはどんな気持ちかな?
    など、正解がない、漠然とした問いかけもする。
    この方法は、絵本だけでなく映画やテレビなどにも使える。

    物語と現実を繋げる方法もオススメ。動物がでてきたら、この前動物園にはいたかな?など。

    ポイントは、話をする主導権は子供。お勉強雰囲気を消して、子供が話しやすい雰囲気にすること。

    字のない絵本で親子でストーリーを考えながら遊ぶのはおすすめ。あなたが主人公ならどうする?という質問はアメリカでよく使われる問いかけ。

    2-3歳のうちは、聞く力、見る力、思考力などインプットを重点的に、4歳以降は伝える力などアウトプットを重点的に鍛える。

    批判的思考力を鍛えるために、ママはこう思うけど、それについてどう思う?と問いかける。

    子供が静かに絵本に集中しているときは、無理に問いかけをする必要はない。
    しかし、この子にはまだ早いと思って問いかけをしないと時期を逃す。

    読み聞かせのスタートは早ければ早いほど良い。
    また読み聞かせに卒業はないと思って良い。子供が大きくなったら、お互いに興味のある本を交替で読んで感想を言い合うのが良い。

  • 我が家はダイアロジック・リーディング形式で読み聞かせをしていたんだ!と気づいた本。本に対してあれこれ話しながら読むので、なかなか進まないし寝る時間も遅くなるしでヤキモキすることも多いが、これで良かったのだと安心した。

  • 過去に図書館で借りたの忘れて二回借りてしまったので、読んだこと忘れない為に登録しておく

    【ハーバードで学んだ】【ダイアログリーディング】【PPER方式】なんて言い回ししてるけど、
    要は絵本読む時に沢山話しかけろ、っていうことだね。
    たぶんハーバード以外の家庭でもアメリカでは取り入れてると思う

    絵本はインプットと思われがちだけど、アウトプットの練習にも効果的。
    場面説明したり、質問したり。
    うちは昔から取り組んでるけどね!!

    ショーアンドテルもよくやってる。
    ほんとアウトプット大事。
    お陰でよく喋る子に成長してるよ。

    子供が楽しむことが大前提。お勉強の雰囲気を完全に消すこと
    コレが一番難しい笑笑

  • 読み聞かせがしたくなる本。これを読んでから我が子への読み聞かせ方が変わった。まだうまく話せない年齢だが、今後大きくなるにつれ「対話として」の読み聞かせを大切にしたい。

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著者プロフィール

大阪女学院大学・短期大学学長/大阪女学院大学国際・英語学部教授。Ed.D(教育学博士)。ボストン大学を経て、ハーバード大学教育学大学院(教育学修士・博士)に入学。同校で、本書のテーマである「ダイアロジック・リーディング」に出合い、研究を重ねる。1998~2001年、フルブライト奨学生。専門分野は「言語習得」と「最新テクノロジーを活用する教育」。
現在は、「子どもとことば」「絵本を通してのことばの発達」を研究課題としており、絵本の読み聞かせにおける母子のやりとりや読み書き能力の発達に関する親の意識調査などを行う。一方で、教員を対象とした「子どものことばを育てる読み聞かせ」ワークショップも行うなど、日本における「ダイアロジック・リーディング」の第一人者として普及活動に尽力している。
季刊絵本新聞『絵本とことば』(H・U・N企画)への寄稿や、『世界一受けたい授業』(日本テレビ)に過去3度出演するなど、メディア出演多数。本書が初の著書となる。

「2020年 『思考力・読解力・伝える力が伸びる ハーバードで学んだ 最高の読み聞かせ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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