ファンベースなひとたち ファンと共に歩んだ企業10の成功ストーリー [Kindle]
- 日経BP (2020年11月6日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍
感想・レビュー・書評
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マーケティング、ブランディングに大事なことを学べる本です。商品やサービスの機能は模倣可能ですが、感情に基づくストーリーや想いは模倣が困難です。顧客の感情と向き合うこと、さらに、自社の従業員の思いや感情と向き合うことが、ファンづくりに大事であることを教えてくれます。実際の企業の社員の話がベースになっており、その実例として紹介されており、参考になります。変化の激しい時代にあって、持続した経営をどう行っていくかのヒントを教えてくれる1冊です。
【特に覚えておきたいフレーズ】
「感情ある人間と向き合うのがファンベースの基本。囲い込むのは元々無理。顧客との関係性を大切にする。お金をかけなくても、顧客との向き合いでできることはたくさんある。大事なのは、なんとしてでも『自分のやりたいことをやり切る』こと。」
「感情と向き合うには、最初に自分の思いや感情を語ることから始める。自分自身の思いを整理し、語ることから付き合いは始まる。」
→自己開示する人は信用されやすいようです。SNSをうまく使っている方は、やはり自分の思いや感情を「うまく」自己開示していると感じます。(やり方を間違えると炎上することもあるようですが)
「地域活性化は、地元の人が自信を持って、自らが地元のファンになるところからスタートする。地域の人が地元を愛していないと、観光客も魅力を感じにくいはず。まずは、地元の人に地域の食や環境、歴史や文化までをよく理解して、好きになってもらうことが重要。」
→以前、地域活性化に関係する仕事をしていたときに実感しました。元気のある地域は、その地域を訪れた人に躊躇なく「いいところでしょ?」と地元の人が言います。多くの地域では「何もないところでしょ・・・」と地元の人が言いがちです。
【もう少し詳しい内容の抽出】
〇ファンベースとは
・ファンベースとは「ファンを大切にし、ファンをベースにして、中長期的に売上や事業価値を高める」考え方。実践に最も重要なのは、予算でも組織でもなく、「中のひととち」。どのような思いで、どのような未来を描き、努力や苦労をしながら取り組んだか、どのようにファンたちと出会い、絆を創り、成果や感動を生み出したかという、その人たちにしか創れない唯一無二の「物語」が、ファンベースの事例になる。
・感情というのが深い大きなテーマ。情報やモノがあふれ、社会的に多くの問題を抱える21世紀で、企業が生活者の感情と向き合い、世の中に「好き!」を増やしていくのは大きなテーマ。世の中に「好き!」が増えれば、暮らしに笑顔が増え、社会が幸せに包まれていく。
・感情と向き合うには、最初に自分の思いや感情を語ることから始める。自分自身の思いを整理し、語ることから付き合いは始まる。
・ファンは感情を持った人たち。「作られたい」「囲い込まれたい」とは思わない。難しいことを考えず、自分や会社の仲間が大事だと思うこと、信じる事を追求し、それをじっくり伝えていけば、必ずそれを支持してくれるファンに出会える。
・自分の思いや理念を共有し、一緒に着実に前に進めていける「仲間」が必要。焦って一人で突っ走っては何もできない。「働く」とは、「人と動くこと」。ファンも、「最強の仲間」になってくれる。今までにいなかった仲間と出会い、未来に向けてより大きな一歩を踏み出せる。それは今までにない「楽しさ」や「感動」を与えてくれる。
・一番重要なのは、「自分の会社やブランドのファンが何を望んでいるのか」をよくよく見極めること。そのためには、とにかくファンに会う。自社のファンのことを知らずに先行事例をマネすると、失敗する。
〇ロングセラーブランドが実践するファンベース
・機能価値だけでは、競合によって模倣され、いずれ陳腐化される運命が待ち受けている。今後もサービスを愛して買い続けてくれる人、購買などの「行動」と、好きな気持ちである「感情」が一致する人を把握することが重要。
・「ファンと共創する」といっても、社内からあまり理解されないこともある。社内への地道な発信が大切。
・社員を自社のファンにするポイントは、自分の仕事に誇りと自信を持ってもらうこと。商品への参加を「自分事化」してもらう。みんなの肯定感を高め、自信を持たせる。
〇ベンチャー&新規事業で必要なファンベース
・感情ある人間と向き合うのがファンベースの基本。囲い込むのは元々無理。顧客との関係性を大切にする。お金をかけなくても、顧客との向き合いでできることはたくさんある。大事なのは、なんとしてでも「自分のやりたいことをやり切る」こと。
・サービスとは本来、人が好きでないと続かない仕事。ファンベースを実行していく上で大事な資質。人が好きなら、「自分たちが用意したものをファンが楽しんでくれる」という、その一点だけで心が満たされる。「誰をどう笑顔にしたいのか」「社会にどう役立つのか」をまず考える。成功しても、「ファンへの傾聴」を繰り返す。
・ブランドや組織は、上に立っている人間がどう振る舞うかで左右される。それを文字に残すことによって、思いや考えが正しく浸透していく。一番大事なのは「志」。真の共創、顧客志向とは何かを深く考え、自分の志として言語化し、腑に落ちるまで実行することが必要。
・背に腹は代えられないという状況の中では、ファンを大切にする、組織や教育といった構造的な課題を解決することの優先度が下がりがちだが、事業がうまくいっていないときこそ長期目線に立ち返れるかどうかが、本当の会社の分かれ目。激変期だから浸透することも多く、企業にとっては変わるチャンスでもある。
・究極のファンは、「入社して一緒に働きたい」と思ってくれる人。仲間の存在は重要。「裏切られた」と思われない経営の意思決定の連続が最も重要。経営者が唱えた理念を信じてやり続ける仲間の方が、経営者よりも正しい。
・機能価値だけを追求すると、競合も追随するし、離脱する人も出る。これからの時代は、情緒価値をしっかり伝え、共感するファンが集まり、一緒にサービスを進化させていく。そして、またファンが増える。
〇愛されブランドに学ぶファンベース
・トップも含めて、社員みんなが自発的に動けるようにする。社員が自分の会社を愛せるようになると自然と変わる。自社の商品にどんな背景があって、誰が作っているのかが、企業が大きくなるほど見えづらくなりがち。社員が自発的にアクションをとれる環境が大切。
・意思がないと、ファンの声に振り回されることがある。お客様は神様ではなく、一緒に楽しむ「共感者」。できないときには、その理由をちゃんと説明すれば伝わるはず。
・地域活性化は、地元の人が自信を持って、自らが地元のファンになるところからスタートする。地域の人が地元を愛していないと、観光客も魅力を感じにくいはず。まずは、地元の人に地域の食や環境、歴史や文化までをよく理解して、好きになってもらうことが重要。
・SNSがバズることだけ考えても、一瞬で終わる可能性がある。長期間かけて理念やサービスのファンをつくること、地元の人を地域のファンにすることが大切。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ファンの事を考えて行動する。
マンガで分かりやすく、企業のファンベースポイントを学べた。 -
「ファン」というのはスポーツにも身近な言葉です。ファンベース理論の定義としては「自社のサービスやブランドを愛してくれるファンを大切にし、ファンをベースにして、中長期的に売り上げや事業価値を高める」というもので、よく耳にする用語、例えばマーケティングとかブランディングなどの元となる、実は非常にベーシックな考え方です。これまで「ファンベース」という名前は無かったし、「理論」として確立していたわけではありませんが、SNSやインターネットの発達によって顧客の囲い込みにばかり走りがちな手法とは明確に異なることから、フォーカスされることになったのではないかと感じています。選手にはお勧めの本です。
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・ファンを大切にする事でプロダクトの売上を伸ばす術を考えたい時に参考になる、事例集といった感じ。そういったプロダクトを担当する事になった際にはまた再読したい。
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【せき 私物】
ファンとはか企業やブランドが大切にしている価値を支持してくれる人
良いところを伸ばす
機能価値と情緒価値
機能はコピーできても情緒はコピーできない
物は真似れても姿勢(感情)などは真似できない
共感、愛着、信頼
↓
熱狂、無二、応援
支持基盤を固める
社内会議などの場では、歴の浅いスタッフから発言してもらう(ベテランの思い込みを減らすため)
ブレストは自部署以外の事も提案できるように
情緒価値を高める
アイデアファーム
大切な人の兄弟が来るイメージのお客様対応
距離感を保つマジックワードを使う -
人と密接にかかわるサービスのお仕事を始めるために購入した1冊。
マーケティングに携わる人でなくても、何かサービスを提供することに関わる人はぜひおすすめしたい1冊です。
「ファンベース」とは「自社のサービスやブランドを愛してくれるファンを大切にし、愛してくれるファンを大切にして中長期的に売り上げや価値を上げていくこと」と本書では定義しています。
つまり”新規顧客を増やす”考え方というより、各企業のサービスや商品をより愛用している「ファン」ぶ注目し喜ばれるようなサービスや価値を提供することで、ファンの口コミから売り上げを伸ばしていこうという考え方。
この本ではそんな「ファンベースな考え方」を大切にする考え方を実践している10の企業を取り上げています。
本書のまとめの箇所にも述べられていますが、この10の企業の「ファンベース」の考え方しかり、取り組みがとれぞれ異なるので模倣だとうまくいくとは限らないとあります。
それは各企業を愛用する「ファン」のタイプも喜び方も異なるためであり、そのため1番重要なのは「あなたの会社やブランドのファンが何を望んでいるのか」を見極めることが重要だと筆者は述べています。だからこそ、ファンが自社のサービスについて言いやすい環境を設けてファンから学びともに会社を創っていく「共創」の姿勢が会社をより発展させるために大切にしていくべきだと考えています。
本書を読んでの感想としては、
本書ではある程度成熟してファンがいる状態の企業を取り上げていますが、スタートアップの企業やフリーランスで活動されている人であっても「ファンベース」の考え方があればファンを巻き込みながら自分のサービス価値を高めていくことができるのではないかと感じました。
また本書で書いてあった企業の取り組みで要所要所使えそうな箇所があったので是非今後取り入れてみたいと思いました。
別でまた感じたことといえば、ライブ配信というサービス辺りが「ファンベース」を大切にしているのではないかなと感じました。なぜならライバーといわれる配信者がファンを大切にするからファンが「投げ銭」という形でライバーにお金を送るためです。ライブ配信は配信者1人1人がファンベースをおのずと取り組んでおり、ライブ配信事業というのがファンベースを大事にしようねという思考の元考えられたサービスなのかもしれないな考えました。
本書自体は漫画と対談からなっているのでとても読みやすかったです。
また、意外に1章の著者さとなおさんのファンベースの考え方がぎっしり詰まっていてここだけでも学びが多かったです。
さとなおさんの本は初めてだったので新書「ファンベース」も読んでみようかと思います。 -
iPadでkindle本で読了。
各章、漫画でポイントをざっくり説明した後、対談記事が続きます。
サクサク読めるのだが、ファンを大切にPRを行うことが、売上にもつながるということがストンと腹落ちします。
どこら辺まで自社に取り入れるかはともかく、広報担当は頭にいれておいたほうがよさそう。地域活性化にも役立ちそうな話。 -
「ファンベース」の実例で巨人軍が紹介されていたのが興味深かった。