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感想・レビュー・書評
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騎士見習いのロサを主人公とした物語。絵がとても良い。
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騎士だって日々の生活がある。
「メシの美味い城の騎士はだいだい強ぇのさ」
騎士グルメ、なんて話は流行りそうですがそうではなく、騎士が活躍する時代・世界での生活全般を描いた作品。
騎士がメインに据えられてはいますが、騎士・城に関わる多くの人々が描写されており、生活の臨場感があります。
より史実に近い(のでしょう。調べてはいない(苦笑))内容なので、「なるほどなぁ」と思ったり、逆に「それでいいのか」と不安になったり。
キャラクターがそのモノや事、考え方を実際に行っている様子が絵、そして物語として読めるので、その当時・この物語の人々が何を大切にし、どうなろうとしていたのか、が染み込んでくるようです。
作品の特徴として(作中でも触れられていますが)騎士譚と銘打ちながらも戦闘シーンはほぼありません(訓練くらい)。
そこに至る、備える過程をテーマにしているのが白眉。
派手さには欠けますが、ここでしか見れないものばかりと言えるでしょう。
…ただ、読んでいるとホントにこの時代・世界で生きていくのは大変なんだなぁ、と思ってしまって。
衛生管理、栄養バランス、医療レベル、法体制…作中で皆朗らかに生きていますが、恐らく平均寿命なんて今の比じゃないくらい短いのだろうと。
憧れはあれど実際にそうなりたいかと問われれば、それはご免被る。
でもきっと、彼らは彼らで一生懸命生きていて…それが羨ましいのです。
とはいえ。
正直、地味な内容のはずなんだけど、主役のロサからして色々…その…盛り過ぎなんじゃないかなぁ、と(笑)
見習い騎士と見せかけて(ネタバレ)。ドジっ子で石頭。天然タラシ。
その辺の属性を見ないとしても、一生懸命でコロコロ変わる表情、そして時にはカッとなる性格も非常に魅力的です。
また、上述のネタバレに起因する所ですが、良くも悪くもロサは何も知りません。メタ的に「何も知らない読者」と同一化します。
そんなキャラが新しいことやものに臆することなく触れ、常に感動や驚きを素直に見せてくれるというのは心地良いものです。
周りを囲む騎士達もイケメンだったり何だったりで、これ乙女ゲーですかと言いたくもなる。
その中で一推しはヒルンドー様ですかねぇ…。
冴えない感じ、ハンデ持ち…でも、強く感じる芯であるとか、年齢差(笑)とかがツボなんですわー。
もちろん、ケルウス、レプスもそれぞれタイプの違うイケメンで良き良き。
ふつーに考えてケルウスは人気出るだろうなってわかるんですが、やはりレプスの不器用さというかですね!
調理長はまず自分が食事をしっかり摂るべきじゃなかろうか(笑)
と言ってもあの職人気質で気難しそうに見えて、的確に指示が出せるのはできる上司という感じ。
それから、閑話の蜜蝋の話にも感じるところですが、城務めの人達が皆、自分の仕事が城を支えているという矜持を持っているのがいいですよねぇ。
何だかんだで皆ロサに甘いと思うけど(笑)
というわけで、以下続刊、非常に楽しみです。
城の中の話も楽しみなんですが、旅や行軍といった少し離れた所での話も読んでみたいところです。
………と言いつつ、web連載版で先を読んでてうわああああってなってるわけですが(苦笑)(2021年3月20日現在) -
ありそうでなかった、中世ヨーロッパの騎士の日常譚。
十三世紀のハローワークとか好きな人ならきっと楽しめます。
繊細なタッチで描かれる背景や建物、小道具と一緒にその時代の生活様式を見て楽しむ作品です。