これは良作ミステリだ!
一見関係のない被害者たちを結ぶミッシングリンクとは?
どのように着地するのか想像がつかず展開が読めない。次々に殺人が起こるが、犯人らしき影はまったく見えない。
しかし、4つめの話で死んだ女の子が2つめの話の事故の被害者の1人だと繋がったことで、それまで微塵も感じられなかった犯人の影が色濃く立ち上りはじめ、ああ、やられたと頭を抱えた。
見事に隠されたミッシングリンク。しかしその一角がみえると、伏線が周到に張り巡らされていたことに気づく。
ウールリッチの黒衣の花嫁が先例としてあげられているが、あちらが5人で一つの悪意だったのに対して、こちらは4人の関係のない悪意がたまたま連鎖して悲劇が生まれたという点でさらにやり切れない。
一つ目の事件で、被害者の頭に赤い糸が残っていたことから犯人は鈍器を赤い布のようなもので包んでいたことが発覚した時、それが何より不思議だった。普通、頭を殴ろうとするときに布なんか巻くだろうか?なんとなく剥き出しの方が殺傷力はありそうだ。
しかし、なるほど、娘の無念を晴らすために、娘が最後に身につけていた赤いコートを使ってたんだな。この行動で犯人が狂気の域にいることが感じられるし、そこまで追い詰められていたんだなとやりきれない。