細い赤い糸 (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • これは良作ミステリだ!
    一見関係のない被害者たちを結ぶミッシングリンクとは?
    どのように着地するのか想像がつかず展開が読めない。次々に殺人が起こるが、犯人らしき影はまったく見えない。
    しかし、4つめの話で死んだ女の子が2つめの話の事故の被害者の1人だと繋がったことで、それまで微塵も感じられなかった犯人の影が色濃く立ち上りはじめ、ああ、やられたと頭を抱えた。
    見事に隠されたミッシングリンク。しかしその一角がみえると、伏線が周到に張り巡らされていたことに気づく。
    ウールリッチの黒衣の花嫁が先例としてあげられているが、あちらが5人で一つの悪意だったのに対して、こちらは4人の関係のない悪意がたまたま連鎖して悲劇が生まれたという点でさらにやり切れない。

    一つ目の事件で、被害者の頭に赤い糸が残っていたことから犯人は鈍器を赤い布のようなもので包んでいたことが発覚した時、それが何より不思議だった。普通、頭を殴ろうとするときに布なんか巻くだろうか?なんとなく剥き出しの方が殺傷力はありそうだ。

    しかし、なるほど、娘の無念を晴らすために、娘が最後に身につけていた赤いコートを使ってたんだな。この行動で犯人が狂気の域にいることが感じられるし、そこまで追い詰められていたんだなとやりきれない。

  • (Kindle Unlimited42冊目)

    これは良くできてる。
    80%読了超えても繋がりがわからなくて、これ全部繋がる訳ないだろって思ってました。見事に繋がったし、動機も納得できる。一気読みがおすすめ。

    【ストーリー】
    汚職捜査を懸念してT鋼管野村を呼び出した某公団戸塚は佐々木係長を不安に陥れ自殺させることに成功したが、その夜何者かに撲殺される。
    続いて、友人細谷と強盗事件を起こした樋口。
    恋人の大友を盗られまいとその上司のスキャンダルを探っていた国安敏子。
    佐倉医師との心理的な確執で1人の急患を死なせた鳴瀬医師。
    4章それぞれまったく別の舞台で、同じ手口同じ赤い糸の遺留品が残された殺人事件が次々と起こる。
    犯人の動機は、復讐だった。

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著者プロフィール

1921年、山口県生まれ。本名・烏田専右(からすだ・せんすけ)。東京帝国大学工業学部卒業。工学博士。1946年、『宝石』懸賞探偵小説「犯罪の場」を投じて入選、翌年、同誌に掲載されデビュー。短編と並行して『死を運ぶトラック』(59)や『死にぞこない』(60)などの書下ろし長編を精力的に発表、62年に長編「細い赤い糸」で第15回日本探偵作家クラブ賞を受賞する。75年にコンクリート工学の研究で日本建築学会賞受賞後、本業多忙のため短編「とられた鏡」(76)を最後に断筆状態が続いたが、1990年、旧友が出版社を立ち上げた記念に長編「青いリボンの誘惑」を書き下ろし、久々に新作を発表した。2001年、日本推理作家協会名誉会員となる。2021年死去。

「2022年 『飛鳥高探偵小説選Ⅵ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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