小飼弾の超訳「お金」理論 [Kindle]

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  • 光文社
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感想・レビュー・書評

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  • Kindleにて読了。
    小飼弾のお金にまつわる考察。
    複式簿記、会社、税、ベーシックインカムについて書かれている。
    プログラマでもある小飼弾による説明ということもあり、理解しにくい経済の話もスッと入ってきた。

    ・お金の貸し借りによって経済規模(BSの高さ)が拡大していく
    ・低金利でお金を借りて、そのお金を元手に投資・事業を行い、金利以上の利益を出すのが会社。儲からなくなった時点でつぶれるべき。儲からない会社を延命してもろくなことにならない。大事なのは人が生活に困らないこと。
    ・不労所得を得られる資本を持つのが理想だか、しょぼい端金しかもってないなら全部自分にツッコむべき
    ・自動化で仕事がなくなるのが問題ではない。仕事がないと死んでしまう社会が問題

  • 資本主義というゲームを、どうしたら面白くできるか。本書を読んでいて、息子に付き合って、ポケモンカードのゲームをしていたことを思い出した。息子的にはポケモンの世界に入れるだけでも楽しいかもしんないけどさ。強いカードが出たら、もはや自動的に勝てる、ひっくりかえることはない、というか、自分の判断や技量、頭を使うところがないっていうのがつまんなかったんだよね。「つまんないから、パパもうやだよ」と言っちゃったものなぁ。
     つまんない資本主義って、これと同じじゃないかと思えたのだ。生まれであったり、あるいは日本に生まれたということ自体がもう、そうなのかもしれないけれど、それで決まっていて、あとはもう動きようがない、ってやっぱりつまんないよなぁ。
     こういう視点があるのか、となかなか刺激的だったな。

    「日本企業において労働者が搾取され続けている理由の1つは、労働者が自分たちでリーダーを選んでこなかった、あるいは育ててこなかったから。」

    「グローバル企業は、「ありえないヤツ」も戦力として動員できているから強い。日本は、労働者のレベルが高いがゆえに、上に立つ人たちがあまり頭を使わずに済んでいる。」

     などなど。いろいろラインを引くところがあった。

     頭を使って、自分の行先を少しでも考えていきたいね。

  • ● 位置: 36
    お金には大まかに分けて、「価値尺度」「交換手段」「価値貯蔵」という3つの機能があります。   価値尺度 というのは、モノの価値を客観的に表す物差しということ。この機能のおかげで、牛1頭は 50 万円、豚1頭は5万円、定食1食分1000円、皿洗いの時給1000円というように、まったく異なるモノやサービスの価値を比較できるようになります。  牛1頭と豚 10 頭の価値が同じだとしても、実際のモノを用意しないと交換できないのであれば、なかなか取引は進みません。そこでお金を交換手段として使い、 50 万円を払って牛1頭買う、時給1000円を払って皿洗いのバイトを雇う、といったことを行うわけです。これが 交換手段 ということですね。   価値貯蔵 というのは、今すぐお金を使わずに取っておけるということ。肉や野菜のような生ものはすぐに腐ってしまいますが、お金に換えてしまえば腐ることはなくなり、使いたい時に使える


    ● 位置: 313
    バランスシートに記載されていないと、資産価値が本当はどれくらいなのかわからなくなりますから、バブル崩壊後には会計基準や商法の改正が行われました。決められたスパンで資産価値を洗い出し、バランスシートに記載することが必須になったのです。土地などの資産価値が買った時よりも上がった、あるいは下がったら、「特別利益」「特別損失」として記載するルールができました


    ● 位置: 330
    よいバランスシートとは何か。   答えは簡単で、左側の「資産」に占める現預金(およびそれに準じる資産)の割合が高く、右上の「負債」の割合が低いこと。  資産に占める現金の割合が高ければ、いつでも好きなタイミングで負債を減らすことができる


    ● 位置: 490
    大して教えなくても最初からできるヤツはいますから、そういう人間向けのエリート教育を重視するべきだと主張する人もいます。 だけど、教育ではできるヤツを徹底的にできるようにするだけではなく、できないヤツをある程度できるヤツにする、その両方が必要です。残念ながら、日本ではそのどちらに対してもしょぼい投資しかされていない


    ● 位置: 549
    彼ほどの資産がないのであれば、最初に世の中を変えようとするのではなく、もっと小さな力で動くものから手をつけるべきです。  それは何かと言うと、自分。   自分の考え方を変えるのが、一番エネルギー効率のよいやり方です。考え方を変えて、自分の行動を変えるところまで持っていけるようにする。   そのためには、何に「投資」するのかを選ばなければなりません


    ● 位置: 763
    日本では、国民の自由が保障されています。みなさんには、自分を安売りする自由もある。給料が安いという人は、その自由を行使しているだけなのです。  ブラック企業という存在は、「こいつらを奴隷のように使ってやろう」と舌なめずりしているブラック経営者だけで成り立っているわけではありません。使われることをいとわない、奴隷労働のほうがおいしいと考える「ブラック労働者」がいるから成立している


    ● 位置: 833
    あなたは、奴隷になってはいないでしょうか? 「会社の外にいる人」なのに、進んで働きすぎてはいませんか? 立場の強い組織に振り回されるような仕事で、消耗したりしていませんか?   会社は、あなたがいなくても回る。  


    ● 位置: 1,221
    経済界と政府の無策によって、侵害されているのは労働者の権利だけではありません。何度も繰り返してきたように、会社は(少なくとも株式会社は)株主のものです。 経営者が会社の利益を損なう行為を犯しているのであれば、政府がきちんと止めないといけない。 そうしないと一般の投資家も含めた株主が損失を被ってしまう。  株主の権利もないがしろにされてきたのです


    ● 位置: 1,252
    雇用契約なのに、なんとかして裁量労働の対象を拡大しようとするのは、「働かせ放題」にしたいからに決まっています


    ● 位置: 1,254
    自分の裁量で働いて得をするのは、きちんとそれに見合った報酬を受け取れる人だけです。  稀少なスキルやコネを持っているのであれば、会社からの依頼を受けて業務委託契約を結ぶのはよいでしょう。労働力ではなく、ユニークな価値を提供できるのであれば、時給で働くよりもずっと有利になることもあります


    ● 位置: 1,344
    日本では、正規の賃金なしで時間外労働することを「サービス残業」と呼ぶ慣習があったりしますが、これは明確に労働基準法違反です。それなのに、労働者自身が「サービス残業」と言い、それを受け入れてしまう傾向がある。  大きな理由の1つは、「思い込み」でしょう。「命令されたら、とりあえず従う」というメンタリティを、子どもの頃から刷り込まれてしまう。  小さい頃から縄を首に付けられて育ち、動ける範囲を制限されてきた子犬みたいなものです。大きくなって縄なんていつでも切って自由になれるはずなのに、そうしない。そうしようと思いつきもしない。  日本の学校で子どもたちが受けている教育は、もしかしたらこういうことかもしれない、そう僕は恐れています。


    ● 位置: 1,454
    持てる者=金持ちたちの立場からすると、消費税はとてもおいしい税制です。  消費税というのは、一見フェアに見えてこれ以上にないほど、アンフェアな税制です。単にアンフェアなだけではなく、経済の邪魔もしてしまう。 これほど経済の邪魔をする税制は他にはありません


    ● 位置: 1,481
    消費税は、税の最悪形態だと僕は考えています。消費しなければ節税できるということは、言い換えれば「消費に対する罰」として機能しているということ。モノやサービスを買うたび、消費者は政府に罰せられているのです


    ● 位置: 1,519
    日本よりも消費税率の割合が高い国はいくらでもあり、北欧などでは消費税率が 25% にも達しています。これをもって日本の消費税率はまだまだ低いという人もいますが、この意見はちょっとおかしい。日本の消費税は、税率が「ようやく二桁パーセント」であるにもかかわらず、所得税を抜こうとしているのです。  なぜこんな奇妙なことが起こるのかと言えば、税制がきちんと設計されていないからに他なりません。  消費税以外の所得税や贈与税、相続税等々、税全体を 俯瞰 して、どういう税制が望ましいかを考えてこなかった。ひたすらお金持ちの負担を下げる方向にばかり進んでしまった


    ● 位置: 1,895
    政治団体を作り、自分たちの言うことを聞いてくれる国会議員を永田町に送り込み、ロビーイング活動をする。そうやって自分たちにとって有利な法案を作っていくのです。  経営側は、自分たちの仲間をたくさん永田町に送り込んでいますよ。政治家のパーティ券を買っているのは、持てる者たちです。自民党政権になろうが、別の政党が政権を取ろうがそれは変わらない。  労働者はわざわざ政治家のパーティ券を買ったりしませんが、権利のために闘うには、こういうレベルから始めないといけない。  ロビーイングに必要なお金はいったいいくらなのか、誰を雇えばいいのか、どうやってお金を集めればいいのか。   これが現代における、労働運動です


    ● 位置: 1,987
    これまでの日本型システムでは、福祉は民間企業によって提供されてきました。  怪我や病気をしたら、会社の健康保険を使って治してください。  結婚したり、子どもができたりしたら、会社から扶養手当をもらってください。  定年退職したら、会社でかけていた年金をもらってください――。  ついでに言えば、会社は税金や社会保険料を納める窓口にもなっています。給料から税金や社会保険料が天引きされるようになっているため、政府としては取りっぱぐれがない。   本来は政府がやるべき多くの仕事を、会社にアウトソースしている。  会社はもうそんな負担には耐えられなくなって、多数の労働者にとっての福祉を提供する仕組みは崩壊してしまいました。福祉を提供せず、ブラックに従業員を働かせたほうが儲かるに決まっていますからね。  それなのに、未だに福祉はどこかの会社に籍を置いていないと与えられない。

  •  修正資本主義の必要性の本
    何らかの方法で消費者をポンプアップしないと、
    金余りが止まらなくて、金持ちも儲からなくなるよね。
    という話。

     ワシは氏のblogなどを追ってるせいか、はたまたtwのタイムラインのせいか、当たり前過ぎて、特に驚きはなかった。でも。たとえば2chのひろゆき氏の様な頭のイイ人でも、いきなりこの本を読んでも「そうなのかなぁ」と思えないかもしれない。と漠然と思った。
    どこが難しいのかと言えば、引いた視線ですかね。

     ただ、「絶対円安は許さないマン日銀」が本気で消費者に再分配始めて、世界のマインドが「やばい!円安くる?」って溶けたら、一気に日本円が紙切れになるんじゃないか?という心配はある。
    ドルが底をついた第2の敗戦中の日本が立ち直れるかは正直疑問。

    そして、地続き程度の再分配では効果もないだろう。
    地震前にやっておけばよかったのに。

  • 「賃金を上げろではだめ。金を生み出す仕組みの所有権をよこせと言わないといけない。」というのは確かに魅力ある主張だが、これを国の制度として実現するにはどうしたらいいのか分からない。自分が生きている間には実現しなさそう。

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著者プロフィール

1969年生まれ。ブロガー、プログラマー、投資家。カリフォルニア大学バークレー校中退。オン・ザ・エッジ(現ライブドア)のCTO(取締役最高技術責任者)を務めた。現在、ディーエイエヌ有限会社代表取締役。2004年に開始したブログ「404 Blog Not Found」は月間100万ページビューを誇る。著書に『弾言』『決弾』『未来改造のススメ一脱「お金」
時代の幸福論」(岡田斗司夫氏との共著)(以上アスペクト)、『小飼弾の「仕組み」進化論』(日本実業出版社)、『空気を読むな、本を読め。小飼弾の頭が強くなる読書法』(イースト・プレス)、『新書がベスト』(ベストセラーズ)など。

「2011年 『働かざるもの、飢えるべからず。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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