10代から知っておきたい あなたを閉じこめる「ずるい言葉」

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  • Audible Studios (2021年1月22日発売)
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  • 世の中には「ずるい言葉」があふれている。

    「あなたのためを思って言っているんだよ」
    「そんな言い方じゃ聞き入れてもらえないよ」
    「傷ついたのも良い経験だったんじゃない?」
    「悪気はないんだから許してあげなよ」
    「これは差別ではなくて区別」

    あー。これ、よく言われるわ。男性の、先輩に。
    けれど、私はそこに上から目線を感じてなんとも言えない不快な思いを感じていた。
    先輩だし、仕事はできるし、上位職だし、普段は頼りになるし、別に嫌いじゃないし…
    だから言い返せない(たまに言い返すけれど、仕事に支障の出ない程度に)。
    でも、それを繰り返されると、自分が本当にダメで、使えないヤツに感じてくる。
    彼らは私の自尊心を深く傷つけたのだ。

    さて、本書はそうした、自分が被害者である時のモヤモヤを代弁することで和らげてくれる。
    一方で、自分の言葉が誰かを傷つけてしまったかもしれない、と怖くなる。
    自分が失敗してしまったことが気まずくて、相手のせいにしていないか?
    私は相手の心を受け止めようとしていたか?
    もちろん、本書に対する反発もなくはない。
    「言い方が悪い」と言われたら頭にくるけれど、明らかに無礼だって時もある…
    じゃあなんと言ったらいいのかな?考えてみよう。

    本書は大人にはなかなか受け入れられないかもしれない。
    上司がいて、部下がいて、上司は指導する立場。
    本書に書かれていることは正しいと思うし、理想的だ。
    しかしいくら、アドラー的な、人間は皆対等だ、とか、自己の責任を相手に押し付けるなと言っても、たった1人では立ち向かえない。
    でもそれはおかしい、変えたい!
    だから、ちょっとずつ、変えていこう。
    自分を変えて、指導する立場にいるなら本書のずるい言葉を使わないようにしよう。
    子供たちに教えていこう。
    差別は無くならないからそんな行動は無駄?
    いやいや、それもずるい言葉。
    試みは無駄になんかならない。
    必要なことは、知ること、知ろうとすること。
    完璧じゃないから、理想を求めよう。
    大丈夫、気づけたのなら、きっと、何かが、変わっている。

  • 【印象に残った話】
    ・相手のことを思っている体で、私達は以下のような言葉を使うことがある

     ・「あなたのためを思って言っているんだよ」
    →本当にあなたのためかどうか確信は持てないが、相手の立場に立てていない自分を正当化するための言葉
     ・「そんな言い方じゃ聞き入れてもらえないよ」
    →主張の内容は良くわからないが、言い方は柔らかくすべきという良識に反している点だけを取り上げて自分を正当化するための言葉
     ・「どちらの側にも問題がある」
    →主張の内容は良くわからないが、自分以外を悪者にして安全地帯から傍観するための言葉
     ・「友達にいるからわかる」
    →事実を正確に確認したわけではないが、おおよその推測でとりあえず相手を安心させるための言葉
     ・「身近にいないからわからない」
    →正確な判断ができない自分を正当化するための言葉
     ・「いちいち取り合っていたらそいつと同じレベルになっちゃうよ」
    →主張の内容は良くわからないが、自分以外を悪者にして安全地帯から傍観するための言葉

    【考えたこと】
    ・上記の言葉が出る根本的な発想は相手への無関心
    ・今後も良好な関係を築いていきたい相手には、自分の発言が本当に相手のためになっているかを立ち止まって考える習慣が大切

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著者プロフィール

作曲家、社会学者。1982年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程単位取得満期退学。第22回朝日作曲賞受賞。第13・18・20回朝日作曲賞佳作受賞。大学院生時代には東京大学コーロ・ソーノ合唱団の学生ピアニストとして松本望氏の合唱組曲『むすばれるものたち』の初演に携わった。作品はBRAIN MUSIC、音楽之友社、教育芸術社、Pana Musica、カワイ出版から出版されている。現在、早稲田大学文学学術院准教授。社会学者として大学での研究、教育もおこなっている。

「2023年 『混声合唱とピアノ連弾のための組曲 いつか必ず光は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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