未来職安 (双葉文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  •  電子書籍セールだったので購入。人間の仕事の大半は機械化され、人口の九十九パーセントが「消費者」として生活基本金を支給されて暮らし、限られた一パーセントの「生産者」が世の中の富を生産し納税する、という未来の世界。同じ設定の短編が『まず牛を球とします。』にあった。
     あとがきで、作者としてはこの未来を「良い未来」とも「悪い未来」とも意味づけてはおらず、ただの未来として、そういう日常生活がある未来として書いたとあった。そんなあとがきまで含めてやっぱり好き。「平成の探偵事務所のような」と形容される職安が主人公の職場であり、いろんな事情を抱えた依頼人が職を求めてやってくる。それに対応しつつ、主人公の人生にも何らかの動きがあり…ととてもドラマ化(アニメっていうよりはドラマっぽい)しやすそうなフォーマットだが、この未来の日常感を醸し出す、つまり未来人である彼らの常識や固定観念や悩みや喜び(その範疇は当然「仕事」だけには留まらない)といったものを表現できるのは、やっぱり小説ならではという気がする。
     職安の上司である大塚さんのセリフは、横浜駅でいう大隈さんボイスで脳内再生された(audibleで聴いたから)。このタイプの男性が湯葉界のヒーローなのだろうなと想像。

  • 高校生の頃、自分が祖父母くらいの年齢になった時、世の中をどうみてるだろう?読了後、この疑問への回答例を得た気分になる。
    ネットがない、車がない等時代の話を聞くと、よくそんな時代を生きたものだ、まるでおとぎ話だなぁと感心してた。
    この本の世界では同じ事を自分が言われる側になると、笑えた。

  • ロボットが発達し、大半の人間が"仕事"から解放された未来。99%の"消費者"と1%の"生産者"で構成された社会で、あえて職安に仕事を求めてやって来る人たちとは?


    たまたまだが、先日読んだ『タイタン』とベースがモロかぶり。だが話の方向性は全く異なっており、『未来職安』は仕事から解放された未来の"日常"を綴った話だ。
    「働かざる者喰うべからず」の掟から解き放たれたにも関わらず仕事にこだわる人々。相も変わらずしようもない仕事を生み出す社会。そんな社会における家庭のあり方などを、「うわぁ」と苦笑いしながら楽しむ作品になっている。

    作中に「人生とは縛られる柱の選択だ」という言葉が出てくるが、まさに職安とは柱を求める人のために開かれた場所なのかもしれない。

  • 面白い世界だった。こんな未来だったら楽しそうだなと思う。
    ただ誤植が多くて双葉社への信頼が……校閲ちゃんと通してこれなの……?

  • 面白かった。ディストピアでもなく、ボケッとした未来で魅力的だった。NHKとかでドラマ化して欲しい。

  • 横浜駅SFに次いで読了。横浜駅SFでも感じたが、外国の設定がない世界観。独特。

  • 働かなくて良い夢の?社会。
    でも、様々な理由で「働きたい人」に
    仕事を斡旋する不思議な話。

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著者プロフィール

2016年、小説投稿サイト「カクヨム」に投稿した『横浜駅SF』が第1回カクヨムWeb小説コンテストSF部門大賞を受賞し、デビュー。著書に『重力アルケミック』『未来職安』『人間たちの話』『まず牛を球とします。』他。

「2022年 『SF作家の地球旅行記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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