組織が変わる――行き詰まりから一歩抜け出す対話の方法2 on 2 [Kindle]
- ダイヤモンド社 (2021年4月20日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (253ページ)
感想・レビュー・書評
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■感想
大事なのは犯人探しではなく、他者の語りを通じて問題を捉えるナラティヴを広げてみたり、問題に名前をつけて、人と問題を切り離して考えてみたりすること。
■Todo
組織の根本的な闇を解決する一つ方法を発見できて
良かったと思います。この改善を提案するコンサル業を行いたい。 -
「組織の慢性疾患」を「解決・解消・寛解」するのではなく うまく向き合っていく、その端緒を探るための考え方を記した本。
そのためのアプローチとしてシンボリックに 2on2 というものも紹介されているけど、本書の本質は決してそこではない、と思う。
「自分も問題の一部」だと認識するために、メタ認識をうまくするためにはどうしたらいいか、そこなんだと理解。
「岡目八目」メソッド、とでも言おうか。
個人に見える範囲のナラティブを積み重ねる、ことって割とすぐに忘れがち。よく抽象的な課題にしてしまうので反省。 -
所謂大企業病を変革という外科的手術で治すのではなく、慢性疾患と捉え、内科的診療で一生付き合っていくことで結果として大企業病が治っていくという発想は、私にはなく、とても新鮮で面白かったです。
著者が繰り返し述べられている「自分もその問題の一部であることに気づく」ことは、普段から意識していても一人では難しく、そのために他者の視点を対話から得ることで、自分が当事者であることに気づける。他にも問題に対し何が問題かに気付くためのエッセンスが詰まって素晴らしい本です。 -
対話によって組織を変えるための具体的な方法を記述した著作でとても面白かった。
筆者の提唱するのは、2on2という手法。これは、1on1を2組用意し、困っている人ともう一人がその問題について語る。2組は順番に会話をして、その会話をもう一方は聞くという構成。
やはり大事なのは、個人を糾弾しないという点。問題の原因を個人に求めず、それが起きる構造に注目する。大事なのは、その問題は困っている人が関わって起きているということ。
そして、1つ面白いと思ったのは質問方法。その問題をもっと大きくするためにできることはありますか?というもの。これを問われることで、自分が問題の構造の一部という認識が生まれる。 -
当事者研究の視点も多分に合流させながら、企業組織を考察し、きちんと具体策まで考案・実践した一冊。参考図書にある『薬物依存症』や、熊谷先生・國分先生の『責任の生成』も読んだ上で読み返すと、また味わい深そう。
宇田川先生の論説は、いつも優しさと厳しさの塩梅が心地よい。先生自身が、「経営学という偏狭なナラティブ」をビジネス現場はもちろん、当事者研究などの他分野研究を積極的に取り入れながら、自分自身のナラティブを押し広げ続けている。その仕事の姿勢にも感銘を受けた。