影響力の武器[第三版] なぜ、人は動かされるのか [Kindle]

  • 誠信書房
4.26
  • (47)
  • (34)
  • (9)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 859
感想 : 43
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (527ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 人はどのようにして、ある行動を行うことを決断するのかがわかるようになる本だ。もう一つの『人を動かす』だといってもよいだろう。
    本書は社会心理学者であるロバート・B・チャルディーニ氏が書いた、他人を行動に導く、すなわち影響力を与えるために重要なことについての本だ。具体的な事例は、説得のプロであるセールスマン、募金勧誘者、広告主、詐欺師、宗教家の世界からもってきており、どのように人は騙されるのかがよくわかる。そしてそれらの方法から共通する部分を抽出し、影響力を与えるための6つの原理にまとめている。それが返報性、コミットメントと一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性だ。
    それぞれの原理の内容は実際に読んで確認してほしいが、自分、もしくは周辺の人間の事例に当てはまることがあまりに多くて驚くとともに、普段見かけるなにげない広告ですらこの要素に溢れていることがわかる。
    今後自分が、重要な選択をする際の糧となる本だ。

  • 人は何かしらのバイアスがあれば流れ易くなるって事だな。
    それが五感だったり、肩書き等の権威、義理や情、大衆…
    要は、あれなんだよな。魚釣りなんだよな。
    匂い、味、動き、波動、大衆心理、音様々な事を使って魚をバイトさせる訳じゃん。
    全部の魚に当てはまる訳じゃないけど、それなりに法則性は出てくる。

    結局人間はじめ全ての生き物もこの程度なんだろうな。

  • とんでもない本を読んでしまった。。。という気持ち。なぜもっと早く読まなかったのか・・以前、あまりの分厚さに挫折した書籍。kindle本で音声読み上げを使って再読。面白すぎる。。返報性の法則の仕組みと社会実験が特に衝撃。1970年代初版という古い本だが、この本は全く色褪せずに今後も読み継がれていくことになるんだろう。名著。

  • 「欲しくもないモノを買わされてしまった」「怪しい儲け話に乗せられてしまった」
    このような事態に陥る理由は何なのか?社会心理学の分野でロングセラーを続け、米国では社会心理学のテキストとしても使われている本書は、そのタイトル通り、人に影響を与え、人を動かすための心理を解説している書籍。

    人間の行動の多くは自動的である。
    「高価なもの=良いもの」といったように、標準的な原理に従おうとする。たいていの場合、それが最も効率的だからだ。生存戦略である。

    こうした自動的反応の裏には、心理学的原理が働いており、それは、次の6つの基本的なカテゴリーに分類できる。
    ①返報性のルール:
    他者から何らかの恩恵を施されたら、そのお返しをせずにはいられなくなる。(先にGiveを行う)

    ②コミットメントと一貫性:
    一度決定を下すと、そのコミットメントと一貫した行動を取り、自らの決定を正当化しようとする。(日常生活ではその方が望ましいとされているから)

    ③社会的証明:
    「他人が何を正しいと考えているか」に基づいて、物事の正否を判断する。ある行動をする人が多いほど、それが正しい行動だと見なす。(みんながやっているから。募金箱にあらかじめ小銭を入れておく)

    ④好意のルール:
    自分が好意を感じている人からの頼み事は、受け入れる傾向にある。(外見、ハロー効果、類似性)


    ⑤権威:
    権威者に命令されると、それに従うことが自分の利益になると思い、自動的に服従してしまう。(医師や教授)

    ⑥希少性:
    手に入りにくくなると、その機会がより貴重なものであると見なす。(数量限定、最終期限)

  • 人は、思考の近道を欲している。これ自体は良いことであり、限られた時間の中で価値ある意思決定をするためには必要な意識であると思う。
    ただ、急いでいる時、ストレスを感じている時、確信が持てない時、関心が持てない時、注意散漫になっている時、疲れている時に、人々は得られる情報が多いにも関わらず、断片的に情報を収集し、受け入れてしまう。「証拠が1つあれば充分だから承認しよう」という具合だ。
    その状況下で、思考の近道を欲すると、影響力の武器を利用した悪質な人間に騙されたり、見当違いな行動をしてしまったりというリスクが大きくなる。
    以上の出来事を避けるためには、常日頃から余裕の持った生活を送り、心にゆとりをもつことが必要だと思う。仕事中や休日で余裕をもつには、余白の時間、情報に触れない時間を持つべきと考える。やることが多い現代社会において余白の時間を設けることは難しいが、「時間を無駄にするかもしれない」という恐れを勇気を持って取っ払い、実行するしかない。

  • 面白かった話や実験

    ep1 人は「価格が高い=良質」と判断してします。カチッ・サー
    →売れ残りのトルコ石の価格を2倍にしたら、売り切れた話。
    --------------------------------------------
    ep2 お願い+「○○ので(理由)」をつけると承諾率UP
    →コピーをしてる人に、先に取らせてくれとお願いする。
    ・普通→60%
    ・急いでいるので→93%
    --------------------------------------------
    ep3 報復性「人は与えられたらお返しをせずにはいられない」
    →コーラをくれた人から宝くじを買う
    →宗教寄付を募るために、お花を勝手にプレゼント。ハレークリシュナ協会
    →BUG販売方法
    ①「無料で、この電化製品の詰め合わせをおかせてもらって、3日間お試ししてほしい」
    ②報復性のわなで一個くらいは買ってくれる
    ③次の家で、そのバックを置かせてもらう。

    ep4 相手に譲歩されると、その後だされた小さい要求はOKしたくなる
    →少年「ボーイスカウトサーカスのチケット買いませんか?今一枚5ドル」
    →断る
    →少年「そうですか。それじゃあチョコバーいかがですか?一本たったの1ドルです」

    ep5 人は想像以上に一貫性を取りたがる。一度でもコミットメントさせると…
    →寄付の電話
    最初に、「いかがお過ごしですか?」
    →「いい感じだよ」
    →「そうですか。今回電話したのは不幸にも被害にあってしまった○○のために寄付をしていただきたいのです」

    →「安全運転をしよう」大きな看板の設置
    ①2週間前に「安全運転キャンペーン」のシールを張ってくれと頼む
    ②2週間後、庭に大きな看板を設置させてくれと頼む
    ③承諾してしまう

    →サダト大統領の交渉前
    ①交渉に入る前に相手に「貴国の国民は協調性が高く公正であることで広く知られている」と伝える。
    ②相手はその通りにふるまおうとする。

    ep6 社会的証明|多数の他者が行っている行動に、影響されてしまう。
    →犬をこわがるこども
    ①小さな男の子が犬と楽しそうに遊んでいる様子を一日20分間みせた
    ②四日後には67%の子供がみずから犬と遊び始めた。

    →一人ぼっちで内気なこども
    ①独りぼっちの子供が、徐々に社会的な活動をしている他の子供たちの活動に加わっていく映画を見せた。
    ②映画を見た子どもは、そのあと仲間を引っ張っていくような行動を見せるようになった。


    ep7 不確かな状況のときに、人は周りの人の行動に従う。
    →殺人事件を窓から目撃していた35人の住民は、被害者が殺される35分の間、だれも通報をしなかった。
    →大多数の人がいるときに、誰かが通報するだろうという思考と、不確かな状況のときに、ほかの人の行動に追従してしまう。

    ep8好意|自分のことを好きと言ってくれる人には、お世辞とわかっていてもよくしてしまう。

    →車売りの営業で、億万長者になった人の手法
    顧客全員に、手紙を年12回ペースでだす。内容は「あなたのことがすきだ!」

    対立と強調
    過去に接したことがあるものに交換を抱くというデータに基づき、人種関係の改善に「接触アプローチ」を取ろうとするがそれは間違い

    多人種の生徒たちは、同じ教室で、接触する機会が増えれば、好意を持つはず
    →逆に、偏見や敵対心を増幅させる結果になった。
    ①同じ教室になる
    ②しかし同じ人種どうしでかたまってしまう。
    ③グループが生まれると、競争や対立が生まれることになる

    →シェリフのキャンプ場での実験
    ①子供たちの住居を2つにわけた
    ⇓「われわれと彼ら」という関係を作った
    ②大人が住居グループを「イーグルスとラトラーズ」となずけた。

    ③競争と対立が激化した。威嚇、暴力、競争、罵声

    ④どんなたのしそうなイベントでも、喧嘩がおこってしまう状況に

    ①競争をすると、全員の利益を損ね、協力すると、お互いの利益になるような一連の状況を作った。
    例)食料を運んでくる唯一のトラックが故障し、みんなで押したり、引いたり
    ・キャンプの水道をわざとせき止めた→みんなで問題点を見つけ出し修理
    ・おもしろい映画を借りたいけど、お金ないとつたえる。→みんなでおかねだして借りる
    ②時間はかかるけど、次第に、仲良くするように。親友リストにも別チームの名前が入るようになった。

    共通の目標も持つことで、協力をするようになる

    ジグソー教室(協力を促す教育)
    ①試験週間に、それぞれの生徒一人ひとりに、試験に合格するために必要な情報を一つずつ与える。
    ②試験に合格するために協力をしだす。

    これは、多人種間でも確認され、このアプローチをとっていない教室と比べると、明らかに、人種間の友情を深め、偏見を少なくさせることに成功した。
    また
    少数人種生徒の自尊心、学校への好意度、テストの成績が向上した。

    ep9 権威の持つ恐ろしさ
    実験
    集まった実験者でペアを組んで、教育者と回答者にわけさせた。
    回答者は、問題をおぼえ、回答していく。
    教育者は、問題を読み上げ、回答者がまちがえたら、電気を流すスイッチをおす。
    電圧は間違えるごとに上がり、最後には450Vまで生き、激痛・悶絶レベルに達する。
    教育者は、白衣を着た試験管に続けろといわれるだけで、目の前の回答者がどんなに、もうやめろといってきても、65%の人が最後までスイッチをおしつづけてしまった。
    権威には逆らえないという実験。
    ※実は回答者は演者で、痛がり、哀願するふりをしている

  • 【XD推薦図書】
    何かをもらったら、その人に対して借りを作ったと感じるのは、人間の本能である。
    それはどのような原理なのか、それが社会でどのように利用されているのかがわかる本。
    ユーザ理解の前提となる人間の行動原理を理解するのを助ける本。

  • 脳科学や心理学、人間工学といた科学のエビデンスに基づく説得技術に逆らう術はなし・・・だまされていない!っと思っていたが、各所でやられていることに気が付いてしまい、社会ってのはあらためて虚構の世界だなと、当時、だいぶやる気がなくなった・・・
    でも、絶対知っておくべき知識だ。

  • 大学生のころから何度も読み返した本。広告・マーケティング関係の仕事をしているので、今でも読み返します。それくらい本質的というか、人間を理解する上で欠かせない一冊。
    https://introbooks.info/business/influence_science_and_practice/

  • 【目的】
    DaiGoおススメ本。MBA必修科目のManegement Operation授業内でも触れられており、Negotiation授業の受講前に復習のため、6つの影響力(返報性、一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性)について理解を深め、実際の行動に活かせるようにするために読んだ。
    具体的な事例を基に各影響力を説明しており、日ごろの出来事の裏側に6つの影響力が多分にあったことを実感した。少なくとも各影響力に一つは直近の出来事を説明する内容があった。人間が生まれ持ってプログラムされている影響力を理解するための良書。

    【メモ】
    ・頼みごとの成功率を上げるのは、「~ので:because」をつけるかどうか。理由の内容は関係ない
    ・判断のヒューリスティック:単純な思考で物事に対処する簡便法
    ・オンボロアパート⇒普通とみせることで、後者が際立ってよく見える

    【返報性】
    ・返報性は嫌悪感を凌駕して強い力を発揮する(宗教)
    ・郵送アンケートにチェックを同封
    ・レシートに飴をつけるとチップの額が上がる
    ・返報性のルールに従わない人は嫌われる
    ・譲歩されると譲歩し返す義務感を感じる。「ドアインザフェイス」
    ・拒否させて譲歩:譲歩されたことに対して恩義を感じる
    (防衛法)好意はとりあえず受ける。罠と判明したときには搾取と定義しなおして搾取で返す。

    【一貫性】
    ・クリスマス前、メーカーは親が子供に約束した人気商品を少ししか卸さない。結果、年末商戦後に別途買うことになる。
    ・How are you? は上手くいっていることを自己承認させるテクニック
    ・小さな要求から段階的に大きな要求へ「フットインザドア」
    ・テレアポ客に対し、なぜそれを選ぶのか理由をはっきり言わせる
    ・アムウェイは販売員に目標を設定させ、紙に書かせる
    ・意見を公表(パブリック・コミットメント)することで意見を持続させる(禁煙、資格取得)
    ・フラタニティや部族の成人儀式等、苦難を超えた入会は、得たものの価値を高く見積もり、コミットメントを高める(CDレンタル vs 購入)
    ・人は自分が外部からの強い圧力無しに、ある行為をする選択を行ったと考えるときに、その行為の責任が自分にあると認めるようになる
    ・子供に何かさせたいときは、子供自身が責任を感じるよう(自分で進んで取ったと感じるよう)におぜん立てをする(⇔脅し、褒美)
    ・「承諾先取り法:ローボールテクニック」決定を下させた後に、有利な条件を取り除く
    ・朝にやることリストを設定することでコミットメントの力を利用できる
    ・50歳以上の個人主義者(アメリカ人)はかかりやすい
    (防衛法)不当なコミットメントを強いられた際には胃や心の奥底からシグナルが発せられる。現時点の知識を持って、当初と同じコミットメントをするかどうか再考する

    【社会的証明】
    ・特定の状況で、ある行動を遂行する人が多いほど、人はそれが正しい行動だと判断する
    ・ナイトクラブでわざと入場制限して外に行列を作る。目に見える社会的証明をでっちあげて、店の質を高く見せる
    ・他者の行動を映画にして見せることで、子供たちの行動に変化を起こせる
    ・曖昧(面識のない人々が多数いる)の中で、誰も行動を起こせない「集合的無知」が生じる。e.g. 助けられそうな人が他にいれば、一人一人の個人的な責任は少なくなる
    ・緊急援助が必要な際(交通事故)周囲の人の責任の不確かさを提言する。助けの必要性を正確に伝える。
    ・社会的証明は類似性があると高まる e.g.子供は同年代の友達の行動をまねる
    (防衛法)①類似した他者が行う明らかに偽りの証拠に敏感でいる②行動決定の際は、他者の行動だけを基に決めない

    【好意】
    ・身体的魅力、類似性、繰り返しと馴染み、連合(関連付け)
    ・友人が実際そこにいなくても、その名前を口にするだけで商談が進む(紹介営業)
    ・悪い知らせをする人は疎まれる e.g.天気予報士
    ・クレジットカードマークがあるトレーの方がチップが多くなる
    ・「ランチョン・テクニック」食事中に関わりのあった人や物をより好きになる
    (防衛法)承諾を引き出そうとする相手に過度の好意を持っていないかに敏感になる。申し出の内容そのものを切り離して考える。

    【権威】
    ・肩書、服装、自動車
    ・高名な肩書を持っていると、身長が高く見える
    ・高級スーツ、高級車が権威のシンボルとなる
    (防衛法)「この権威者は本当に専門家だろうか」「この専門家は、どの程度誠実なのだろうか」

    【希少性】
    ・手に入りにくくなるとその機会がより貴重なものに思えてくる
    ・できる時間が無くなりつつあるというだけで、対して関心が無いことを行ってしまう
    ・心理的リアクタンス(検閲)、制限されたものに対して価値を置くようになる
    (防衛法)冷静さを失わずに理性で対抗する。まず興奮を静め、なぜそれが欲しいのか機会の利点を評価する。

全43件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

Robert B. Cialdini|アリゾナ州立大学名誉教授、社会心理学者、Influence at Work社代表

「2020年 『ポケットブック 影響力の武器』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ロバート・B・チャルディーニの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
スペンサー ジョ...
岸見 一郎
赤羽 雄二
ジェームス W....
リンダ グラット...
D・カーネギー
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×