〈イスラーム世界〉とは何か 「新しい世界史」を描く (講談社学術文庫) [Kindle]
- 講談社 (2021年2月12日発売)
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感想・レビュー・書評
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「イスラーム世界」という言葉がいつ、どのようにして生まれたのかを詳細な調査とともに明らかにし、今後どのように使うべきかを提言している本。証拠を積み上げていき、結論を導いていくさまは、さすが第一線の研究者という感じで読み応えがあった。難しい言葉遣いも多いが(非常に日本語の勉強になる)、論点や結論がこまめに書かれているので、分かりにくさはない。
個人的に関心をひかれたのは、1930年代の日本において、「回教圏」という考え方が、中国大陸や南洋への進出を検討したいた政府や軍部の利害と一致し、おおいに研究が進められたという点である。ムスリムの運動を支持して西欧植民地主義に対抗するという構図が、当時の大アジア主義や大東亜共栄圏といった考え方に合っていたというのは非常に納得がいった。イスラーム=中東という稚拙なイメージを持っていたが、たしかに中央アジアではロシア(当時ソ連)と対立しているし、中国のあたりではウイグル人や回族が、東南アジアはマレーシアやインドネシアに多くのイスラーム教徒がいる。今の世界情勢から、現代の方がイスラーム研究はされているのかと思っていたが、実際には第二次世界大戦前が活発だったという点が驚きもあり、面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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