東電原発事故 10年で明らかになったこと (平凡社新書966) [Kindle]

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  • 東電の話、恥ずかしながら初めてちゃんと知った。津波対策指示あったのに、官公庁(保安院)同業他社(東北電力)大学(研究者の口止め)を巻き込み先送り。

    ・柏崎の原発が地震で全停止したため収支悪化したことも先送りの理由

    当時、柏崎刈羽の全原子炉が停止した状況であったことから、火力による発電量を増すことで対応していましたが、その結果、燃料費がかさんだため、収支が悪化していました。そのような状況の中で、福島第一までも停止に追い込まれれば、更なる収支悪化が予想されますし、電力の安定供給という東電の社会的役割も果たせなくなる危険性がありました」 柏崎刈羽の停止で、年約5000億円燃料費が余計にかかっていた。福島まで止まって、さらに赤字が増えることを恐れていたのだ。

    ・大株主の関係者は東電を擁護
    日本経団連の米倉弘昌会長や、全国銀行協会の奥正之会長(三井住友フィナンシャルグループ会長)は、「本件は異常に巨大な天災地変に当たると考える余地は十分にある」と、東電を擁護する発言を繰り返していた。三井住友銀行は東電の大株主である。 日本原電で5年働いた経歴を持つ与謝野馨経済財政担当大臣も、東電の免責を主張し続けた。5月20日の記者会見では、東電の津波対策について「最高の知恵を働かせた」、「知恵をはるかに超える津波は神様の仕業としか説明できない」とまで述べていた。


    ・支払った賠償金は9.5兆円
    これまでに東電が支払った賠償は、個人243万件、法人や個人事業主など51万5000件の計約9兆5000億円(2020年9月4日現在)。

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著者プロフィール

添田 孝史:科学ジャーナリスト。1964年生まれ。大阪大学大学院基礎工学研究科修士課程修了。90年朝日新聞社入社。大津支局、学研都市支局を経て、大阪本社科学部、東京本社科学部などで科学・医療分野を担当。原発と地震についての取材を続ける。2011年5月に退社しフリーに。東電福島原発事故の国会事故調査委員会で協力調査員として津波分野の調査を担当。著書に『原発と大津波 警告を葬った人々』『東電原発裁判』(ともに岩波新書)などがある。

「2021年 『東電原発事故 10年で明らかになったこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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