新型コロナの科学 パンデミック、そして共生の未来へ (中公新書) [Kindle]

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  • 中央公論新社
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  • 未曽有のパンデミックを、現在進行形で引き起こしている新型コロナウイルス。この見えない難敵の特徴や各国の対応、研究の最前線、今後の課題をわかりやすく解説する書籍。

    新型コロナは主に、感染者の唾から感染する。咳やくしゃみなどによって飛び出た唾は、飛沫となって感染を広げる。また、飛沫はより微細なエアロゾルとなって、さらに遠くまで飛ぶ。このエアロゾルも、感染を広げる要因となっている。

    新型コロナは、無症状感染者からも感染する。報告によると、44~56%は無症状感染者からの感染だという。

    新型コロナウイルスの致死率は、日本で1.93%、世界全体で2.93%である(2020年10月時点)。がんなどと比べると致死率は低いが、病状が悪化してから死ぬまでの進行が早い。また、高齢者の致死率は高く、80歳以上では約21%にのぼる。

    日本は、欧米に比べてコロナによる死亡者が少ない。その要因として、例えば、次のような仮説が挙げられる。
    ・日本語の発音:日本語の発音は、飛沫を飛ばしにくい。
    ・重症化リスク遺伝子:ネアンデルタール人由来の遺伝子が、重症化リスクになっている可能性がある。日本をはじめ東アジアでは、この遺伝子の保有者が少ない。

    ワクチン接種には「集団免疫」を獲得することも期待される。集団の大部分が免疫をもっていると、感染者が減り、結果として免疫のない人も守られる。計算上、60%の人が免疫を獲得すれば、集団免疫が成立することになる。

    コロナは簡単には収まらない。ウイルスは変異することで感染力を増し、人間と共生するようになる。従って、次に現れるウイルスの性格によって、我々の将来は変わってくる。

  • 不確かな情報に惑わされないためにも、最低限この本の知識ぐらいは得ておくべきだ。

  • ふむ

  • 「科学」といいながら、本の半分ぐらいは厚労省などの社会的事象についての論評。中公新書だからこんなものか。

    ブルーバックスの「7つの謎」のほうが「科学」だ。

    著者が評価する日本政府の対応は早期に介護施設などに注意をして高齢者施設での死亡率を各国に比べて下げたこと、「三密」回避を打ち出したこと。批判するのは初期に厚労省が「無症状感染者」の存在を認めなくて発熱4日しないとPCR検査しなかったこと、など。

  • 新型コロナについてわかりやすく十分な情報が書かれている。著者の所感もあるが、それも含め、今までわかりにくかった新型コロナの全体像がわかり、良本と感じた。

  • 網羅的に新型コロナウイルス、或いはパンデミックについて知識がえられる。

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著者プロフィール

黒木登志夫

1936年、東京生まれ。東北大学医学部卒業。専門はがん細胞、発がんのメカニズム。1961から2001年にかけて、3カ国5つの研究所でがんの基礎研究をおこなう(東北大学加齢医学研究所、東京大学医科学研究所、ウイスコンシン大学、WHO国際がん研究機関、昭和大学)。英語で執筆した専門論文は300編以上。その後、日本癌学会会長(2000年)、岐阜大学学長(2001-08年)、日本学術振興会学術システム研究センター副所長(2008-12年)を経て、日本学術振興会学術システム研究センター顧問。2011年、生命科学全般に対する多大な貢献によって瑞宝重光章を受章。著書に、『がん遺伝子の発見』(1996年)、『健康・老化・寿命』(2007年)、『知的文章とプレゼンテーション』(2011年)、『iPS細胞』(2015年)、『研究不正』(2016年、いずれも中公新書)ほか多数。

「2022年 『変異ウイルスとの闘い――コロナ治療薬とワクチン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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