異世界トリップしたので美味しいパン作りに没頭してたら皇帝陛下に溺愛されました【特典SS付き】 (ガブリエラブックス) [Kindle]

著者 : 熊野まゆ

• メディアソフト (2021年3月30日発売)

感想・レビュー・書評

[lovenovelsさんの感想 · 2023年7月13日]

気が付いたら見知らぬ場所にいたユウナ。本当のことを言うには勇気のいる状況、目の前にいるサイラスしか頼れる人がいない状態で、それでもパンを作りたい。と思うユウナが面白い。悲しいくらい元の世界に未練がなかったことも大きな理由だったかもしれないけれど。ユウナの隠された能力とサイラスの立場のせいで、穏やかに田舎で暮らし続けることは難しくなってしまった２人。それでも、一緒にいられるかもしれないと頑張る２人は応援したくなった。全く自分の立場を笠に着るなんてことはしなさそうな、そしてずっとお互いのことを第一に考えていきそうな２人のその後をもっと見ていたくなった。

[sakuraさんの感想 · 2021年5月1日]

Kindle版読了。

ひょんな事から異世界トリップをしてしまった前向きで頑張り屋の20歳ブーランジェヒロインと、英雄と称えられているクールで不器用な25歳天才魔導士ヒーローとの異世界ファンタジーラブコメディです。

ヒロインは中学生の時に両親を亡くしてから叔父夫婦に引き取られますが、厄介者扱いされていました。
ある日、ブーランジェ（パン職人）として働いていた小さなパン屋が閉店する事になり、店の倉庫で落ち込みながら荷物整理をしていた所、古いパン焼き窯の中に足を滑らせて頭から入ってしまいます。
気付くと、ヒロインは魔法が存在するファンタジーな世界に異世界トリップをしていました。
偶然、ヒロインが行き倒れていた所に通り掛かり助けてくれたクールな美丈夫ヒーローへの恩返しとして、毎日パンを焼き、料理を作る事を約束します。

…自分もパン好きで、パン屋さんの雰囲気が好きなので、ヒロインがブーランジェという作品には飛び付いてしまいます。

序盤でヒロインの家庭環境についての説明が終わったと思ったら、あっという間に異世界へトリップしてヒーローと出会う展開の早さに驚きました（笑）。
更に、ヒロインが前向きなのか若いからなのか、見知らぬ場所に転移していて異世界トリップしたらしい事を知っても、ヒーローの為に美味しいパンを作ろうと意気込む姿に、読んでるこちらが置いていかれ感が半端なかったです。

異世界にもパン屋はありますが、バゲットのようなパンしかないようで、ヒーローの魔法の力を借りてヒロインは試行錯誤の末にパン窯を作り、色々なパン作りを開始します。

ヒーロー視点あります。
皇帝の庶子で、戦争で多くの敵を打ち負かした英雄で次期皇帝と民衆から称えられ慕われていますが、心中は苦悩で満ち溢れ、奪った敵の命を弔う事を忘れない心優しい青年です。
しかし、タイトルでネタばれしているので、ヒーローは皇帝になるんだなと予想出来ます…。

ヒーローの「フォルムマニア」という性癖が新しいと思いました（笑）。

ヒロインはイケメンヒーローに最初から好意を抱きますが、愛の告白はヒーローからでした。
ヒロインが聖女だった事も関係しているのかもしれませんが、前向きで頑張り屋のヒロインにヒーローもいつしか惹かれていきます。
ただ、ヒーローの感情の変化が分かりにくい事もあり、ヒロインに惹かれるのが急すぎるように感じてしまいました。

初Hは両想い直後でした。
ヒロインはパン一筋だった事もあり、彼氏いない歴＝年齢のSJでしたが、ヒーローもHの様子からDTだったと思われます。

ヒーローとは比較的早く前半で結ばれますが、後半はヒロインが聖女だと貴族達に知られた事でヒーローは次期皇帝となる決心をし、ヒロインと共に移り住んだ宮殿での様子が描かれていました。

ヒロインに危機管理能力がなさすぎて、ヒーロー叔父の皇弟に簡単に騙されてピンチになる展開にはイライラしました。

ヒーローの母親も分かり、スッキリしました。

皇帝となるヒーローを支える為にヒロインが異世界でフランチャイズのパン屋を展開していき、国の発展に繋げていくというのが、ヒロインのパン好きとブーランジェという設定が生かされてて面白かったです。

ラストは戴冠式と結婚式をして、晴れて皇帝夫妻となりハッピーエンドでした。
ヒロインは日本に帰る事はなく異世界でヒーローと一緒に生きていくのですが、ヒロインの中で日本への未練が全くない事に苦笑してしまいました。

特典SSは、戴冠式と結婚式と初夜の様子がヒーロー視点で描かれていました。