現代思想2021年5月号 特集=「陰謀論」の時代 [Kindle]

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  • 陰謀論的な物にはもともと興味があって読んでみたが、思ったよりも体系的に理解できてよかった。まず、その歴史やメカニズム、類型について理解ができた。通読できてよかった一冊。今後この領域について考えていく起点が築けた。

    そのうえで、米国の陰謀論の機序を知るにつけ、陰謀論というものは多様性の必要悪というか、周縁の広さの証左というか、そこから生まれるものもあるように思えた。歴史的ないくつもの革命も、陰謀論的な、テストステロンが駆動する敵対者(=それは革命勢力に対する為政者)の排除によって成立してきた。

    また、自由主義的な多様性の米国ではなく、権威的な国家であれば、陰謀論的なものを抱こうとしても潰されてしまうだろう。苛烈な社会であるほど陰謀論は生じるが、それが生き残り、社会に敷衍して初めて、その社会は柔軟であると言えるかもしれない。

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著者プロフィール

井上 弘貴(いのうえ・ひろたか)
1973年生まれ。神戸大学大学院国際文化学研究科教授。専門は政治理論、アメリカ政治思想史。著書『アメリカ保守主義の思想史』(青土社、2020年)。翻訳にP・ギルロイ『ユニオンジャックに黒はない――人種と国民をめぐる文化政治』(共訳、月曜社、2017年)。

「2022年 『市民的不服従』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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