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感想・レビュー・書評
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和山やまは以前、「夢中さ、君に」を読んだが、なんだか掴みどころが分からなかった。それでもこの新作を読もうと思ったのは、分からないなりになんだか魅力を感じたということなのか。
女子高で現代文を教える星。女子高の男性教師というと何やら役得が沢山ありそうで、そういう妄想を膨らませてくれるのかと思いきや、全くそんなことはなく、淡々とした毎日が描かれる。タイトルの「女の国の星」もこの教師の名前が星だからにすぎず、単なる事実を題名にしただけだ。
では、何が描かれているのかというと、教師と生徒の間の距離感である。教師と生徒はお互いをまるで異生物のように眺めている。でも、全く分かり合えないのかというと、お互い感情を持った生き物だという程度には理解しあっている、というその独特な距離感。これは新感覚だ。
それが何となく感じられたのは、星が漫研にいたことをしったある生徒が「エターナル・カオル」という自作の漫画を、講評してほしいと持ってくるエピソードあたりからだ。漫画のテンプレをこれでもかと詰め込んだB級劇中マンガに、思わず吹いてしまったが、こういうのは多分、漫画が好きで自分でも書いたことがある人なら、共感できるところなのではないか。
2巻では星の観察日記をつける生徒、好きな店員に会いたいがために毎日隣町まで饅頭を買いに行く生徒、悩みに悩んだ末ペナントのロゴに「恐れ入ります」と書いてしまう同僚・小林など、等身大の愛すべき人物たちが次々に登場する。
やっとつかめた。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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