兇人邸の殺人 屍人荘の殺人シリーズ [Kindle]

著者 :
  • 東京創元社
3.85
  • (21)
  • (46)
  • (30)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 356
感想 : 49
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (412ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 推理というよりも

    評価3.5
    audible 12時間54分
    kindle 412ページ

     ちょっとつまらない学生の探偵ごっこから始まり、恒例の葉村と比留子の関係を思い出させてくれる。そして今回は自ら事件に巻き込まれて行くようだ。比留子の事件に巻き込まれやすい体質とかいう幼稚な設定も、もはや3作目であり文句は言うまい。
     研究所をさぐりに行くのだが、傭兵を雇ってまでの作戦はもはや単なる突入。おまけに化け物まで出て来る。どう見ても推理力とかでどうにかなる局面ではなく、必要なのは武器と火力。
     並行して描かれる恐らくは過去の研究所の様子では女の子が全国大会で優勝しそうな記録で走ってる。でもその子はおちこぼれらしく、私はタイムがよくないの、とか言ってる。この可愛い子どもたちの将来があの化け物かと思うと恐ろしい。
     所内では化け物の勢いは衰えず死人が増えていく。加えて化け物以外での殺人も起こり、さらに研究所の生き残りがいるとかいないとか。もはや葉村と比留子を除くと正常なのを探すほうが大変とも思われる。
     最後の脱出も難しくてもはやついて行けない。いや正直に言うと大分前から彼らの推理が難しすぎて脱落している。普通の探偵小説と違ってどこを目指しているのかも良くわからなくなっている。ちょっと総括するのが難しい話であったし、この年になると独特の探偵論も冷めた目でしか見れない。それでも続編があるなら読んでしまいそう。比留子さんと葉村君は嫌いになれない。

  • 天才的な推理力とトラブルに巻き込まれる体質の女子大生と、助手的役割の同級生の男子のコンビの3作目。
    今回は1作目同様、とんでもないモンスターが出てきて、その中で殺人事件が起きて、とこのシリーズならではの展開。
    ホラー、SF要素をミステリーに堂々と持ち込んで成立させていて、純粋に読み物として面白い。
    次作も期待してます。

  • 舞台が孤島でもなく、山中奥深くでもなく寂れたテーマパーク、というところが良かった。
    脱出しようと思えばできるけど、脱出するとお客さんに危害が及ぶから脱出できない、みたいな人道的配慮もよかった。

    このシリーズをぶつ切で読んでいるため、最後の「重元さん」だけがわからない…誰…?
    このシリーズの他の本も読まなくちゃ気がすみませんね。

  • 今回も複雑!これまでの作品の中で1番ドキドキハラハラで、不気味で緊張感がすごい話だった。

     斑目機関の研究物を回収するために、斑目の研究により発展した会社の社長と秘書が、特異体質の剣崎比留子に目をつけ、共に研究物がある「兇人邸」へ向かう。もちろんワトソン役の葉村も同行。

     そこで待ち受けていた「研究物」とは、人間とは思ない姿をした巨人であった。巨人から逃げながら脱出をしなければならない羽目に。

     館に閉じ込められたみんなで巨人から逃げ過ごながら脱出の方法を模索する中、巨人による殺人にみせかけた人の手による殺人が起きてしまう。

    ‥‥

     圧倒的な力をもつ巨人から逃げながら、殺人を起こした人がいる中で、逃げられない館から脱出方法を探さなければならないという、緊張感。
     特に、扉の鍵を手に入れるために巨人を掻い潜りながら、別館へ突入する展開にはドキドキ。

     今回比留子さんは安楽椅子探偵のポジションで、ワトソンの葉村君を守るために推理するのもかっこよかったし、葉村君は比留子さんを助けるために自分が置かれた役割に悩みながらも推理しながら行動するのもよかった。

    2022年1月15日

  • シリーズ3作目。今回も面白かったです。ついに機関の謎に踏み込むかと思いきやいきなりのパニックスリラー展開。複雑な兇人邸内部に下手に身動きが取れず、頼みの比留子さんも隔離状態。今回は葉村くんの活躍回でしたね。登場人物が魅力的でした。前作のエピソードも語られつつ、機関の情報が少しずつ明らかになって行く。次作は比留子さんが大活躍して欲しい。早く続きが読みたい。

  • シリーズ3作目。めちゃくちゃ面白かった!

    斑目機関の研究資料を得るために閉鎖された館に侵入する野心家と傭兵、そして剣崎&葉村。
    閉ざされた館の中で首狩りの巨人との命をかけた追いかけっこ、さらに巨人ではない他の人物による殺人事件も発生する…

    まさにパニックホラーな展開からのスタートだけど、パニックのどさくさに紛れるように発生した殺人&首狩りの謎。
    『追憶』の章で語られる研究所の子どもたちの心情、そしてきっとこの人があの子なんだろうと思わせる仕掛け。(まんまと引っかかった笑)
    巨人は首を切り取る→首塚に運ぶという習性すら利用したトリック。

    屍人荘同様パニックホラーと本格ミステリが綺麗に融合してすごく面白い。
    巨人と生き残りの正体が明かされた瞬間の切なさ。
    館の構造がやや難解ではあったけど。

  • 最近人気の廃墟テーマパーク・馬越ドリームシティ。「兇人邸」に入っていった従業員が帰ってこないという。そこにはあの班目機関の研究成果が隠されているらしい。比留子と譲はまたしても事件に巻き込まれ。

    班目機関の秘密はまだまだ解けてないですね。今回の比留子は安楽椅子探偵さながらでした。このコンビの行く末も気になるところです。しかし、一番哀しきはケイちゃんですね。

  • kindle本のまとめ買い。屍人荘~を読んで「いやあ。すごい発想でクローズドサークル作るな」という印象だったのですが、今回もまたもややってくれました!今度は巨人ですか。ところどころ出てくる回想シーンで班目機関?の試験だったのね。。。ということはわかるのですが、まさかね~。とはいえ、そこに起こる殺人事件がうまいこと絡みあって、最後はそうきたかと。しかし非現実的なシチュエーションをうまくミステリーとして仕上げるなあ。。。と感嘆します。これだけ続くと、変なプレッシャーかかりそうですけど、面白がって書くくらいがちょうどいいのかなあ。凡人にはわかりませんが楽しめました。

  • 1作目はエンターテインメント+正統派フーダニット、
    2作目は惜しみなく技巧を凝らした正統派フーダニット、
    3作目はノンストップ・ホラー・アドベンチャー+正統派フーダニット
    とまあ結局フーダニットの超一流の書き手であると作者さんを褒め称えたいです。

    特にこの3作目は、ジェットコースターな展開で
    普通に「死ぬ。コワイ。逃げろ。走れ」な楽しさてんこ盛りで嬉しい。
    そういう意味では1作目に回帰していると言えましょうが、
    スピード感はマシマシですよ!

    みんな大好き「首なし死体」も登場して。
    読者も目が肥えているところに、
    あえて、このテーマに挑むか!?どう出る!?と興味津々で読み進めたら、
    期待を裏切らぬシビれる理由付け!
    いやほんまシビれました。

    おなじみ消去法による理詰め犯人当てもさることながら、
    物語としてのクライマックスも圧巻。
    とびっきりのフルコース(しかも胃もたれしない)
    を食べるような幸福な読書体験でした。

    しかもto be continued....
    続きが待ち遠しくてたまりません。

  • 屍人荘の殺人シリーズ3冊目、待ち遠しかったです。
    今回も、班目機関が関係し、現実離れした展開が待ち受けますが、臨場感たっぷりで、ドキドキしながら楽しみました。
    誰かウソをついているものがいて、裏切り者もいて、誰が犯人なのか、色々と翻弄されるのもこの話の醍醐味でしょう。
    ただ、兇人邸の間取りが複雑(小説のはじめに間取り図が出ている)と、色んな事件が時間差で起こり、何人もの登場人物のアリバイなど、複雑で、頭の中で出来事を整理しながら読むのが大変でした。
    もう一度読み返したら、すっきりと理解できるかな。
    第4弾に続きそうな終わり方。
    次作も楽しみです。

全49件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1985年長崎県生まれ。岡山大学卒。2017年『屍人荘の殺人』で第27回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。同作は『このミステリーがすごい!』、〈週刊文春〉ミステリーベスト10、『本格ミステリ・ベスト10』で第1位を獲得し、第18回本格ミステリ大賞[小説部門]を受賞、第15回本屋大賞第3位に選出。映画化、コミカライズもされた。シリーズ第2弾『魔眼の匣の殺人』も各ミステリランキングベスト3に連続ランクイン。2021年、テレビドラマ『ネメシス』に脚本協力として参加。いま最も注目される期待の俊英。

「2021年 『兇人邸の殺人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

今村昌弘の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×