ゼロコロナという病 [Kindle]

  • 産経新聞出版
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感想・レビュー・書評

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  •  時節柄、この手の本をまずは何か1冊読んでみておこうと思っていたのですが、ちょうどいつも利用している図書館の新着書のリストに載っていたので手に取ってみました。
     コロナ禍対応については、様々な意見が飛び交う“百家争鳴”状態にあります。もちろん、本書で表明されたお二人の主張もひとつの考え方であり、反論もあるでしょう。
     ともかく、こういった状況下において、持ち続けるべき基本姿勢とは“科学的な実証データに基づく科学的思考スタイル”です。「こどものサッカー」のような状況は、不作為による不幸を拡大するだけです。

  •  多くの日本人から「ゼロコロナ」を目指す意見が出てきている。これは1つのリスクに捉われすぎて、視野狭窄になっている状態と本書で語られていた。人間生きている限り、さまざまなリスクにされされている。1つに集中し過ぎれば、他のリスクが手薄になり、結果として危機が増大することが危惧されると述べられていた。とりわけ「自粛」だけが注目され「とにかく自粛すればいい」という世論になってしまっていると指摘している。

     本書で語られていた問題のひとつに「バズらせ系の専門家」が挙げられていた。専門家は特定の分野に詳しいだけで、それ以外は一般人とほぼ変わらない。なかには「とんでも理論」で危機感だけを煽り、注目を集める「バズらせ系の専門家」がいる。それに加え、世の中は「専門家権威主義」に染まっており「専門家の言うことは全部本当で、その通り行動しなければならない」と思いこんでいる人がいる。これが現在の「とにかく自粛」という現象を引き起こしている要因と考えられる。

     データを統計的に分析すると緊急事態宣言による「自粛」と「感染者数減少」に相関はないとわかった。つまり緊急事態宣言を出す出さないに関係なく、感染者数は減っていたとデータが示している。ただ、もっと細かい行動データが把握できれば、特定の行動に対して相関は見つかるかもしれない。しかし現在のような行動の内容を問わずに「とにかく自粛」が感染抑止になるエビデンスは今のところない。3密を避けるなどの配慮は必要だったとしても、8割の自粛をする必要はなかったとデータからわかると説明していた。

     新型コロナに関してわかっていることは、新型コロナは従来の風邪コロナに近いものであり、「10年経てば通常の風邪になる」という論文も出ている。新しいタイプの風邪なので、多くの人は免疫を持たず、感染が広がりやすくなっている。新型コロナウイルスは、多くの人にとっては無症状で、インフルエンザ程度の致死率。一部の人が重症化することがわかった。
     ゼロリスク信仰の行きつく先は「生まれなければリスクもない」という反出生主義になってしまう。「大人しく従っていればいい。疑問を持つな。そうすれば嵐も過ぎ去る」は「ただ生きているだけの奴隷化」と同じで、それは幸福と呼べるのか?と疑問を投げかけている。

     自分の考えは、重症化しやすい高齢者は優先してワクチンを接種してもらい、若い世代は対策をしながら普段の生活を送ればいいのでは?と思った。学校などその時期でしか経験できない、お金に変えられないものはたくさんある。高齢者の命と、若者の人生はどちらも尊いものだと思う。今のとにかく自粛は考え直す必要があり、できるだけ生活を再開させることが望まれると思う。

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著者プロフィール

京都大学大学院工学研究科教授、1968年生。

京都大学卒業後、スウェーデンイエテボリ大学心理学科客員研究員、東京工業大学教授等を経て現職。

2012年から2018年まで安倍内閣・内閣官房参与としてアベノミクス、国土強靱化等の政策アドヴァイスを担当。

2018年より保守思想誌・『表現者クライテリオン』編集長。


「2024年 『「西部邁」を語る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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