きみはだれかのどうでもいい人 (小学館文庫) [Kindle]

著者 :
  • 小学館
3.05
  • (3)
  • (4)
  • (7)
  • (5)
  • (2)
本棚登録 : 108
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (300ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 社会不適合者の私にとっては、働くのが怖くなるような物語でしたが、それでも何とかもがきながら労働している人たちは格好いいし美しいと思います。

    働いてるだけで偉いよ…どの人も…

  • 最後がもうひとつ集中できませんでしたが予想外に引き込まれました。公務員の職場の日常を描いた本はあまりない様な気がしますが、どろどろした雰囲気がよく表現できていたと思います。実際もこのように本当に嫌な職場です。何も考えずモーレツに働くことができた時代の人たちは良かったですね。

  • 県税事務所に勤める女性たちのお話。それぞれの登場人物の視点で語られる。
    仕事をしたことがある人ならだれでも共感できるお話。
    誰が良い人で誰が悪い人というわけではなく、人が集まって何かをするときに必ず起こる人間関係をうまく描いていると思った。

  • 県税事務所に精神疾患を持つ人の特別枠で入ってきたアルバイトが同じ職場で働く4人の女性達にストレスを与え、仕事を、生活を、心をかき乱していくオムニバスストーリー。

    弱者を支えるのが理想の社会だとしても、支える側がずっと犠牲を強いられたら?

    読んでいて辛いのページをめくる手が止まらない小説でした。

  • 誰もが加害者にもなり得、被害者にもなり得る。それが職場の人間関係。
    本書では職場内のそんな人間関係が4人の女性の目線から丁寧に描かれる。
    決して派手ではないどこでもありそうなそんな職場事情の描写が読み手に一層の現実性をもって迫る。

  • ストレスから病気になり部署を移った同期の代わりに、出世コースから移動してきた『中沢環』。理不尽な税滞納者に苦慮しながら本庁へ戻れるよう努めている。同僚との対応にも気を遣いそつなく努めてはいるが、社会復帰プログラム枠で採用されたアルバイトが何かと手が掛かり苛立ちが募っていく…。

    県税事務所の納税、滞納者への督促を担当する部署に勤める女性たちのオムニバス形式の話。有能がゆえに融通の利かない『環』、人の目を気にして言いたいことを言えず逃げ出した『裕未』、一人娘だけが大事で他の人のことなんてどうでもいいと斜に構えている『田邊』、常に堅苦しく煙たがられている『堀』。それぞれがそれぞれの視点で相手を見、心の病を抱えながら社会復帰を目指す『須藤深雪』を観察している。
    弱い人を助け合える社会、他人も自分の大切な人と考えられれば…確かに理想でそうありたいと本当に思う。でも現実的ではない。だって自分と自分の大切な人で精一杯でそんな余裕はないから。4人は4人とも身勝手だと思うし、共感も出来る。ほんと職場に深雪みたいな人がいると苦労する。しわ寄せは大変だし、本人にはその気は無いんだろうけど病気を盾に配慮を要求されているようで強くは出れない。出たところでなんだか悪いことをしているようで後味が悪い。そんな自分の暗部を逆撫でされるようで、ざわざわした気持ちになる。

  • 県税事務所で働く女性たちのオムニバス。
    精神疾患からの社会復帰を促す取り組みによって雇用された、1人のアルバイト女性を巡り皆が少しずつストレスを抱えていく。

    自分が1番正しいと思っている子、自分の弱さを言い訳と嘘で塗り固める偽善者、自分以外を見下している女、煙たがられる闇を抱えたお局様
    現実は冷たく、人は誰も優しくない。
    そういう本を読むのが好きだから選んだのだけど、やはりため息が出てしまう。
    公務員っていいなあって思うことも多いけど転職っていう概念がなさそうだから、ずっとその世界でやっていかなきゃいけないとなるとそれはそれで苦しそう。

  • たまたまのめぐり合わせで手にとった本だったが、想像を超える読み応えだった。よくある話なんだろうと思って読み始めたが、考えさせられることも多々あった。

    四章構成の本書は各章ごと主人公(すべて女性)がちがう。同じ時間、同じ職場で同じ人間関係の中にいた主人公の目線から見た感情や悩み、人間関係。きっと私が女性ならわかるわーとか、こうゆう人いるって感覚で読み進められたと思う。

    各章ごとは短編のような形で読むことも可能なくらいの内容だが全体が一つに繋がっていて作者の巧さを感じた。

    私は一緒に出てくる主人公のような性格だと読みながら感じていた。なので、巻末のクライマックスに出てくる一文が納得できたし、それの何が悪いと思ってしまっていただろう読書前の私に言い表せない感情(←語彙力がないだけ)を感じたので紹介する。

    ・・・
    人には誰であってもその人らしく生きる権利がある。みんな等しくその人らしく自由に生きるべきた。だが、こちらに「迷惑をかけなければ」「目の届かない場所にいてくれるぶんには」という事実から誰もが目を逸している。
    ・・・

    本書の中にきっと貴方の似た主人公がいるはず。

  • 内容が頭に入ってこない。なんか疲れる。
    途中でやめてしまった。

  • いつもレビューをご覧いただき、ありがとうございます(^^)

    今回は…タイトルが衝撃的!『きみはだれかのどうでもいい人』のレビューです。

    敢えて「どんな人に読んでほしいか?」は、ちょっと内緒にしておきます。

    あなたは『自分がどんな人か?』と聞かれた時に、仕事での自分を話す人は少ないと思います。

    なぜなら、仕事での”ワタシ”は「本当の自分ではないけれど本当の自分でもある」から。

    家での”ワタシ”。
    家族でいるときの”ワタシ”。
    友達といるときの”ワタシ”。
    恋人といるときの”ワタシ”。

    人にはいくつもの顔があると聞いたことがありますが、その中でも仕事の時のワタシは明らかに自分の中で順位が下がるほど、なぜか人が変わってしまうようになってしまう。

    それはお金が関わるからか?
    人間関係からか?
    忙しさからか?
    望み通りに他人が動かないからか?

    敢えて友達にも家族にも見せたくない仕事での自分が本当の自分なのかもしれません。

    今回の物語ででてくる『こと』が起きた時に、犯人は誰か?
    でも、その犯人は真の犯人か?

    お金と人間関係がリアルに見えてくる県税事務所に勤める、年齢も立場も違う女性たち。

    見ている景色は同じようで、全く違う。

    この物語で出てくる、私が思う真の悪人は……

    続きは読まれた後で教えてほしい。
    あなたが思う人は誰ですか?

    ___________________

    ⭐︎毎月5冊読むうちから週に1回、読んで面白い本を紹介しています。

    もやもやした心が晴れて、どなたかの選書のご参考になったら嬉しいです。

    ⭐︎読んでみたい!と思われたら「いいね」をお願いします。皆様からの声が今後の励みになります。

    ⭐︎本の詳細
    #きみはだれかのどうでもいい人
    #伊藤朱里
    #小学館文庫

全11件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1986年、静岡県生まれ。2015年、「変わらざる喜び」(「名前も呼べない」に改題)で、第31回太宰治賞を受賞。他の著書に『稽古とプラリネ』『緑の花と赤い芝生』『きみはだれかのどうでもいい人』『ピンク色なんてこわくない』がある。

「2022年 『名前も呼べない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

伊藤朱里の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×