老虎残夢 [Kindle]

著者 :
  • 講談社
3.52
  • (4)
  • (7)
  • (9)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 83
感想 : 14
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (325ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • キャラクターが立っていて、想像が膨らみ楽しく読めた。ミステリーとしても楽しめた

  • kindle unlimited

    江戸川乱歩賞受賞作品。

    舞台は中国。
    なんだかすごい技(?)の使い手がその弟子と娘を残して亡くなる。
    殺されたと判断するも不可能犯罪的状況。
    果たして犯人は誰なのか…。

    このプロットを書いてみると、面白そうだよなと思う。
    よく分からない技を使える人と使えない人がいて、その技がトリックの肝なように見えてそうでもなくて、みたいな。
    登場人物も少なく、ほぼワンシチュエーションもの。
    途中まで面白かったんだけど、結末が弱かったんだよな。
    ちょっと残念だった。

  • 面白いのだが、推理小説としては、むむむ。
    中国宋の武術家(?)のお話で、その次代の歴史の話しが多く、かつ、漢字(中国語)が多くて、読むのがちょっと大変。

  • 武侠小説xミステリという大好物。
    武芸の達人が奥義を伝えようとした夜に密室殺人。
    奥義伝承候補者たちも癖と因縁がありすぎて。。。

  • (2022/273)江戸川乱歩賞受賞の中国南宋時代を舞台にした武侠×ミステリ。準密室ミステリな感じで、登場人物も限られテンポ良く読める。舞台背景もきっちり活きてるし。でも、選評で月村了衛さんが書いてたことに同意で、百合設定は要らない。総じて楽しめたから問題ないけどね。巻末の過去の受賞作を眺めてみると、ほとんど読んだことがないという事実を認識する。Unlimitedの対象になってたら意識して手に取ってみようかな。

  • 途中までは非常に面白く時間を忘れてどんどん読んでしまう程だっただけに、終盤の甘さが目についてとても残念。同じ表現を何度も繰り返したり登場人物が立ってるのか座ってるのか分からなかったり、地の文の視点が急に変わったりと文章が上手いとは言えないが、勢いもありスルスルと進める心地の良い文で、武術の特殊設定やどんどん広がる世界観も違和感なく受け入れられる。内容も二転三転と先の読めない展開でこれは傑作か!と期待したが8割程進んだあたりから失速。

    以下内容に対する細かいツッコミ。
    ・紫苑が犯人ではないとした自身の弁明も詰めが甘く、それでよく祥纏が納得して自白を始めたなと違和感。
    ・結局毒で死んだのだから他殺は有り得ないという、スタート地点から一歩先の結末へとあちこち回り道して辿り着いた。匕首発見時から毒で死んだことを見抜いていた紫苑からすれば最初に分かることのはずでは?
    ・それにしても内功による自動解毒を防ぐために見張るって…意味ある?一度失敗しても解毒中にもう一度毒を飲めば良いだけだろう。祥纏が当日に赴いてまで加担する必要性が感じられない。自殺の旨をしっかり遺書として書き残せば良かっただろうに。さらに祥纏にしても国家転覆のことまでバレた以上さっさと自殺の顛末を語る方が全員とっても良かっただろうが…。話を広げるため少し無理をしたと思う。
    ・暗闇だからといって使い慣れた丸太で川を渡らないというのは説得力がない。暗闇の中、桟橋に向けて飛刀を投げる方が到底無理。

    ・いくら拾われたからといっても過酷な虐待を受け続けた上で師父と慕い、恨みすらしないのはストックホルム症候群のようで胸くそ。
    ・自殺の理由も「嫌になったからやめますなど、言える訳もない」とあるが、嫌になったから死にますでは結局残された者達にとっては同じで自分だけ全て投げ出し逃げおおせただけだし、いつ死んでもおかしくない身であれば尚更軽い。祥纏は失敗した時の事を考えて自身の命まで捨てる覚悟で予め準備していたのにも関わらず、泰隆は祥纏に対し何の策も練らず利用するだけ利用したように思える。それなら紫苑と恋華に真相を話した上で文和に預けて、病死に備えて遺書を書いてから国家転覆に取り組めば良かった。

    読み進めば進むほど泰隆のクソさが目につくし、女性陣に対して殊更若さや美貌を強調したりで、釈然としないモヤモヤが次第に大きくなり最後には読むペースが随分と落ちてしまった。

    文章については冒頭に書いたことに加え、文和は結局「説明してくれ」だけを言うbotになってしまったし、為問は瞬間的に赤くなりキレ散らかすばかりで感情の幅や流れが分かりづらかった。
    様々な人や所から少しずつ真実が明るみに出る様子が面白かったのに、最後は書き疲れてしまったかのように、紫苑が急に高IQの謎解きモードへと入ってしまい、なんだか投げやりな感じがした。
    為問については、その小物感を逆手に取りまさか国家転覆を企てていたとは、という驚きを本文でも言及されていたところは流石。


    厳しく書いたが、間違いなく面白い部類に入るだろうと思う。読んでいて生じた疑問の多くはしっかりと解答されていたし、細かな伏線回収も「こんなん気づかんわ〜」と思いつつ楽しかった。繰り返しになるが、それだけにやはり終盤が残念で仕方がない。風呂敷の広げ方は上手いが、仕舞い方が真相自体も文章も投げやりだった。それでも次作は面白そうだと期待してしまう魅力がある。

    最後に同性愛について、現実で当たり前に存在している通り、本の中でも特別な理由などなく当たり前に登場していて安心感があり、これからの芸術の有り様を見せてくれたようで素晴らしいと思う。
    おまけ(?)として巻末に江戸川乱歩賞について書かれているのだが、そこにある月村了衛氏の選評に「主人公カップルが同性であることに必然性を全く見出せません。(中略)本格ミステリとして(中略)要素の一つ一つにもっと慎重であるべきだと思います。」とあり、めちゃくちゃ腹が立った。異性カップルであればそんなこと考えもしないだろう。同性と聞けば急に「必然性が〜」と言い出すのは月村氏の中に無意識の偏見があるからのように思われる。自身の影響力の大きさを自覚して言葉を紡いでいただきたい。

  • 武侠小説(初めて)×本格ミステリ。楽しく読めた。

  • 碧い目をした武術の達人・梁泰隆。その弟子で決して癒えぬ傷をもつ蒼紫苑。料理上手な泰隆の養女・梁恋華。雪の降る夜、3人の平穏な暮らしは打ち破られた。師が息絶えたのは、圧倒的な密室だった…。

    2021年度江戸川乱歩賞受賞作。中国南宋時代の話だけれど、あまりに架空の設定が多すぎてイマイチ物語に入り込めなかった。結末も肩透かし感があって残念。
    (Ⅽ)

  •  南宋武侠殺人事件!
     犠牲者は侠客。雪で閉ざされた湖の孤島、不可解な毒死を遂げた武術の達人。容疑者は、奥義伝授のためと呼び集められた、いずれも名うての三達人。
     師匠の仇、討たずにおくべきか。師匠殺しの疑いをかけられながら、命を張って真相究明に乗り出すのは、被害者ただ一人の弟子。彼女ひとりと三達人、命と技と意地の競り合いの果てに浮かび上がる真実とは。

     武侠小説(史実寄り)と本格ミステリと言う、好きなものと好きなものを合わせて煮込んだ感じの一冊。生き生きとした登場人物の振る舞いが実に魅力的で、ああこれでもミステリなんだよな…… このあと事件起こっちゃうんだよな…… と、なんだかちょっと不思議な心持ちになる序盤から。後半にかけて圧倒してくる状況の変化といったら。

     本編も満足でしたが、こちらの作品、舞台劇になったらひたすらに映えそう。好みの一冊でした。

全14件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1980年、京都府生まれ。帝塚山大学大学院法政策研究科世界経済法制専攻修了。南宋を舞台にした武侠小説『老虎残夢』で第67回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。筆名は、敬愛するアメリカの伝説的ギタリスト、フランク・ザッパからとった。

「2023年 『星くずの殺人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

桃野雑派の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×