作者の絵津鼓さんってすごく好きな漫画家さんなんだけど、どうしても読めない作品がひとつある。
BLの作品をNL視点で綴った作品で、男2人女1人の三角関係エピソード。それの女の子視点のほうが途中から読めなかった作品。悪人が誰も出てこなくて辛すぎるんです。全員の気持ちが理解できるんだけど、どうしても泣く人を出してしまう結果にしかならないから、最終的にみんな笑っていてもハッピーエンドに思えなくてつらい。後味が苦すぎる。
この『メロンの味』も、誰も悪くないから気持ちをぶつける先が無い、読んでる間はスカッとしないんですよね…。
さらっと始まったけれど下巻からはどんどんディープになっていって、読者が感じていた嫌な予感は当たってしまいます。あーやっぱりそうだったのねって。頑張れない人間はどうすればいいんだろう、どうすれば頑張れるんだろう?もう頑張れないけど捨てる勇気も出ない、日々ただ無為に生きている、そのつらさがワッと胸にきて涙が出ました。
でも結末がとても良かった。愛情を注ぎたいけど不器用な中城くんと、過剰な愛情よりもただ寄り添って欲しかった木内くん。彼らが少しずつ心を開いていくさまはまさに再生の物語です。語り口は淡々としていますが、とても気持ちを揺さぶられる作品でした。