- Amazon.co.jp ・電子書籍 (183ページ)
感想・レビュー・書評
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地銀の置かれている状況をリアルに論じる。
誰が想像しても高齢化と人口減少が急速な勢いで進む地方において従来通りのビジネスモデルを維持することは困難だろう。だからこそ、店舗統廃合を進め、リストラを進めざるを得ない面はあるだろう。またシステム化やアプリ化が進み、実際に人がいらなくなっている事務も多い。
だからこそ、ネット銀行やネット証券にはできないような対面営業を強化して地元・リアルならではの価値を追求しないとダメということなんだということ。一方で、よりローカルな金融機関として信金や信組、農協などがあり地元の人にとってはそちらの方が距離が近い。地銀は地方におけるメガバンク的な存在になってしまっていて、中堅クラスの企業がメインの法人顧客になっているということだ。
貸出の採算性を改善し、必要としている地元企業にちゃんと融資して上げること。リテール向けにはIT活用で利便性は追求し(それにも自前で作らないとかのコスト管理は必要)、地元だからこその便利さを実感してもらうこと。難しいけれど、地銀はここを追求するしかなさそうだと感じた。東京進出で貸出先を増やすとかはあるけれど、それはメインではないだろうし、みんなの銀行をみんながやったら儲からない。国営だった第一地銀とは異なり、第二地銀は元々無尽組織だったのであり、本来の姿に戻ることを志向してもいいのかもしれない。その時にもシステムや事務は集中化して徹底的にコストを下げる意識は必要なんだと思う詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
地銀のビジネスが苦しくて、この先もお先真っ暗ということを延々と書き連ねていくもの。地方銀行という形で長い間やってきたこのやり方ではますます厳しくなるというのはその通りなのだろう。ただ、地域金融は必要であり、これからもなくならない。
本書では、田舎はもう見捨ててもいい、といった書き方をしているところもある。そんな簡単なものではないだろう。これもまた「市場は正しい」という長い間の考え方からの新しい展開はなく、地銀ビジネスといい勝負である。
少しつけたしていうと、某ネット銀行のことを比較に出して地銀を批判する記述がいくつかあるのだが、この比較は実態を正面から捉えられていないのでそのまま受け取ることはできない。おそらく、他の記述のところでも不確かな推測で書かれたところもありそうで、本書を読むときには要注意である。