お試し増量版。
濡れ衣で自主的に退職を迫られたヒロイン。なんで労基署とか法律事務所、あるいは(一人でも加入できる)労働組合に相談しないのだろう?職場復帰が叶わなくとも、職場に押しかけて来た上司の妻を名誉毀損で訴えることもできる。
腫れ上がるほどの怪我なのに病院に行かないのはなぜ?少なくとも診断書は必要だ。2週間も治らないって、処置なしで治るのに数ヶ月かかるし、その後1年あるいは数年不具合が残る可能性がある(経験者は語る。受診した医者がヤブだった)。
焦りのために、今でなくてもいい行動を怪我をした状態で行おうとするヒロインに"誰かなんか言ってやって"と思ってしまった。
こんな状況、こんな性格では経済的基盤や家族などのバックアップのない女性は転落の一途を辿っても全く不思議ではない。一昔前なら受け身なヒロインでもそういうものかとスルーできたが、もうそんな時代ではないのでは?
ヒロイン自身が自分ために戦える性格でないのなら、後押ししてくれる脇役を配してほしかった。
娯楽小説にすぎないじゃないかと言われるかもしれないが、私は本作ヒロインの行末に興味が持てなかった。だってもう、あらすじとタイトルでわかりきってるから。そもそも再会した中学時代の同級生とその日にとか、もうありえないな。
てか、メガネなしでは遠くも手元も見えにくいって視覚障害なのだろうか?手帳をとるほどのメリットがないから手続きしてないだけなの?メガネで視力が出るから障害ではない?こういう疑問を読み手に抱かせて負担をかけるのはやめてほしい。
にもかかわらず、"読みたい"に登録したのは文章がしっくりきたから。三人称だがしばしば主語は省かれヒロインの思考や知覚をメインに叙述される。その表現は過剰でなく理性的だ。スルーできない誤字脱字や不自然な表現も見当たらなかった。それに、大手ネット書店での本作のコメントに作者さんの"新境地"とまで書いてあったし、表紙絵がピンクピンクしてないのがいい。
機会があればもう少し読みたい。
[追記]読了。ヒロインに魅力はないし、ヒーローも特筆すべきことはないのに、(一応医者はハイスペックと言えなくもないがスペックがインフレしてるTL界ではさほどではない)平凡な二人が幸せそうで祝福したくなった。そんなに親しく行き来してなかったけど好感を持ってた知り合い、そんな感じ。