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感想・レビュー・書評
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ゲーマーにはお馴染、圧倒的に評価の高いRPG『ウィッチャー3』の原点といえる短篇集。とりあえず最初はこれ。
らしい。2015年のゲーム3作目が有名になり、Netflixでドラマ化もされたが、自分はいずれも手つかず。元は1980年代から続くポーランドのヒット小説とのこと。日本でも先に長編が5巻出ているが、シリーズに触れる導入口としてこちらの短篇集がよいと聞いたので、全くの初見で読んでみた。
感想としては、思った以上にファンタジー。ダークでアダルトな世界観だというのはゲームのPVなどで見ていて、そこはある程度予想していた通りだったけれど、それ以上にファンタジーの成分が色濃く、設定も複雑ではないので入り込みやすかった。異世界転生ものに染まった日本の読者にも、読んでみれば意外とイケるぞこれは!となるんじゃないかと思う。ウィッチャーという特殊な人種のあり方と、なによりもゲラルトという白髪のオッサンの魅力たるや。本作は短篇集ということで、多様な6つの短篇とその合間に大枠となるストーリーが差し込まれており、ウィッチャーという存在がどういうものなのか、この世界がどういうところで、ゲラルトがそこでどう生きているのか、また彼の仲間たちとの関係など、基本的なことがあらかたわかるようになっている。
慣れないダーク系ファンタジーということで若干身構えていたが、とにかく面白かった。世界観、ゲラルトの生き様、ひとつひとつの物語の多様さ。ゲームの方もやってみたい。ハマるわこれは。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ウィッチャー前日譚。
魔法剣士ゲラルトの若かりし頃の物語。 -
ウィッチャーの短編集の第一弾
ミリオンセラーTVゲームがトリガーとなり全世界的に知名度が上がった「ウィッチャー」
NETFLIXでドラマ化もされさらに人気が出ている作品である。
個人的にウィッチャーシリーズの魅力は、スラブ的な世界観を背景にした作品で、これまでのファンタジー作品とはテイストがかなり異なっており新鮮味があるうえ、登場人物の非常に人間臭くステレオタイプ的な善悪で割り切れないキャラクター造形にあるのではないかと思う。
日本でもウィッチャーの認知度が上がり、次々と小説やグラフィックノベルなどが翻訳されている。
そして今回待ち望まれていた短編集もついに翻訳された。
NETFLIXのドラマは短編集が原作となっているため、原作がどうなっているか非常に気になっていた。
読んでみた感想は、面白いの一言に尽きる。
ドラマよりやはり原作のほうが深みと余韻があり、小説の映像化はいかに難しいかを思い知らされる。
メインストーりーとして古い友人ネンネケのところに滞在しているゲラルトの話が紡がれ、その合間合間に回想のような形でそれぞれの短編ストーリーが差し込まれる構成となっている。
本当に色々なストーリーが語られる。
ホラーあり、童話的な話あり、ちょっと神話的なモチーフの話があったりと読者を飽きさせることがないうえ、どれもきれいごとでは終わらないウィッチャー世界的なエンディングであり考えさせられる。
普通のファンタジー小説に物足りなさを覚える人におすすめの一冊である。