ママがいい! 母子分離に拍車をかける保育政策のゆくえ [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • タイトルの『ママがいい!』とは子供の声なき声。
    国は「保育園落ちた、日本死ね!」という発言だけを取り上げるのではなく、「保育園落ちた、やったー!」と子ども達が思う可能性にも気づいてほしい。そして待機児童ゼロ政策は誰が希望するのか。当事者である子ども達が希望しているのか、いや、そうではないはずだ。大人達の都合だけ考えた保育施策は見直してほしいと切に思った。仕事ももちろん大事だが、子育ては取り返せな。育児退職による経済損失を避けるために0〜2歳児の保育を推進するなんて、目先のことしか考えていないし長期的に考えればちゃんと愛情持って立派な大人に育てた方が良いのに。決して保育園が悪いと言っているのではない。保育推進する一方で保育士への待遇、人手不足の解消がなされずに保育の質の向上を無視しているから矛盾が起きている。政治家さんに是非読んでもらいたい本でした。
    そして一見、国の保育政策への批判のようにも思える内容なのだが、その奥には保育園任せな無責任な親が増えてきた。子と共に親も成長しないといつか取り返しのつかないことになる、というのが本質なのかなと思う。子育てしながら見知らぬ人声をかけられる事があるが、子供に親が成長させてもらっているんだよ。という言葉を思い出した。子育てが自分の喜びだと思える親でありたいと思った。子育てを国の仕組みに任せるだけでなく、まずは親が我が子を育てることを忘れてはいけない。
    子供は国の、社会の、私たち一人ひとりの宝なのだと再認識させられた。

  • 幼児の扱いが粗雑になっている

    この本を読んで、今の時代に合わない考えだという人もいるかもしれないが、日本は、全て大人ファーストな保育政策に騙されているのではないかと思う。保育所は保育に欠けるこども達のためで、親のためではない。保育所は親を待つ場所で、こどものお家ではない。親のために、標準11時間も預けられるこどものことを考えているのか?
    大人たちは、8時間は労働、働き方改革といっているならこどものために、大人が時短ワークでこどもと一緒にいる時間を確保できる政策を考えてほしい。こどもとの時間を気づかないうちに奪われ、子育てが出来ない親が増え、それを施設任せで、いいよは、おかしいし、結局施設から卒園してしまったら、施設の職員は何も出来ない。さらに、子育てをしていない親に限ってこどもを管理しようとして、結局、思春期にどうにも手に負えないことになってしまう。
    絶対に幼児期の時間は戻らないし、関係を取り戻すには、倍以上の時間を費やす必要があるから、向き合うことをせず、問題を起こすと、こどものせいにする。
    いえ、そればあなたのせいですよ。
    こどもは親を選べない。親を育てるための政策が必要。そして、親に育てられていないこどもばかりが大人になった時。日本人がいなくなるんじゃないかと思う。
    あらためて当たり前の子育てについて、考えさせられた1冊でした。

  • 育休中、もっと子供と一緒にいたいのに、保育園に早く入れないと入れられなくなってしまう、という気持ちの時に読みました。
    子育ては本来こういうものだ、と納得できる内容のものが書かれていて腑に落ちました。子供ともっと一緒にいたい気持ちは大切にしていいのだと。
    普段読む育児本とはちょっと違う視点。子育てしてる親以外にも持っていて欲しい感性。良い本でした。

  • 個人的には昔から感覚的に乳幼児期は保護者との時間を最優先にすべきだと考えていた。それが言語化してもらえたかんじ。

    もちろん、生きるために働く必要がある人がいること、子どもにとっても親にとっても低年齢期の保育が必要な場合があること、保育園の良さや保育者の専門性や努力、工夫も理解している。

    でもやっぱり「ままがいい」「ぱぱがいい」のだと強く思う。

    「女性の社会」と言葉巧みに保護者の思考を誘発し労働者を増やせばいいみたいな、国の政策には危機感しか抱かない。

    預けられるから預ける、無償なら使うにこしたことはない…みたいな社会の風潮を作らないでほしい。

    誰しも自身が大人や親になった時、子どもの頃の経験や記憶を頼りに我が子に向き合うと思う。もう数年で11時間保育がスタンダードになってしまう。現場では確実に、情緒が不安定な子どもが増えている。発達障害だけが問題ではない。保護者ですら愛着に不安がある人が増えている。皆、人と関わることを煩わしく思いつつも、人との関わりに飢えている。

    もっと大らかに国、社会、町、地域でこどものこと未来の国のことを考えた方向に向かっていきたいと強く願う本だった。

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著者プロフィール

1954年東京生まれ。慶應義塾大学哲学科からカリフォルニア大学(UCLA)民族芸術科に編入、卒業。
尺八奏者としてジョージ・ルーカス制作の「ウィロー」、スピルバーグ監督の「太陽の帝国」をはじめ多数のアメリカ映画に参加。
1988年アメリカにおける学校教育の危機、家庭崩壊の現状を報告したビデオ「今、アメリカで」を制作。
1990年より98年東洋英和女学院短期大学保育科講師。
衆議院・税と社会保障一体化特別委員会公述人、衆議院内閣府委員会「保育の無償化」参考人を務める。
「先進国社会における家庭崩壊」「保育者の役割」に関する講演を保育・教育関係者、父母対象に行い、欧米の後を追う日本の状況に警鐘を鳴らしている。
著書に『家庭崩壊・学級崩壊・学校崩壊』『21 世紀の子育て』『なぜわたしたちは 0 歳児を授かるのか』などがある。

「2022年 『ママがいい!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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