最澄と徳一 仏教史上最大の対決 (岩波新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  •  仏教書を読んだり法話を聴いていて度々出てくる「三一権実諍論」ってなんだろうということで読んだ。
     「三一権実諍論」の中身を知るために読んだつもりが、気が付いたら最澄と徳一だけではなく、二者対立構造のようでいて実は複雑な唐での仏教的論争が日本に影響してまた別の論争にもその対立構造が影響して・・・というなんとも難解なことを教えてもらったのである。しかも面白い。
     そしてなにより驚いたのが、「因明」という論証の仕方。このルールに則って論争している訳だが、解説を見る限り、どうしても最澄がひろゆきっぽい(個人の感想です)。

    ”最澄は、徳一が主張する立敵共許(りゅうじゃくぐうご・お互いに前提を認め合う内容)という因明のルールに対して、「他の宗では認められている」という世間共許(せけんぐうご)によって対抗しようとしていた。”

    まさに「それはあなたの感想であってみんなこう思っていますよ。」という感じなのだ。でも全然残ってない徳一の著書の該当部分を全部引用していてとても緻密。なんだろう。親鸞聖人とは違った角度で友だち少ないかも知れないぞ、最澄さん!空海さんに弟子取られてもしかたないかもしれないぞ、最澄さん!という感じがするのだ。
     後半、著者の師さんがどうしてこの「因明」を研究するに至ったのか、現在の活動などを紹介してくれているのだが、これもとても興味深い!自分は日本のことってなんだか理由もなく知らなくても「わかってる」(見ればわかるというのかもしれない)つもりになるのだけど、本当に知らないことだらけでそこを見つけて研究する人がいるのはすごいことだと思う。そしてあくまで学者として仏教を見ておられるのだな。だからここまで書けるのだということも納得した。
     とても難解(登場人物多いから)だけれども、読み応えアリです。頑張って最後まで読み切って!

  • とても難しく、甚だ理解できたとは言い難いのですが、仏教的議論の作法、特に前提を意図する場合の議論方法を知ると言う点で興味深い本でした。
    唯識についての理解、皆が悟りを開けるのかと言う点など、仏教における論点を覗けた気がします。
    また読み直したいです。

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著者プロフィール

花園大学文学部教授 専攻=仏教学、人文情報学
『論理と歴史──東アジア仏教論理学の形成と展開』(ナカニシヤ出版、2015年)、『『大乗五蘊論』を読む』(春秋社、2015年)

「2020年 『療法としての歴史〈知〉 いまを診る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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