母親になって後悔してる [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 子供のことは愛しているけど、「社会から求められる母」への強い葛藤や後悔が凄く良くわかる本。国の違いはあっても日本でも同じような気持ちの女性は多いのではないかと思った。
    母は独身とは違い、仕事が終わっても子育てというセカンドシフトが始まる。
    父の子育ては稼ぎ手としての主要な立場に追加されるボーナスとして評価される。
    色々と考えさせられる本。少し読むのに疲れるので、気負いすぎずに流し読み程度が最適。

  • 生々しい声がたくさん記載されている。
    母親になることが幸せであると、だれかから、何から思わされていたり、その選択肢しかないなかで、後悔しているところまで自覚的になることもそもそも難しい人もいるかもしれない。
    これも、ひとつの意見。
    これにかぎらず、人生「もし、、」を考えたことのない人はいないと思う。
    母親になって後悔していることと、子供を産んだことを後悔していることはまた別なんだと知った。

  • 題名は子どもを蔑ろにしている様で衝撃的だが母親になる事による環境変化に対しての後悔だった。

    母親に求めるものが多すぎる、自己犠牲も厭わず子どもを愛する筈といった神話について。それを否定すると非難される。日本だけでなく世界中で男尊女卑がある事に驚いた。

    母親になって後悔している人たちの調査に基づく本
    私自身は母になって後悔していないので理解できる部分とそうでない部分があったが。実際苦しい想いをしている人が存在する。
    LGBTQの様にそう感じる人も居るという感じなのかな?

  • 心に刺さった文を上げていく。

    「解剖学的に生殖できる"可能性"があるというだけで、女性は母になることを義務付けられている」

    「全ての女性の手の届くところに選択肢があり、それによって私たちが自身の身体、生活、決定の所有者であることを保証されるべきだと信じている 」

    ある女性のインタビュー↓
    「母は、私を愛していなかったわけではありません。私を生まないことを望んでいたのではありません。母になると、人生が二度と完全に自分自身のものにならないと知っていたのです」

    ラストの方の文↓
    「女性にとって母であること自体が耐え難いという考えはありえない、と認識されがちだ。なぜならそれこそが女性の存在 理由とされるからだ。そのため生活の困難、特に子育てと有給の仕事の狭間で苦しんでいるのが理由だと想定する。さらに解釈を広げると、女性には子育てと家の外での有給の仕事の2択しかないということになる。母になりたいかキャリアウーマンになりたいかのどちらかなのだ。女性の選択肢は母になるかキャリアを持つかの二つしかないと考えることで、母になりたくない理由はキャリアの追求以外にないと仮定することを女性のアイデンティティの多様性を消し去ってしまう」
    「女性に主体を放棄せよと要求することであり、最終的には不可能である。なぜなら感情の論理を持つのは、主体であり人間として生きていることの証拠だからである」

  • 衝撃的なタイトルだが、筆致は至って冷静。子ども個人への後悔というよりは、母親という役割から二度と抜け出せない苦しみを表していた。

  • 内容が重たいのと、和訳が読みづらいのとが相まって、読み進めるのが少し大変だった。
    母親になったことを後悔している女性へのインタビュー結果をもとに、何が女性を母親を生きづらくさせているのかを考察している。
    同様の声がどれほど父親からあがってくるのかわからないが、女性特有のものであるとするならば、それは社会の制度、通念、規範のようなものが与える影響が大きいように感じた。
    日本で同様の研究を行った場合にどのような結論が導かれるかはわからないが、日本での子育てのしづらさ(親の自己責任論、理想の母親像等)に通じるものもあると思い、少子化の原因として経済的な観点以外にもこのような社会的な影響も多々あるのだと思った。

  • エッセイ式だと勝手に思い込んで購入してしまったが、一本の論文といった感じの構成だった。個人的にはもう少し一人ひとりの実情を詳しく知りたかったところ。個人情報的な観点や主観ではなく客観的な見方をする上では、本書の形のほうが良かったかもしれないが、具体性が薄く読んでいて途中で飽きてしまった。それぞれの具体的なエピソードを通して後悔の形を知ることで、見識を広めることできるのかなと思うので、そういう本があってもいいと思う。

  • イスラエルの社会学者が「母親になって後悔している」女性達に丁寧にインタビューを行い分析したもの。ヨーロッパを中心にずいぶんと反響があったらしい。

    本書では社会的な問題について扱っている。本人の向き不向き指向に関わらず、社会的な圧力や流れによって母親になり後悔している人物の話がたくさん載っている。インタビューに応えている人たちから、全体的に非常に責任感が強い印象を受けるのが興味深かった。

    子供を愛しているかどうかという問題は、本件に密接に関わっているので出てくるけれど、基本的には「誰かの母親になってしまった後悔」と「実在する子供への愛」は両立する感じの扱いになっている(両立はするが天秤にかけることはできる)。

    読んでいると自分に内在化している世間が警笛を吹きながら取り締まりを始めようとするのだけれど、虚心に受け止めれば向き不向き個人差は確実にあるわけですよ。それで苦しんでいる人がいる以上、研究が行われるのは大変有意義なことだと思います。あと単純にとても面白い本でした。
    イスラエルの本なので、アメリカ(中絶の件がある)や日本(身近)での事例もいろいろ見てみたいように思います。

  • めちゃんこ刺激的でおもしろい!

    私自身は、母になって後悔してないどころか幸せになったと感謝しているけれど、この本に描かれていることは大きくうなづくことばかりだ。
    母であることの負担の大きさ。苦しみ。
    男女差別、社会規範についても、そうだそうだと納得できることたくさん言語化される。

    負担軽減され、母親が、母という役割から離れて自分自身でいられる自由が確保されれば、「後悔してる」とは言わなくなるのでは?
    との疑問を抱きつつ読み進めたが、終盤、その点についても言及された。
    だから、スッキリ!もやもやが解消され、読後感よし!

    イスラエルという特殊ともいえる国、思考、規範に生きる母たちの事例なので、日本ではどうだろう?同じように考える人はいるはずだけど。

  • 図書館にて。
    雑誌などで紹介されているのを見てぜひ読みたいと思っていた1冊。
    思っていたよりずっと論文で、研究結果という形式だと思った。
    細やかな分析、感情に流されることのないような冷静な文章で好感が持てた。
    その分シビアでもあった。

    本を手に取ってみて初めて作者の方がイスラエルの女性の学者さんということを知った。
    女性であるこの人だから、母親たちも本音が話せたのだろう。

    母親の中に「後悔している」という感情を具体的に引き出すだけでなく、ではその後悔とは何か、いつから感じていることか、その感情について夫や子供たちとのかかわりはどうか、様々な角度から分析されている。
    そこが新しいと感じた。
    全部個人的なことであるけれど、結局は女性の生き方の話だ。
    後悔の先にはかなわなかった未来を惜しむ気持ちがある。
    もし過去に選択する自由があったとして、母親にならないことを選べていたら後悔しない未来だったのだろうか。
    結局のところ母親である今を後悔しているというよりは、どうするかを選べなかった生き方や社会の在り方を後悔しているのではないか。

    私は自分で子どもを産む人生を選択した。
    娘を持ったことは全く後悔していないけれど、それでも日々悩むことは多いし、子育てだって自分が向いているとは思わない。葛藤の毎日だ。
    後悔していなくてもそうなのに、母親という抗えない仕事を背負わされて毎日後悔している人生はさぞ辛かろうと思う。
    産みたくない人には産まなくていい選択ができる世の中を、と思う。
    選択の自由を。結局女性に足りないのはそれだと思う。
    ひいてはそれが子供を守ることになるし、寛容な社会は逆に子供を増やすことができると思うのだがどうだろうか。

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