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感想・レビュー・書評
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洪水という現象に対して漠然とした理解しかしていませんでしたが、流域治水の考え方を学ぶ中で理解が深まりました。また、2020年の球磨川の大氾濫を経て悲しい思いをした現地の方々、「球磨川は悪くない」と今も球磨川を大切に考えていることを知り、人と川の付き合い方について考える良い契機となりました。あとがきに登場する「洪水は一時、川の恵みは無限」という言葉もとても印象に残りました。以下は具体的に学びになった内容の抜粋です。
流域=山に降った雨が集まる集水域と洪水の害が及ぶ氾濫域、治水=洪水に対する防御・利水(活用)・環境保護の観点で川と人が良い形で付き合っていくあり方と定義づけて、人が川の無限の恵みを得ながら、稀な災いも含めて共生していくことが重要と本書では書かれています。そのためには、ダム等の人工的かつ不自然な防御対策だけでは不十分・不適切で、むしろ過度な伐採や獣害で荒れ果てた山林を蘇らせて、山間部の保水能力など自然本来の保持機能を再生させ、氾濫域に暮らす人側も家づくりや住む場所選び、いざという時の協力体制など地域主体で川との付き合い方を日頃から練り上げ、山間部も居住エリアも含む流域全体で面的に「水を集めない」「早く流さない」「氾濫しても甚大な被害を出さない」体制作りをしていくことが必要不可欠です。また、これらの流域治水においてはIoTの技術で流域全体の面的なデータを集めることも重要と本書では書かれており、現在IoTを活用した山間部の防災や林業支援に携わっている身としては、直接・間接的に流域治水に関わり貢献できることが分かったことも良い気づきでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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