- Amazon.co.jp ・電子書籍 (226ページ)
感想・レビュー・書評
-
理論物理学の王道部分の歴史が平易に語られている。
もちろん本書を読んで根本的に理解できることはないが、科学者たちの問題意識という、流れを作り出す部分はわかった気にはなれるので、専門書をじっくり読める時間や能力がない(けど理論物理学に興味がある)人にはお勧めできる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ミチオ・カク博士による究極の「万物理論」をめざす科学者たちの挑戦の物語。一般相対性理論と量子論は統合できるのか?重力、電磁気力、強い核力、弱い核力を統一して記述できる方程式は見出せるのか?その方程式はビッグバン以前の宇宙も描出できるのか?
物理学の歴史を振り返ると同時に、今後の展望についてもカク博士の見解を知ることができる。明快かつ簡潔にまとめられた記述で、数時間で一気読みしてしまった。
大学でマックスウェルの方程式を学んだ時には、電場と磁場の持つ対称性に惹かれたものだ。電気と磁気が同じ力ということが示された。
電磁気力、核力を統合した「標準模型」は、実用面で成功を収めているものの、複数の理論をつなぎ合わせたものであり、科学者たちは重力も含めて統一できる、よりエレガントな万物理論をめざしている。標準模型と一般相対性理論の両方の量子補正が算出できる理論である。
万物理論の有力候補である超ひも理論には、対称性という美しさが正しさの根拠になっていて、実験による検証ができないという批判をカク博士は取り上げている。今まで見つかった理論は例外なく対称性や美しさを持つこと、実験による検証でなくとも、宇宙にある現象を説明することで間接的な証明ができると指摘、超ひも理論を追究する価値を説いている。