- Amazon.co.jp ・電子書籍 (266ページ)
感想・レビュー・書評
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前回読んだ『取引の番人』に続き今回も一気読みだった。
先祖を探す、という依頼を受ける一方で自分自身のルーツも探している風子。
風子が引き受ける案件を読んでいくと、先祖ってそんなところまで辿れるのか⁉︎と驚くとともに、賛否はあるが、日本の戸籍制度があればこそだということが分かる。
また地方郷土史に詳しい人物がいるというのも、すごいことだなあと思いつつ、こういった地味な活動は過疎が進むにつれ、だんだんと途絶えていってしまうのではないかと危惧もする。
無戸籍というのも最近よく社会問題として取り上げられているが、作品を通して、多様化が進む中でこの戸籍制度がそのままの形で続けられることへの疑問も投げかけているように感じる。
2022.6netgalleyにて読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
'23年12月17日、Amazon Audibleで、聴き終えました。新川帆立さんの小説、確か二作目。
audibleでおすすめにあがっていたのが目に止まり、聴いてみました。新川帆立さんって、聞いた事あるなぁ…と思っていたら、「元彼の遺言状」の作家さん!忘れてました。トホホ╮(╯_╰)╭
聴いて、改めて自分のルーツを思いました。僕は、父と母の事も、よく知らないんだな…一度、ちゃんと調べてみようかな?と、本作は思わせてくれました。
人と人の間に、人が生まれて、もがき苦しみ生きていく…素敵な小説でした。感謝( ꈍᴗꈍ) -
人はひとりで生きているわけじゃない。
現在の横のつながり、家族や兄弟だけじゃなく、ご先祖さままで遡って考えてみると今の自分は一人ぼっちなんかじゃなくて、たくさんの人の血を受け継いでまた、受け継がせてゆくのだと。
母親が自分の子供のために、と身を引くなんてやはり間違いなのだよね。では、どうすればあの時良かったのか、主人公の風子にもいえない。
国の政策?時代?社会?
いろいろと深く考えてしまう内容だった。 -
自分のルーツ、先祖を知りたいという依頼人たち
その要望を叶えてやるのが先祖探偵
知恵を絞り、日本のあちこちを旅しながら
彼らのルーツを辿り、
依頼人たちは自分たちのルーツを知ることで、一歩踏み出せる
しかし探偵本人も自分のルーツを知らないのだ
最後に彼女にも長い間の結末が訪れる
日本の戸籍について知らないことばかりだった
この本を読んでいてはじめて気付かされた -
【Audible】
「自分の名前を忘れなさい」という母親の厳しい言葉は、とても冷たい印象があり、どんな意味があるのだろうと考えながら聞いていた。
はじめは微笑ましい先祖さがしだったのが、段々と深刻な問題となり、最後は全てがリンクし、母親の言葉の意味がわかるという素晴らしい展開だった。
冷たい意味ではなかったこと、主人公の出自を辿れたことは本当によかったと思う。
今まで想像したこともなかったが、出自がわからない、無戸籍である人達が一定数いるということ。
また、そのような根無草的な心許ない思いをしているということは、もっと世間に知られてよいことだと思う。
当たり前にあるものが、無い人もいるということは、ある種衝撃的だと思う。
2024/03/04 19:10 -
さすが新川帆立。
自分のルーツを知りたくなった。 -
ストーリーがいくつかに分かれているのだけど
それぞれの物語にヒントが散りばめられて最終話に繋がる流れが好きだなーと思いました。
重くなりがちなテーマ設定だと思われるけど
ところどころ緩衝材があるから、心がよい意味で不安定になることなく読み終えられました。
気になるとしたら最初は風子さんの性格が掴めないところがあったけど、最終話でそんな思いは消えました。とにかく出てくる食べ物が全て美味しそう。鮎の塩焼き、里芋の煮物、プルプルの卵焼き、鈴モナカ。あー食べてみたい! -
先祖を辿る先祖探偵をしながら自らのルーツを探る女性の物語。戸籍からさまざまな人生を解かれていく様子が切ないアイロニーを感じさせる。無戸籍問題についてはもっと多くの人が知るべき。