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感想・レビュー・書評
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本書の原題は『The Managerial Moment of Truth: The Essential Step in Helping People Improve Performance』である。マーケティングに関する考え方の一つに "Moment of Truth (MoT)" があり、これは顧客の体験を認知、購買などいくつかの重要な瞬間で切り取り、各瞬間へのアプローチを考えるといった方法論のようだが、要するに本書はそのマネジメント版なのだろうと思う。
邦題は「正念場」という単語を採用しているが、マネージャーが頑張らないといけない場面の話をしている訳ではない。「マネジメント版 Moment of Truth」について話していると捉えると読み進めやすい。
Managerial Moment of Truth (MMOT) は以下の4ステップで構成される。
1. 現実を認識する
2. 状況を分析する
3. 行動計画をたてる
4. フィードバックシステムを構築する
このステップを色々な場面で実行していくことによって、真実を語ることが組織の標準となり、真実を語ることが「安全」であるような環境を作ることが本書のテーマとなる。
チームの MMOT、ポジティブな場面の MMOT、問題がある部下への MMOT、機能横断型チームの MMOT などいくつかの状況で会話例を交えて MMOT の実施方法が説明されている。加えて、質問の仕方である情報質問、解明質問、含意質問、齟齬質問を使い分けて発言に暗に含まれた主張や矛盾を明らかにして合意をとるためのテクニックも紹介されている。
フレームワークとしての MMOT が業務の中で活用しやすいかというと状況によると思うが、マネージャーがチームの学習やメンタリングについて考えたり、事実に基づいた公平な議論をできる組織を目指す際に役に立つ内容が書かれていて参考になった。詳細をみるコメント0件をすべて表示