- Amazon.co.jp ・電子書籍 (235ページ)
感想・レビュー・書評
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人々がみんなバイオスフィアに引きこもり、外の世界とのコミュニケーションを絶ってしまった世界。そんな中で発生するクレーム処理にあたる、黒いセーラー服姿の主人公(但し、男)。
話は面白いけど、主人公を男に設定する必要あったのか??詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
連作短編、表紙は黒いセーラー服(冬)のアンドロイド?▲内部で資源エネルギーの全てが完結し、恒久的な生活と幸福を約束する、新時代住居バイオスフィアⅢ型建築。ポスト・ステイホームの極北▼精神をアップロードして広い世界と繋がることとは真反対「あらゆる欲求は代替可能である」と閉じた世界。外から見ると何が起こっているのか…謎解く物語。複数で閉じこもった人々の話が導入編で、真のヒッキーへと至り、人とは…摩擦もなく、お腹をくちくしたヒッキーは何を残すのか。こうなると世界人口は百万単位も不要かもと感じられた(2022年)
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(2023/237)資源的にもエネルギー的にも自己完結し、一切外出しなくても生きていけるような建築構造物バイオスフィアIII型建築物が出現した未来。人類は一部の思想的な人物以外はみんな引き篭もった。そんな不動産を開発した後香不動産でアフターサービスとしてクレーム処理を担当するアレイと備品のユキオ。ライトミステリ風味を入れたSFかなぁ。回収してない設定もあるし続くのかもしれないが、続きを読みたいとは思えなかったな。
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SFへのジャンル転向。スノッブ
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わりと日常系に近い地味さと、身体性を喪失した人間はどう生きるか?という古典的なSFの問題意識と、奇抜な設定、三つの要素が同居する新鮮な読み口。身体性の喪失を表現するのに、電脳的な仮想空間を設定するのでなく、家主の思考と同期した建築物を持ち出してくるのがとても新鮮。引きこもりが主題だと考えると読み誤ると思う。空間を自在に使用できるようになったことで身体が意味を失ったとき、人間の欲望はどのような形を取るか?という思考実験が淡々と繰返されているのだと考える。
多分みんなそうだと思うけど、最も印象的だったのは冒頭の責問神殿の章。多分俺だけだと思うけど、リベ左派の生真面目学級委員主義のメタファーと考えられると思った。リベ左派は人間が快楽に淫することに負の価値を見出し、責問神殿は人間が快楽の反対の苦痛を味わうことに正の価値を見出し、という感じで両者はコインの表裏であると見る。責問神殿の人たちはこっそり痛み止めを使用してしまい、リベ左派はハラスメントとか違法行為とかしちゃう。そこも似てる。