教科書経営 本が会社を強くする [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 本(教科書)から経営を学ぶことの大切さと、読むべき本を知ることができる本です。
    最後は自分で意思決定を行う必要がある経営者は「孤独」と言われますが、それでも、頼りにしたいものがあります。
    成功している多くの経営者は、その際に頼れる「本=教科書」を持っていることが多いようです。
    愛読している本を具体的に紹介し、どういった点でこれまで救われたと感じたかがわかります。
    相談相手がいないと悩む経営者の方や、読むべき本で悩むビジネスパーソンにとって、その解決につながる1冊ではないでしょうか。

    【特に覚えておきたいと感じた内容の覚え書き】

    「経営とはある意味、一般常識の積み重ね。先人が通った道の、同じようなところにだいたい落とし穴がある。個別、具体的に書いてある分、経営者の本は生きた教科書になる。本の中に師匠がいるイメージ。(日本交通・川鍋一朗氏)」
    「人類の歴史や考えてきたことなどについて書かれたいろいろな分野の本を、『未来を学ぶため』に読む。経営が人によって成り立つ以上、優れた戦略があっても、人間の行動を深く知らない限り、実行しても効果を十分発揮できない。(アステナHD・岩城慶太郎氏)」
    「経営者は東洋思想から学ぶところは大きい。いろいろ書いているが、わかったのは、人は私利私欲で動かないこと。本を通して昔の人にも会えるし、別の世界にも行ける。古典を読むことを通じて、少しは穏やかな気持になれるのでは。(エーワン精密・梅原勝彦氏)」
    →本を通じて経営を学ぶ際に重要なことは、スキルやノウハウを学ぶより、一般常識として人間の思考、行動を学ぶことにあるようです。歴史や哲学など、これまで人が行ってきたこと、考えてきたことを知ることで、変わらない人間の本質を理解している人が、時代が変わっても正しい意思決定をできるのではないでしょうか。

    【もう少し詳しい内容の覚え書き】

    ○教科書をどう探し、どう読み、どう生かすか(星野リゾート・星野佳路氏)
    ・企業の戦略は効果を発揮するのに時間がかかり、その過程でどうしても迷いが出る。経営を直感に頼っていると別の戦略に変更したくなるが、教科書通りだと、教科書の正しさは証明されているので、迷いがなく、なぜ結果が出ていないかだけを考えられる。
    ・組織全体を動かすことが大事で、そのためには、トップが全体方針として徹底できる環境が重要。「できるところからやっていこう」は、組織全体が動かないときにはうまくいかない。

    ○教科書が成長の礎
    ・課題を前に、仮説を立てながら解決に向けトライ・アンド・エラーを繰り返すが、その手でいいのか自信が持てないこともある。数字は一過性の場合があるが、読書は、経営で自らの打った手の理論的な裏付けになる。(ワークマン・土屋哲雄氏)
    ・理論を知らなければ実現できない改革がある。直感経営を放棄するわけではないが、理論の下支えがあるから確信を持って進めることもある。(エレコム・葉田順治氏)
    ・信頼できる人に最近読んでいる本を聞き、興味にかかわらず読む。自分で選ぶと偏って、視野が広がらない。自分の幅を広げたい。読んだことをやってみると、達人になれなくてもわかることも多く、変化に立ち向かう視点も身につく。(ユーグレナ・出雲充氏)
    ・SNSや動画配信サイトは同じ考えの人が集まる可能性があるが、予測不能なイベントが起こった時、周囲が同じ考えの人ばかりでは解決策は出ない。古典はケーススタディーのため、分からないなりに読むと、内容が刺さる人は多いはず。(ユーグレナ・出雲充氏)
    ・変化の激しい今の時代では「経営に正解はない」が、それでもリーダーは「意思決定」する必要があり、考え続けなければならない。その際、経営学は考えを整理してブラッシュアップしたり、物事の理解を深めたりする「道具立て」になり得る。(早稲田大学・入山章栄)
    ・経営の失敗が後を絶たないのは、思い込みや経験則から「何となく」経営判断をするから。気がつくと「坂道を下っていたと思っていたが実は登っていた」といったことが起き、エネルギーが不足し、コストに見合う体力がない会社から順番に潰れる。(刀・森岡毅氏)

    ○教科書で会社を変える
    ・経営とはある意味、一般常識の積み重ね。先人が通った道の、同じようなところにだいたい落とし穴がある。個別、具体的に書いてある分、経営者の本は生きた教科書になる。本の中に師匠がいるイメージ。(日本交通・川鍋一朗氏)
    ・経営改善のヒントを箇条書きやポイントだけまとめた本で問題を解くための知識を得るより、その分野の広い知識を、原理原則を示すタイプの本を通してしっかり頭に入れることによって、自分で考えることができる。(中川政七商店・中川政七氏)
    ・人類の歴史や考えてきたことなどについて書かれたいろいろな分野の本を、「未来を学ぶため」に読む。経営が人によって成り立つ以上、優れた戦略があっても、人間の行動を深く知らない限り、実行しても効果を十分発揮できない。(アステナHD・岩城慶太郎氏)
    ・経営学を使いこなすには、言葉を理解する。その言葉で目の前の現象の分析をとにかく繰り返すと、どんな手を打てばいいかを理解していく。実際の戦略遂行には、目の前の現実の本質を理解し、自分でセオリーをつくる力が不可欠。(一橋大学・沼上幹氏)

    ○教科書で会社づくり
    ・道具として使える経営学を身につけると同時に、経営者は心の在り方も重要になる。リーダーとは常に意思決定を迫られる存在であり、損得勘定を超えた哲学が欠かせない。世界観、歴史観、倫理観、人生観、使命感の5つは重要。(グロービス・堀義人氏)

    ○ずっと教科書とともに
    ・経営者は東洋思想から学ぶところは大きい。いろいろ書いているが、わかったのは、人は私利私欲で動かないこと。本を通して昔の人にも会えるし、別の世界にも行ける。古典を読むことを通じて、少しは穏やかな気持になれるのでは。(エーワン精密・梅原勝彦氏)
    ・組織が大きくなるほど難しい課題が増える。その分、どこに問題や弱点があるかを見極めることが重要になる。問題の本質を捉えないと、課題は解決しない。ボトルネックを探し、目の前にあることを一生懸命やることで、全体が見えてくる。(ジャパネット・高田明氏)

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著者プロフィール

日経ビジネス副編集長。1966年新潟市生まれ。慶応義塾大学卒業後、毎日新聞記者を経て日経BPに入社。日経ビジネス編集部、日経トップリーダー編集部、日本経済新聞社企業報道部などを経て2018年4月から現職。著書に『あの同族企業はなぜすごい』(日本経済新聞出版)、『星野リゾートの教科書」「星野リゾートの事件簿』(ともに日経BP)など。

「2021年 『星野リゾートの事件簿2 なぜお客様は感動するのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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