日本人が知らない戦争の話 ――アジアが語る戦場の記憶 (ちくま新書) [Kindle]
- 筑摩書房 (2023年7月6日発売)
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感想・レビュー・書評
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戦争の記憶を語り継ぐのは大切なことだが、現状、その内容は相当ずれているのではないかとぼくは思う。
例えば原爆。例えば空襲。あるいは特攻や沖縄戦、玉砕といった悲惨な記憶。それはもちろん大切なことだが、戦争の一方の面に過ぎない。そもそもあの戦争では、日本がアジア各国へ侵攻し、現地で戦闘をやらかして、その後敗戦まで占領したのだ。その事実は知っていても、そこで何が起きたのか日本人はよく知らない。アジアに侵攻した将校や兵士が語り部になって、侵攻と占領の記憶を引き継ぐ、という話は聞いたことがない。
それはまずいのではないか、とぼくは思う。天皇陛下や総理大臣がことあるごとにアジアに対する「深い反省」を口にするが、何を反省しているのか、一般の日本人はいまいちわかっていないのではないだろうか。
「日本人が知らない戦争の話」とはよくつけた題名だと思う。ぼくは戦後に生まれて、先の戦争に対して個人的な責任を負うつもりはまったくない。でも、日本という国がかつて何やったか知らないとすれば、それは個人的な責任に類する話になる、と思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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