日本人が知らない戦争の話 ――アジアが語る戦場の記憶 (ちくま新書) [Kindle]

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  • 戦争の記憶を語り継ぐのは大切なことだが、現状、その内容は相当ずれているのではないかとぼくは思う。
    例えば原爆。例えば空襲。あるいは特攻や沖縄戦、玉砕といった悲惨な記憶。それはもちろん大切なことだが、戦争の一方の面に過ぎない。そもそもあの戦争では、日本がアジア各国へ侵攻し、現地で戦闘をやらかして、その後敗戦まで占領したのだ。その事実は知っていても、そこで何が起きたのか日本人はよく知らない。アジアに侵攻した将校や兵士が語り部になって、侵攻と占領の記憶を引き継ぐ、という話は聞いたことがない。
    それはまずいのではないか、とぼくは思う。天皇陛下や総理大臣がことあるごとにアジアに対する「深い反省」を口にするが、何を反省しているのか、一般の日本人はいまいちわかっていないのではないだろうか。

    「日本人が知らない戦争の話」とはよくつけた題名だと思う。ぼくは戦後に生まれて、先の戦争に対して個人的な責任を負うつもりはまったくない。でも、日本という国がかつて何やったか知らないとすれば、それは個人的な責任に類する話になる、と思う。

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著者プロフィール

山下清海(やました・きよみ):1951年、福岡県生まれ。筑波大学大学院地球科学研究科博士課程修了。理学博士。秋田大学教育学部教授、東洋大学国際地域学部教授、筑波大学生命環境系教授、立正大学地球環境科学部教授などを歴任。筑波大学名誉教授。専門は、人文地理学、東南アジア・中国地域研究、華僑・華人研究。著書に、『横浜中華街――世界に誇るチャイナタウンの地理・歴史』(筑摩選書)、『華僑・華人を知るための52章』『世界のチャイナタウンの形成と変容──フィールドワークから華人社会を探究する』『改革開放後の中国僑郷――在日老華僑・新華僑の出身地の変容』(ともに明石書店)、『新・中華街――世界各地で〈華人社会〉は変貌する』(講談社選書メチエ)などがある。

「2023年 『日本人が知らない戦争の話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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