エリート警察官は初心な彼女を熱烈求愛し尽くします (濃蜜ラブルージュ) [Kindle]

著者 : にしのムラサキ 小島きいち

• パラダイム (2023年8月25日発売)

感想・レビュー・書評

[黒ソーダさんの感想 · 2024年3月20日]

P.147 「本って不思議だよな。読むたびに自分の中に世界が作られていく」
＜濃蜜ラブルージュ＞というレーベルでこんな一文を目にするとは思わなかった。
8割が濡れ場なのだが、感情に沿っていて、恋をしている二人の幸福感や切実さが伝わってきた。ちゃんと恋愛小説だった。

大量にTL小説を読んでいるが、実のところバカにする気持ちがある。大半の作家さんに"どうしてもアウトプットしたいこと"なんか無いんだろうと思えるからだ。テンプレどおり、セオリーどおりのストーリー、ピクトグラムのような類型的人物、下調べが不十分過ぎる舞台設定、読書体験がTL小説のみかせいぜいライトノベル止まりだろうと思えてしまう日本語能力、そんな小説が低めに見積もっても7割を超える。そんな中で、制約のあるTL小説を読むべき価値のあるものだと思えた本作には喝采を送りたい。

［追記］同じ作者さんの『冷徹エリートな航空自衛官(略)』を読んだ。作者さんを褒め過ぎたことを後悔した。

著者プロフィール

福岡出身。2018年より執筆開始。2019年アルファポリス「第２回ホラー・ミステリー小説大賞」において『翡翠少年は謎を解かない』で特別賞受賞。2020年アルファポリス「第13回恋愛小説大賞」において『お見合い相手は無愛想な警察官僚でした　～誤解まみれの溺愛婚～』でエタニティ賞受賞、同作でデビュー。甘々かつ、気楽に読んでいただける作品を目指してます。

「2023年 『エリート自衛官に溺愛されてる…らしいです？』 で使われていた紹介文から引用しています。」