優しい日本人が気づかない残酷な世界の本音 - 移民・難民で苦しむ欧州から、宇露戦争、ハマス奇襲まで - [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。
    個別に見た場合、気づきを与えてくれる考察もあり、一読の価値はあると思いました。特に、核拡散防止条約を令和の不平等条約と位置付けている箇所。
    戦略の階層にも言及しているあたり、かなり整理されていると思いますが、核武装することが戦略上優位になることを確信した上で進めて欲しいところ。

    以下、個人的メモ

    トランプ政権になってからのアメリカの中東政策は一本筋の通ったものでした。
    -中略-
    トランプ大統領は、そのイランが核を持つ可能性を絶対に容認せず、大統領になった翌年2018年には、バラク・オバマ政権の大失策であった「イラン核合意」を破棄し、イスラエルとアラブ諸国の両方を安心させました。
    P121:トランプ路線ならイスラエルとサウジの合意はできた。

    レグトコは、ポーランドで共産主義体制が倒れた後、新しい正統となった「西側リベラル・デモクラシー」に真っ先に適応したのは、かつての共産主義者だったと言います。彼らは単に事大主義者、オポチュニストというだけではありません。過去を敵視し、社会を自らが理想とする姿につくり替える近代化プロジェクトの推進者として、共産主義と「リベラル・デモクラシー」は思想的に同根です。ともに進歩を金科玉条とする啓蒙思想の申し子なのです。そしてともに”記憶”を敵視します。新しい人間をつくるには過去の記憶は邪魔ですから。
    P175:リベラル・デモクラシーはなぜ共産主義に似るのか

    カナダやオーストラリアはともかく、日本の食料・エネルギー輸入を妨げるほどアメリカと政治的に対立する状況にならないようにすることが、日本の国家戦略の根幹であり、最優先事項です。それに失敗したら、食料・エネルギー以前に、日本はゲームセットです。
    -中略-
    それからロシアと違って中国は資源大国ではありません。エネルギーを自給できないから長期戦を戦うことができない。英米の戦い方というのは昔から海上封鎖、要する兵糧攻めです。アメリカと決定的に対立した場合、これに中国は耐えなければなりませんが、そのときになってロシアが資源を回してくれるかどうかはわからない。ロシアから足元を見られることになる。しかも、中国は食糧の輸入国でもある。アメリカやロシアに対する中国の戦略的守勢は、かつての日本がそうであったように、如何ともしがたい。
    P263:勘違い!?中国は「大国」ではない

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著者プロフィール

作家、ドイツ・ライプツィヒ在住。日本大学芸術学部卒業後、渡独。1985年、シュトゥットガルト国立音楽大学大学院ピアノ科修了。2016年、『ドイツの脱原発がよくわかる本』で第36回エネルギーフォーラム賞・普及啓発賞受、2018年に『復興の日本人論 誰も書かなかった福島』が第38回の同賞特別賞を受賞。近著に『メルケル 仮面の裏側』(PHP新書)、『無邪気な日本人よ、白昼夢から目覚めよ』(ワック)などがある。

「2022年 『左傾化するSDGs先進国ドイツで今、何が起こっているか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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