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- / ISBN・EAN: 4571519925932
感想・レビュー・書評
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1986年――。小川市郎(阿部サダヲ)は、“愛の鞭”と称した厳しい指導をするのが当たり前な昭和の体育教師。野球部の顧問も務め、生徒たちからは「地獄のオガワ」と恐れられていた。
その一方、家では男手一つで17歳の一人娘・純子(河合優実)を育て、娘の非行に手を焼く普通の父親でもある。最近は市郎の帰宅時間をやけに気にする純子が男を家に連れ込み“ニャンニャン”するのではないかと心配していた。
ある日、市郎は、いつものようにタバコを吸いながらバスで帰宅中、ついウトウトしてしまう・・・。
目を覚ました市郎の目に飛び込んできたのは、パンツが見えそうなスカートを穿き、耳からうどんを垂らした女子高生がバスに乗り込んでくる姿だった。
その姿に違和感を覚え指摘する市郎だが、乗客たちは車内でタバコを吸う市郎こそおかしいと口論になってしまう。
逃げるようにバスを降りた市郎が目にしたのは、見たこともない異様な格好をする人々となんとなく変わっている景色だった。
なんとか見つけた馴染みの喫茶店「スキャンダル」に飛び込み、事態が飲み込めないまま市郎は、カウンターにいた犬島渚(仲里依紗)のビールを勝手に飲み干し、口論になってしまうのだった・・・。
一方、1986年の同日、純子は向坂キヨシ(坂元愛登)から突然告白されていた。
キヨシは、社会学者である母・サカエ(吉田羊)と共に令和から昭和にタイムスリップしてきた中学生。
街中で偶然出会った純子に一目ぼれしてしまったのだ。純子は“ムッチ先輩”こと秋津睦実(磯村勇斗)に密かに思いを寄せているにもかかわらず、キヨシを家に連れ込もうとするが・・・!?
宮藤官九郎が、タイムスリップコメディに挑んだ意欲作。
コンプライアンスなんてなかった昭和のあるあるが散りばめられ、昭和世代は懐かしいと笑い令和世代はドン引きしつつ、形ばかりの働き方改革や炎上を恐れ過ぎて自己規制しすぎな風潮などを風刺しつつパワハラやセクハラの基準を視聴者に問いかけながらも、多様性を謳い上げながらも自分の価値観と違う人や不倫した人などを誹謗中傷する風潮が止まない令和も風刺し、市朗と純子と渚の意外な関係が明らかになり「残酷な未来が待っているとしても、時代をよくしていくのは俺たちだ!」という宮藤官九郎のメッセージを込めた中盤から尻上がりに面白みが、それぞれの回のテーマを込めたミュージカルシーンでは尾崎豊やクイーンなどをオマージュしつつキャラクターの心情を込めたミュージカルナンバーも面白みが増していて「話し合いましょう」「寛容になりましょう」というテーマが結実した爽やかな後味。
令和の価値観を学びアップデートしていく市朗を繊細に演じる阿部サダヲや父親思いなスケバン純子をキュートに演じる河合優実や子育てに悩みながらもテレビ局のお仕事に奮闘する渚を演じる仲里依紗や山本耕史や吉田羊の硬軟自在な演技も楽しく、ルッキズムなどの間違えた使い方やインティマシーコーディネーターを扱った回がインティマシーコーディネーターの方からクレームがあったほどの迂闊さはありつつも、ネットニュースで言われるように「昭和の価値観でコンプライアンスを笑い飛ばす」ではなく「昭和も令和も笑い飛ばす」楽しいタイムスリップコメディドラマ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昭和と令和を行き来するという設定だけで面白い現在に切り込む他にないドラマだった。
クドカン、アベサダさん、磯P、金子さん、最強のタック!!
昭和での不適切な発言、言動の数々に今見たらギョッとする。そして時代の変化を嫌でも感じる。
突如始まるミュージカルも斬新だった。笑
ヤンキーななぎさちゃん可愛かったな〜!
濃厚なドラマだった。 -
宮藤官九郎作品の中で自分的暫定1位
リアルタイムで毎週観たい、と思わせてくれる力を持っていた -
宮藤官九郎さんの風刺と今への痛烈なアンチテーゼ。
今は言っちゃいけないことがありすぎる、平等、男女差別のない世界とは本当に未来から見たらいい時代だったのか?これが、痛烈な描写と共に描かれる。男らしく、とかタバコ吸ってバスに乗るとか、昔できたことが今はできない。そんなことがわかっているのに、昔に戻りたい、とか、昔の方が良かったなんていうことを言いたいのではない。
このメッセージは、本当に痛烈だ。 -
確かに現代の行きすぎてるハラスメント対策…
昭和のハラスメントという概念が存在してない時代と比較しての、風刺的なストーリーが「クドカン、さすがだなー」と思った。
最初は面白おかしくで進むだけかなと思ったけれど、市郎さんと純子ちゃんの最期が分かってしまう回から、なんか心がギューっと感傷的になってしまった。
地震のくだりとか、クドカンのあまちゃんも思い出した。またあまちゃんも見返したいな。 -
確かに、ほどがあるな笑
不適切ではあるが不謹慎ではないな。
確かに、本当の多様性とは何ぞや。
今更ながら筒井センセーの「時かけ」の原作小説をつい最近読んだところなので、タイムスリップ!しかも仲里依紗!笑 と思った。
余命9年の純子が...もう...。
「1人目の彼氏はー、地元のヤンキーでー、2人目の彼氏はー、おっぱい好きの中学生なの」
純子ーッッ!死ぬなー!
「おれと純子の最終回は決まってんだよ!」
泣。
市郎含め、皆が「それ」を知った上で純子と接するときの、優しさ悲しさが何とも言えない。
なぎさっちと服買いに行くって...美容室でイメチェンさせてあげるって...
喫茶店で母娘が隣りに座るシーンが良かったなぁ。
コメディとシリアスの振れ幅が大きい宮藤作品ならではの、喜劇と悲劇の落差。
小説や漫画の「ドラマ化」ばっかりじゃつまらない。
オリジナル脚本のドラマと、そのドラマのために書き下ろされた主題歌!これよ、これなのよ。
「二度寝」っていうタイトルが、これまた良い。二度寝の浅い眠りの中、夢で登校していたり通勤していたりというのは誰しも経験があるはず。
目覚めて遅刻だと気付く、まるでタイムスリップしたかのような感覚。「あれ?バスに乗ってたはずなのに」
毎回細かいな、小ネタが。
今まさに直近のトレンドを差し込んできよる。最終話でも「ポイズン」とか「ファッサマの薄紫の衣装と髪型」とか笑
それをあえて解らそうとしない、気付く人だけ楽しんで、みたいな。細かいけどクドくないクドカン。
市郎さんの言うとおり、
捨てたモンじゃねぇよ、こんな未来。
どこにいてもこんな時代と思ってしまうかも。
でも、いつだって未来はbeautiful day -
寛容〜になりましょう〜♪♪♪
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★3,5