文房具ワルツ (フラワーコミックススペシャル)

著者 :
  • 小学館 (2014年9月10日発売)
3.71
  • (18)
  • (30)
  • (27)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 419
感想 : 21
4

河内遥の短編集、久々に読んだがなかなかよかった!「擬人化」ものも「オムニバス形式」も個人的に大好きなので。
それにしても、まさか文房具を擬人化するとはね。意外性を感じたけれど、意識していないだけで常に身近にあるもの。文房具たちは「主人」の横で何を思うのか、常に寄り添っている存在だからこそ見えるものがあるんだなと…河内さんの視点がユニークだ。「文房具は、いつもそばにいてどこか持ち主を表すようなところがあったり、人それぞれの扱い方や選び方が本当に色々で…」という河内さんのあとがきに深く納得。
大学の先生に憧れを抱く女子大生のナズナ、彼女に恋する八神、こまっしゃくれた彼の甥っ子の小学生レイ、編集者に片思いする作家の娘、ぱっとしない漫画家。それぞれのねじくれた思いは空回り。そんな彼らを複雑な思いで見つめる文房具たち。お節介したりちょっと意地悪だったり、文房具もなかなかの個性揃い。なんだか自分もついつい文房具目線になり、不器用でじれったい彼らの背中をそっと押したくなってしまう。最終話の「紙のみぞ知る」はタイトルもナイスだし、ラストシーンは抒情的でよかった。明治時代の万年筆がいい味出してるんだよな~。
凝った装丁も含め、河内ワールドを堪能できる一冊。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック
感想投稿日 : 2014年10月9日
読了日 : 2014年10月9日
本棚登録日 : 2014年10月4日

みんなの感想をみる

コメント 2件

takanatsuさんのコメント
2014/10/09

メイプルマフィンさん、こんにちは。
文房具の擬人化!
すごく面白そうですね!!
「文房具たちは「主人」の横で何を思うのか、常に寄り添っている存在だからこそ見えるものがあるんだなと…河内さんの視点がユニークだ。」
ふと手元のボールペンを見て、この子にどう思われているかとか考えてみましたが、良く思われている自身がない事に気付きました(笑)
聞くのが怖いけど聞いてみたいです!
「明治時代の万年筆がいい味出してるんだよな~。」
明治時代の万年筆…威厳がありそうなイメージ??
ますます気になります!

メイプルマフィンさんのコメント
2014/10/09

takanatsuさん:コメントありがとうございます!
擬人化された文房具達がどれもいいんですよ~、特徴捉えてて。
ダンサーのコンパスちゃんもかわいかったけど、書生っぽい風貌の万年筆のお話が、ちょっと切なくてよかったです。
普段ぞんざいに扱っている私の文房具ですが(汗)、もう少し大事に、愛でてやろうと思いました。
笑いながらも胸にじんわりきますよ、ホント文房具ってヤツは侮れない存在です。

ツイートする