河内遥の短編集、久々に読んだがなかなかよかった!「擬人化」ものも「オムニバス形式」も個人的に大好きなので。
それにしても、まさか文房具を擬人化するとはね。意外性を感じたけれど、意識していないだけで常に身近にあるもの。文房具たちは「主人」の横で何を思うのか、常に寄り添っている存在だからこそ見えるものがあるんだなと…河内さんの視点がユニークだ。「文房具は、いつもそばにいてどこか持ち主を表すようなところがあったり、人それぞれの扱い方や選び方が本当に色々で…」という河内さんのあとがきに深く納得。
大学の先生に憧れを抱く女子大生のナズナ、彼女に恋する八神、こまっしゃくれた彼の甥っ子の小学生レイ、編集者に片思いする作家の娘、ぱっとしない漫画家。それぞれのねじくれた思いは空回り。そんな彼らを複雑な思いで見つめる文房具たち。お節介したりちょっと意地悪だったり、文房具もなかなかの個性揃い。なんだか自分もついつい文房具目線になり、不器用でじれったい彼らの背中をそっと押したくなってしまう。最終話の「紙のみぞ知る」はタイトルもナイスだし、ラストシーンは抒情的でよかった。明治時代の万年筆がいい味出してるんだよな~。
凝った装丁も含め、河内ワールドを堪能できる一冊。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
コミック
- 感想投稿日 : 2014年10月9日
- 読了日 : 2014年10月9日
- 本棚登録日 : 2014年10月4日
みんなの感想をみる
コメント 2件
takanatsuさんのコメント
2014/10/09
メイプルマフィンさんのコメント
2014/10/09