光の回廊 〔文庫〕 (小学館文庫 きF 1)

著者 :
  • 小学館 (2009年5月15日発売)
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本棚登録 : 78
感想 : 10
4

主役は藤原不比等の娘・安宿媛(光明子)。この時代は割と泥臭いというか、激しい権力抗争で生き馬の目を抜く、といった状況だが、清原ワールド全開の飄々としたキャラクター達。シリアスなようで、脱力するようなユーモアがあちこちに散りばめられている。何でゴルフしてんの、何でハワイにいるの、とか突っ込みたくなるんで(笑)歴史に疎くてもそれなりに楽しめるとは思うが、古代ファンなら唸るくらい史実がうまくまとめられている。顔に名前を書かれた(いつもバレエを踊っている)藤原四兄弟、サイコーだ。
ペルシア人仏師・カイとの恋愛。その後のまさかの流れは結構ほろ苦く、古代なのにどこか現代にも通じるような展開がすごい。清原さん、もっと歴史物発表して欲しい…。
同時収録の短編、往年の「りぼんオリジナル」や「ぶ~け」の空気感が懐かしい!このナンセンス感。幼い頃はピンと来なかったが、今ならわかる。
解説の倉本由布さんが述べていた、そこはかとないせつなさ。それが清原作品の魅力だ。(倉本さん、コバルト時代によく読んでました!解説で再会できて嬉しい)そこはかとなく、だからこそ後を引く。何がその人にとっての幸せなのかなと…どの作品も考えさせられるのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック
感想投稿日 : 2022年10月26日
読了日 : 2022年10月26日
本棚登録日 : 2022年10月9日

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